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人生初めて「いけばな」のお稽古に挑んだので、備忘録としてまとめておく。(華道・遠州)
ちょっとご縁があり、今回の先生「華道遠州宗家 芦田一寿(あしだ いちじゅ)」さんからのお声がけに参加。
いけばなって日常的に目にすることは意外と多いと思っていて、興味があるからなのか、環境がそうさせるのかはまだわかっていない。華道は流派とかあるので、目指す先はそれぞれなのかと思うのだけれど、佇まいというか凛とする空気が伴うのは素敵なのだ。
万年青(おもと)とは、吉兆のシンボルであり縁起の良い植物。
お稽古は12月、新年を迎えるにあたって、使う花材は「万年青(おもと)」となる。
万年青は青い葉と赤い実で構成されており、その強い生命力から子孫繁栄・長寿に繋がると云われる。妙心寺塔頭・天球院など襖絵などの構成要素にも万年青が足元を飾る。
江戸城本丸完成(1606年)を祝って、徳川家康に万年青が贈られたと伝えられていることもあって、繁栄や強さの象徴として武家から庶民にも広がっていった。その広がりは過熱していき、1853年には幕府による禁止令が出されたほど、その後も1882年には西陣の旦那衆が私財を投げ売るなど高値で取引される植物となっていく。ブームとして1900年代にも高値が続いた(おそらく投機対象)。
吉兆
縁起の良い植物としてメジャーなのは松竹梅。松は常緑から永遠、竹は成長、梅は冬から春にかけて一番初めに花をつけることから魁の花とされている。そして、松は木の王、桜は花の王、万年青は実の王とも云われる。また、引越しの際、鉢のまま万年青を家の中に入れる慣習もあるとされる。
(昨今は引越し蕎麦の方がメジャーになっている。吉兆よりも世間体という時代の表れなのだろうな…)
万年青を使ったいけばなに「舞鶴と亀遊び」というのもある。縁起をさらに上げるかのようだわ。
いけばなのお稽古
今回用いたのは万年青は都之城(みやこのじょう)という品種。斑(ふ)入りの葉が10枚で、実が1つの組み合わせ。合わせて11の奇数であることも陰陽和合を表す数字として吉兆の考えから定まる。
流派によって枚数は異なるが、7つ以上が自然の姿(作為の少ない)を示すとされる。例えば、吊りや壁掛けなど目線と同じもしくは上にあるいけばなは自然界でも高さのある植物とされ、鉢は目線よりも下にある地面にある植物をいけるなど、自然界にある情景を取り入れる「見立て」は日本の古典であり、理の上に生まれる美の文化そのものだろう。
いけばなの基本的な考え方として、天と地と人がある。天は真とも呼び、上方向を示し、地は留とも呼び、地面を示す。そして人は行と呼ばれる。(行が何を示しているのか忘れてしまった...)
今回は11つの要素を用いることもあって、「1・真(しん)」「2・添(そえ)」「3・肩(かた)」「4・内胴(うちどう:霜除け)」「5・行(ぎょう:逆葉)」「6・行(ぎょう:順葉)」「7・留(とめ:流し葉)」「8・風除け葉(かぜよけ)」「9・実囲い(みかこい)」「10・土葉(つちば)」と「11・実(み)」とそれぞれの役割(役)をもたせる。
手順としては10枚の葉で空間に流れをつくり、実を包みこむようにいける。
・真(天)を剣山にさして基準を定め
・添と肩で真の周りの空間に固め
・内胴と実を定めて基本的な「花型」が決まる
・2枚の行(人)と、留(地)を用いて全体のバランスを整える
・風除け、実囲い、土葉の3枚で仕上げ
という感じ。
今回使った「行」の役の葉は2枚、万年青が子孫繁栄に通じていることを踏まえると、行は人を示すことと葉を向き合わせて重ねる姿は「愛」を連想してしまう♪
剣山は近代生まれた道具の一つで、花や枝を留めることができれば何でも良いらしい。遠州では薬研配り(やけんくばり)という花留めも使われる。また、今回用いた鋏は「わらび手」というもの。
遠州とは
遠州とは、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての大名・小堀遠州公(1579年−1615年)のこと。茶人・古田織部を師とし、作事、書、華、茶など後の文化に大きな影響を与えた人物。後世になってからも茶道具の世界では遠州が選んだ名品を「中興名物(ちゅうこうめいぶつ)」と呼ばれる格付けが生まれている。(Wiki調べ)
華道遠州はその流れを組むようで、花材に「流れ」を生む曲生けは「くさび橈め(ため)」という技術も用いられる。そう言えば以前、白沙村荘 橋本関雪記念館で行われた芦田先生の展覧会で拝見した作品の枝にくさびが差し込まれて曲線を描いたが記憶に残っている。当時、違和感を感じたのは正直なところだったのだけれど、僕には華道の道はまだまだ遠いのかも知れない。
完成記念に撮影会があったので、撮っておいた♪
水が入っていないのは撮影用だからのようです。お稽古している際の器には水は入っておりましたー。
もうちょっと、艶っぽいくびれというか流れを生むフォルム(花型)があるといいかもって、後で見直すと見えてくるのだけれど、花材は一期一会、一度、鋏を入れると元には戻らないのである。
持って帰ってきた花材を使って再現を試みる
剣山ないけどこんな感じでいいかしら?
補足
華道遠州宗家 芦田一寿
わびさび
「いけばな」は生花と活け花か?
調べてみると、華道は室町時代中期、京都・六角堂の僧侶によるものとされる。その流派を伝承しているのが池坊(いけのぼう)ということだ。池坊でも「いけばな」とひらがな表記を使っているようで、生花と書いて「しょうか」と呼ぶ分類もある。
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