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ロシア大学院留学日記⑦|北極評議会の模擬会議に参加してみた!

Дорообо!(ドローボ!):サハ語で「こんにちは」という意味です。
読者の皆様、こんばんは! サハの女です。

ところで、みなさん、「北極評議会(Arctic Council)」という世界的な組織をご存知でしょうか?

北極評議会の公式ロゴマーク

この組織は、環境問題や国際関係、資源開発の分野でよく耳にすることがあり、日本ではあまり馴染みがないという方もいるかもしれません。

1. 国際ニュースや環境関連のニュース
北極評議会は、北極地域における環境問題や国際政治に関連するニュースで頻繁に登場します。
特に、温暖化による北極海の氷の減少や、新たに開かれる北極航路、北極圏の天然資源の開発についての話題で注目されます。
こうしたニュースで、北極圏に関わる利害関係の調整や、国際的な協力の場としての北極評議会が紹介されることが多いです。

2. 気候変動に関する国際会議やフォーラム
北極地域は地球温暖化の影響を特に強く受けているため、気候変動に関する国際会議(例:気候変動枠組条約締約国会議、COP)や環境フォーラムで北極評議会の活動が取り上げられます。
こうした場では、北極圏の保護や、先住民族の権利問題なども話題になり、北極評議会が果たす役割が紹介されます。

3. 北極航路の利用や資源開発に関するビジネスの話題
北極圏の航路は、地球温暖化に伴う海氷の減少により、近年商業的な関心を集めています。
また、石油・天然ガスなどの資源が豊富にあるとされているため、資源開発の可能性が取り沙汰される際にも北極評議会の話が登場します。
特に、ロシアやアメリカ、中国などの関与について、国際的な視点で北極評議会の調整役としての役割が強調されることが多いです。


北極評議会(Arctic Council)とは?

北極評議会の加盟国8カ国

北極評議会は、1996年に設立された国際的な協議体で、北極地域の環境保護や持続可能な発展に関する課題について話し合う場です。
アメリカ、カナダ、ロシア、デンマーク(グリーンランドを含む)、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの8か国が正式な加盟国として参加しており、北極圏に住む先住民族の組織も「常設参加者」として重要な役割を果たしています。

北極評議会の主な目的は、気候変動によって影響を受けやすい北極の生態系を保護することや、持続可能な形での地域発展を推進することです。
北極地域には豊富な天然資源が眠っており、近年の温暖化で新しい航路も開かれる可能性があるため、経済発展と環境保護のバランスが重要な課題となっています。
また、北極圏の急速な環境変化は、そこに暮らす先住民族の生活にも大きな影響を及ぼしており、彼らの文化や権利を守ることも重要なテーマです。

このように、北極評議会は、利害が異なる国や団体が協力し、対話を通じて持続可能な解決策を模索するための重要なプラットフォームとなっています。


さて、北極評議会(Arctic Council)についての理解が深まったところで、今回私が模擬会議で実際にやったことや、参加した感想についてシェアできればと思います。

北極評議会(Arctic Council)模擬会議プログラム概要

2022年11月14日から18日までの5日間にわたって、私が留学していた大学で開催された「北極評議会の模擬会議」に参加する機会がありました。この会議は、北極圏に関わる国際的な問題に対して、ロシアの大学の学生25人がアルハンゲリスクに集結し、実験的な教育討論プラットフォーム「北極評議会の国際青年モデル(MAC)」として、各国の代表として意見を交わし、政策の合意形成を目指すシミュレーションとして行われました。

  • 開催期間:2022年11月14日(月)~11月18日(金)

  • 開催場所:北方(北極)連邦大学(ロシア、アルハンゲリスク市)


11月14日(月)

  • 到着日:地方参加者と専門家の空港出迎えとホテルへの宿泊手続き。

11月15日(火)

  • 9:30 - 10:00:参加者登録(アルハンゲリスクの学生はここから参加)

  • 10:00 - 10:30:開会式と歓迎の挨拶

  • 10:30 - 11:30:「北極の紛争の可能性」講義(講師:パヴェル・アンドレエヴィチ・グデフ)

  • 12:00 - 13:15:「北極評議会の原則と意思決定」講義(講師:レフ・レヴィト)

  • 14:00 - 15:00:オンライン講義「北極評議会における中国の地位」(講師:リ・ハオ)

  • 15:15 - 16:15:オンライン講義「インドの北極への関心」(講師:アヌラグ・ビセン)

  • 16:15 - 17:30:参加者プレゼンテーション、実践セッションの導入

11月16日(水)

  • 09:00 - 10:15:講義内容のディスカッションと模擬ゲームの導入

  • 10:15 - 16:30:模擬会議セッション

11月17日(木)

  • 10:00 - 11:30:博物館ツアー(市街地の野外博物館:Малые Карелы)

  • 13:00 - 15:00:国際協力宣言の草案作成(閣僚会議形式)

  • 15:30 - 16:30:宣言の承認と閉会式

11月18日(金)

  • 地方参加者の出発、空港への送迎


模擬会議に参加した感想

模擬会議のテーマは、北極地域の環境保護と持続可能な開発です。私は「RAIPON(ロシア北方先住民協会)会長顧問」としての役割を任され、北極航路の利用促進と資源開発を進めつつも、環境への配慮や持続可能な発展を視野に入れた政策を提案することになりました。他国の代表や北極圏の先住民組織の意見に耳を傾け、互いの立場を尊重しながら議論を進めていく経験は非常に貴重でした。

模擬会議を通じて、国際的な協力と対話の重要性を強く感じました。北極圏という特殊な地域にはさまざまな国や団体の利害が絡んでおり、すべての立場を満たす解決策を見つけるのは簡単ではありません。しかし、各国や先住民組織が真摯に対話し、妥協点を見つける努力をする姿勢を見て、多国間協力の力と意義を実感しました。

また、自分とは異なる視点を持つ他の代表者とのやり取りを通じて、環境保護や経済発展のバランスの難しさや、地域社会に根ざした問題への理解を深めることができました。この経験は、今後国際問題に関わる際に大きな財産となると感じています。

最後に

最後に、今回の模擬会議に参加した貴重な経験について、少し振り返ってみたいと思います。

「国際北極評議会モデル(International Model Arctic Council)」という名前で開催された会議ではありましたが、実際の外国人参加者は私(日本人)と同じ大学のウズベキスタン人の学部生の2人だけでした。そのため、開会式からグループ内のディスカッション、発表、初日の講義に至るまで、すべてがロシア語で行われました。正直なところ、集まっているのはほぼロシア国内の学生ばかりで、「これが本当に『国際』的な会議なのか?」と疑問を感じながら参加していたのも、今となっては良い思い出です。

ウクライナ情勢の影響もあり、今のロシアでは外国との連携が難しく、本当の意味での「国際会議」を実現するのは厳しいのだと感じました。

また、ロシア人のチームメイトが話す速さについていけず、会話を聞き取れない場面も多く、疎外感を覚えることもしばしば。
正直、終始「置いてきぼり」にされている印象が強かったです。

そんな中、主催側が用意してくれる休憩時のおやつやスナックが、唯一の息抜きの時間でした(笑)。

次回もどうぞお楽しみに!Спасибо за просмотр!
(スパシーバー・ザ・パスモートル!)


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