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令和時代の成功術~馬鹿とハサミ~
令和時代の成功術は「いかにスマホを見ないか」である。
人は10分に1回スマホを手に取り、平均1日に4時間をスマホに費やし、1日に平均2,600回スマホを触るそうだ。
世界の医学研究の最前線で研究を重ねてきたスウェーデンの精神科医アンダース・ハンセン著の『スマホ脳』は、ここ日本でも大ベストセラーになった。
この本で書かれていることを一言で表すと、「スマホばかり使ってると馬鹿になるよ」ということだ。孤独感を強め、睡眠の質も下がり、心身ともに悪化して人生の満足度が下がるという。
人間の脳はギャンブルに代表される「何か起こるかもしれない」という報酬体系への刺激を好むようで、特にSNSはこういった人間の心理を巧みに利用し、意図的にユーザーの依存性が高くなるように設計されているそうだ。
私は身をもって人間のこういった特性を実感している。
なぜなら、会社員と違ってフリーランスは自由に時間を使えるので、
「足立梨花、ビキニで揺れる美尻動画」
「朝比奈彩“スケスケ”肌見せで色気」
「森香澄アナ、超ミニ美脚で彼女感」
こういったタイトルを延々タップし続けても、誰からも怒られないからだ。
スティーブ・ジョブズは自分の子どものiPad使用を厳しく制限した。ビル・ゲイツも、子どもが14歳になるまでスマホを持たせなかった。
あんまりじゃないか。
頭の良い人たち、つまり、作った側は分かっているのだ。これを使っていると馬鹿になるということを。さすが頭の良い人たちだ。
これはまずいと数年前、スマホからニュースアプリを全部消した。
「ビキニで揺れる美尻動画」という文言から逃れられるほど私の意志は強くない。私の脳はエロで設計されているエロ脳だ。
LINEも開いたときにニュースが出ないように設定した。Twitterも消した。
私より何百倍も賢い研究者たちが大金を投下し、馬鹿を依存させるよう作ったアプリから私ごときが逃げられるわけがない。私はとうに自分を信用していない。どうせまた飲みすぎて財布もなくす。
しかし例え馬鹿でも、目に入らなければ追いようがない。いっそのことガラケーにしようかと本気で思ったこともあるが、さすがにそれはできない。仕事もできない。
多分、スマホやケータイがない方が人生は楽しい。多分。
独創性が生まれ、本来絡まなくてもいい人たちとのストレスが消え、自分が本当にやりたかったことに没頭できる時間が増える。爆笑問題の太田さん、チバユウスケさん、古田新太さん、森山未來もケータイを持っていないらしい。
これを凡人が逆算すると、スマホを持たなくても大丈夫な自分を作るところから始める必要がある。
手っ取り早いのは、スマホを持つことができない行動を増やすことだ。
銭湯。お風呂にスマホは持ち込めない。
水泳。プールにスマホは持ち込めない。
スノボー。マラソン。スマホ画面を見ながらはできない。
人と会えばスマホを見ないし、本を読んでいればスマホを見ない。映画も。
おかげで私は情報に疎い。
しかし、こういった習慣を始めてから仕事は増え、個人でおこなっている活動も反響が増えた。
仕事に役立てるため、あるいは人生を豊かにするために収集すべきとされる情報を遮断して、人生が豊かになった。
「馬鹿とハサミは使いよう」というが、「馬鹿はハサミを遠ざけろ」が、令和時代においては有効である。
G.Wもスノボーに行く。人と会う。読む本と観る映画も決めてある。なぜか。そうしないと、スマホを見続けてしまうからだ。
8割の流儀・鷺谷政明
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