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パックリアン戦法 ~後手番・対先手中飛車 基本変化①~
↓前回の記事↓の続きである。
1、通常のパックマンと似て非なるもの
基本図は▲56歩に△32銀と上がった形。先手の3手目は広いが、まずは素直に中飛車を目指す指し手から考えていく。▲76歩、▲58飛、▲55歩などが考えられるが、▲76歩に△34歩とは突けない(角がタダ)ことを考えればそこに手が伸びるのが自然だろう。
そこで△44歩とやり返すのが、パックリアンの正体の見せ方だ。
▲56歩△32銀の交換が入っていることで、通常のパックマンとは完全に別物になっている。おそらく上図に最初に出会ってこの歩を取れる人は早々いないとは思うが、取られて悪いのでは話にならないので、まず解説していきたい。
▲44同角に対して△42飛と迎え撃つ。これはパックマンと同じだ。
先手もここは▲53角成といくところ。通常のパックマンなら△34歩がメインの定跡だ。もちろんそれでも互角だが▲42馬や▲55歩の変化を与えるのが勉強嫌いとしては不満だ。
パックリアンは敢えて先に△47飛成といく。
普通のパックマンの図を思い出してほしい。もしそれで△47飛成といけば下図のように▲58金右と当てられて撤退を余儀なくされる。これは先手が圧倒する展開だ。
しかしパックリアンならそう!先手の歩が56の地点に転がっているのだ。例えば△47飛成に慌てて▲48銀と受けようものなら…
△56竜でゲームセット、王手馬取りである。これはパックリアン地球制服イージーモード。しかしそうは簡単にいかないはずだ。
2、△47飛成への抵抗
隕石のように大気圏突入をしてきた△47飛成。先手の▲56歩が完全に裏目に出ているが、まだまだ難しい。ここから先の大きな2つの変化について紹介する。
①△47飛成に▲63馬
まずは▲63馬、王手馬を外しながら81の桂取りを見せて最も自然な手だ。後手も△72銀と馬に当てて受ける。
先手は馬をどこへ移動させるか。▲64馬や▲96馬などでは後手に△34歩を突く余裕を与えることになる。ここは更に竜に当て返すように▲36馬と引くところか。パックリアンは当然△56竜と歩を回収しつつ王手を掛ける。
この局面をどう見るか。先手がどう応手するかによって更に変化をしていくが、後手番のパックリアン側としてみれば先手の中飛車を封じた上に形勢も互角以上で満足の行く展開だろう。
②△47飛成に▲86馬
▲86馬は少し受け身だが馬鹿にできない手だ。後手の権利である△34歩を先受けしようとしている。
しかし構わず△34歩と突く。
▲86馬との関連性が低いので、この角筋を▲88銀と受ける人はレアだと思うが、もしそうしたら…
△56竜が厳しい手となる。先手は28の飛車の横利きが消えると88の銀を取られてしまうので受け方に窮する。おそらく▲57歩と捨てて竜を近づけて受けるしかないが持ち歩の枚数が逆転し、後手が十分だろう。
△34歩には▲77桂と受けるのが前手▲86馬との連携だ。
ここでパックリアン特有の上手い手順がある。
△56竜 ▲68玉 △31角!!
最終手△31角が32銀型を活かした秘手である。馬を消せば先手の主張も消える。しかし、かわしたりするのはあまりにも辛い展開だ。ここでは後手パックリアン側がリードを奪っている。
このあたりまでを押さえておけば▲44同角は怖くなくなるだろう。
①と②の結果図から以降の展開は「基本変化その先へ」という記事を書く予定(有料)なので、自分で調べるのが面倒な方はそちらを読んで頂ければと思う。基本的なことは無料公開、やや込み入った内容は有料でという構図で予定を立てているので、良かったら、本当に気が向いたら、ご支援を。