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コズミック右四間研究 ②-D ▲78金へのアプローチ法

前回の記事

1、▲78金型最後の手段、四間飛車を冷静に咎めよう

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本記事は②78金の最終稿となる。四間に回ってくる相手にはまず端歩を突いておく。

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これは先手としてのデメリットを考えれば9割方相手をするはずだ。▲16歩と突き返されて、コズミックは△72銀といつもの歩調。

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この後は銀を素早く54へ繰り出していくことになるが…

まず基本的な事として、左金を上がり四間飛車にして右に玉を囲うということは、通常の四間飛車と比べてやはり辛い部分が多いと思った方が良い。

すなわち例えば「普通に美濃囲いに組んで右四間からの攻めを待つ」というのは上手くいかないということだ。具体的な局面を貼っていく。

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片美濃から特に工夫なく待機した場合は、固く組み合われて上図のような仕掛けをされても厳しいだろう。進行例は▲同歩△同桂▲同銀△同飛と大駒をぶつけていってコズミック完全作戦勝ち

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また早々に▲69飛と引いて左金を右へ寄せていき普通の四間飛車のように振舞うのも手損がひどく、後手の形の方が常に良いという状態になってしまう。例えば上図のようになると一番良い時(▲27銀と銀冠を目指した瞬間等)に仕掛けられてしまう。これもコズミック完全作戦勝ちデジャヴュといったところだ。

コズミック視点からすると、通常の四間飛車にしてもらう分には何の不満もないということだ。

2、禁断の秘技、雁木四間飛車

では何も恐れることはないのだろうか。それは違う。四間飛車に振る本当の目的は別にある。その驚くべき手順をみていこう。

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上図から▲69飛 △42玉 ▲68銀 △63銀 ▲67銀 △54銀

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飛車を引いて雁木の形を急ぐ。通常形と違い飛車の支えがあるため、コズミック側からも早い仕掛けは難しい。それを利用して雁木を組み切ってしまおうという魂胆だ。コズミック憎らしい!

さて、ここからどう組むか。結構手順は難しい。例えば▲48銀と上がるのは△65歩からの仕掛けを誘発するだろう(後に△28角と打ち込みがあったり制約が大きい)。緻密にやっていくならばここは先に▲56歩から▲58金と上がるところだろうか。

上図より▲56歩 △74歩 ▲58金 △32銀 ▲48銀

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ここで△65歩と仕掛けることも出来なくはないが、コズミックの囲いが中途半端であることと、先手の陣形の分厚さを考えるとあまり得策ではない。もう少し固めて、先手の手が飽和するのを待ちたい。

上図より△52金右 ▲57銀 △31玉 ▲48玉 △73桂

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さあ、ついにこの研究記事で初めてちゃんと雁木が組みあがった。何という苦労だろう。コズミック涙が出ますね。後手も左美濃を完成させて桂を跳ねて攻める準備は万端。あとはタイミングを見極めるだけ。

このまま雁木右玉まで完成させてしまうと全く面白くない。但し手順は先手としても中々悩ましい。例えば▲46歩と突きたくなるが△65歩から仕掛けられたときの28のスペースが気になる。後々に角を打ち込まれて香車や桂馬を拾われる展開は避けたい。ということで▲38玉が妥当ではないか。

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後手もすぐには仕掛けない。△33角と上がって更に準備する。玉を深く囲う意味もあるが、6筋の仕掛けの後に先手から角交換をすると△33同桂と攻撃に参加できることをも見越している。

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先手も手は難しい。まずは▲46歩からみていく。これにはすぐに△65歩と突いていって手になる。

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▲同歩か或いは▲36歩と待つくらいだろうか。

▲同歩なら以下△88角成 ▲同金 △33角 ▲77角 △65銀

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▲66歩を打たないともたないが、角を交換してから打つか交換せずに打つか悩むところだ。ただ、角を交換してからの場合は△33同桂の攻撃力が気になる。具体的に進めた局面を下に貼る。

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一旦収まっても△44歩~△45歩とぶつけられて再度の△65歩や84や24などの好地点への角設置も見せられると、超攻撃型コズミックの前に先手陣が持つ気がしない。

ということで角交換はせず単に▲66歩と打って我慢してみる。

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流石に一度銀を撤退するしかないが、先程と同じように△44歩から争点を作っていくのが好着想だ。

上図より△54銀 ▲78金 △44歩

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先手は待つ手に困っている。▲36歩は△45歩と突かれて▲同歩△同銀が36の歩に当たってくる。仕方なく▲47金を先に指すところか。しかしそれでも△45歩の仕掛けがある。

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見た目以上にきつい局面だ。後手からは再度の△65歩が権利として残っている。例えば▲45同歩以下△65歩▲同歩△同桂…

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これはちょっと持たない格好だ。角交換して角を逃しても△33同桂と二枚桂の恐ろしい悪夢を見ることになる。

かといって△65歩に▲58銀のような辛抱では一生幸福になれないだろう。

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3、雁木四間飛車と②78金型の総括

かなり苦労を重ねて雁木を組むことには成功したが、それでもコズミックの激しい攻撃の前に先手陣は崩壊することとなった。ちなみに先述の変化は「▲88角で待機」していたが、早々に▲77角と上がってきた場合でもコズミックは冷静に、左美濃完成から△44歩~△45歩を狙う展開で咎めにいくことが出来る。これも実戦で試してみてほしい。

ここまでくると雁木を目指すことが難しいのではないか?と思い始めてきているかもしれない。それは書いている私にも分からないが、ひたすら攻撃されることを思うと、とてもじゃないが頑張る気が起きないというのが人の感情ではないか。コズミック申し訳ない

ということでその感情の最後の裏付けを次回から③77角の記事でやっていきたいと思う。③はこれまでの攻め筋の復習のような感じになるので、そんなに目新しくはないが、自分がコズミックを使う時のことを思って参考にしてもらいたい。

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