コズミック右四間研究　①-C ▲78銀(68銀)への最速攻

前回の記事

１、▲65歩は取りに行け！

前回までは▲67歩と銀を後ろから守る手に対する手段を書いた。本記事では▲65歩と守っていく手へのコズミックの考え方を書いていく。結論から言うと「この65歩を取る」ことが目標になる。

具体的にどうやっていくのか。基本的な形を覚えてしまおう。

基本的には△72銀～△74歩～△73桂という組み方で問題ない。まずは△72銀に対して、恒例の▲48銀から見ていこう。

ズバッ！！！

こんなの喰らったらやる気起きないね。飛角交換でも急所に馬が出来てはもちろん先手が勝てないし、かといって銀取りを防ぐ手段もなさそう。これは論外の展開。

仕方ないということで戻って△72銀に一旦は▲78金と上がるくらいだろう。後手は△74歩と予定通り。

もう一度▲48銀チャレンジをしてみようか。どうなるか。

実は△73桂と跳ねられてこれも困っている。例えば▲56歩と何とか角の利きの遮断を間に合わせようとしても…

ズバッ！！！！

△65飛の痛烈な飛車切りがある。以下▲同銀 △88角成 ▲同金 △65桂。

駒損ではあるがもう攻めが切れない。コズミックにはこれがある。△66角、△79角や、△57銀、ほか49金が動けば△39角の筋など、手段が多すぎる。持ち駒が飛角のみではどうしようもなくなってしまった。

やはりこの形でも▲48銀は相当上がりにくい手だった。

２、金上がりの慎重派には右四間の通常形で歩を払え！

▲48銀の前に金で上部を厚くしようと▲58金という苦心の手を先手は捻りだした。しかし構わずコズミックは基本形を作る。

以下▲67金右 △42玉 ▲48銀 △63銀 ▲56歩 △54銀。

何ともはや、あっさりと65の歩が助からなくなってしまった。序盤であっさり歩切れの一歩損は敗勢レベルである。とは言え助ける手段もないので▲55歩とアヤを求めるも、構わず△65銀と出るのが好手だ。

▲55歩 △65銀 ▲同銀 △同飛

これは見た目以上に先手が辛いだろう。攻めにも受けにも手段に窮してしまった。

では手順途中の▲48銀がココセではないのか、代えて▲55歩を急げば…と思った方は鋭い。しかしこれにも用意がある。

角道を遮断しても、銀の進出を阻むことはできない。△64歩が好手で先手陣を突き破ることが出来る。

コズミック相手に▲65歩を守り切ることがそう簡単ではないことが伝わってきたのではないか。

３、四間飛車で支える手には△65桂のキックだ！

左に金銀を運んでもどうにもならなかった先手はついに奥の手、四間を出してくる。これに対してもコズミックは不条理な手を用意している。

考え方として、そもそも左金を上がった四間に対して無理に行く必要はない。ということを覚えておいてほしい。実際に先日のV名人戦のギア・マキナさんとの将棋で、私はじっくりと駒組をする作戦を取った。

…と言えば格好いいのだが、半分嘘である。

本当はここで早い仕掛けがあることを研究漏れしていた。正確に言えば、手としては準備の時に目に入っていたが検討したつもりになって忘れていた。

上図、実は既に後手は△65桂と跳ねる準備が出来ている。例えば▲48玉と上がる手にも跳んでいける。この際「ハイパーコズミックキーック！」と掛け声をしても良いかも知れない。

これを▲同銀と取れないのはきついが、取るとどうなるか。

▲同銀　△88角成　▲同金　△79角

これは決まっているだろう。例えば▲78飛には△88角成と切って△65飛もあるだろうが、切らずに単に△65飛と銀を取っても▲79飛に△68飛成の王手飛車取りがあっては、先手は79の角を取れない格好だ。

戻って基本図で考え直す。

ここで▲77角と上がり、角交換の場所を変える手はどうだろうか。しかしそれでも△65桂が成立する。

ハイパーコズミックキーック！

パッと見は▲同銀と取って何とかなりそうに見えるかも知れない。しかしコズミック側に厳しい用意がある。

▲65同銀に△67歩が気が付きにくい叩きの歩だ。▲同飛なら△66歩と更に叩いて▲65銀が助からない上に自陣が相当乱れる。▲22角成は△68歩成が王手で飛車を取られる。仕方なくここは▲同金と取るところだろう。

▲67同金　△65飛　▲22角成　△同銀

先手は普通に対応していたのに、随分と変な恰好になってしまった。▲66歩で追い返すのも冴えないし、捻って▲77桂では△67飛成～△78角と一気に先手だけ終盤戦にされてしまいそうだ。

ハイパーコズミックキーックおそるべしだ。

こうなったら、もう一度再序盤に戻って▲78金も省略して四間で支えるのはどうか。

いずれもコズミック不惑の構え。何も変える必要はない。後はキックをかますだけだ。全力で受けるなら▲77桂を跳ねたりするかもしれないが、そこでじっくり路線に切り替えれば、やはり65の歩は受からない。

４、▲65歩支えの総括

たくさんの工夫を行ったが、打った▲65歩を支えることはできなかった。簡単な構えから６筋を食い破っていく攻めは痛快と言えるだろう。次回は△62飛に対して歩を打たずに▲68飛と回って受ける手を攻略する。これもコズミックの術中にはまるのだ。