高額翻訳講座が後を絶たない件について
翻訳業界に情報商材屋が殴り込んできて今年で3年目。商材屋は、「産業翻訳講座」、「特許英訳講座」、「マーケティング翻訳講座」なるものを30万、50万という料金で次々と打ち出している。
講座の共通点
1)LINE、メルマガに誘導してステップメールを1週間送り付ける。
2)公式ウェブサイトはあっても詳細は記載されていないため、LINEに登録するしかない。
3)高い英語力やPCスキル不要、最短3か月で時給5000円目指せる、という甘い言葉をちりばめている。広告が無駄に長い。
4)オンラインで自由な時間に勉強でき、チャットサポートで質問し放題!
↑大事なので覚えておいてください!(私はもう長い広告は信じません!)
情報商材屋は、英会話にお金をつぎ込んだ層を狙っている。「ここまで頑張ったんだから、稼ぎましょうよ!仕事しながら英語が学べますよ!」という宣伝に引かれる人、英語講座を受けていませんでしたか? 相手は受講者名簿を使ってマーケティングしてます。気を付けなはれや!(○○先生の紹介って、ホントに大丈夫?)
また、業務で翻訳に係わっている人、専門分野があって英語にも馴染んでいる人もターゲット。コロナ禍や不況、病気、育児、介護など、転職せざるを得ない、在宅で仕事をせざるを得ない人はたくさんいる。定年前にセカンドライフに備えたい人も。英語力や知識があるからこそ、翻訳ならできるかもと思うものだ。私もそうだった。病気で退職し、早く翻訳できるようになりたいと焦っていた。翻訳スクールの試験で目が覚めて3年計画に切り替え、なんとか食べられるようになったが、あのとき情報商材翻訳講座があれば、引っ掛かって虎の子の退職金をつぎ込んでいたと思う。落ち着いて! 時間をかけて確実に学習しましょう! そのお金があったら、老舗スクール行った方がいいですよ!
情報商材というのは、「儲かる方法(昔はPDF)を情報として提供する商売」である(もちろん、儲からない)。儲からないと相談すれば、もっと高い情報を買わされる。オンラインサロンで洗脳され、騙されていることも気が付かない。人の欲につけ込んだ商売だ。
高額翻訳講座も、PDFの代わりに動画を提供、オンラインサロンの代わりにオンラインセミナーとチャットを使って洗脳する(ネガティブな発言禁止らしい)。英語が伸びない人には追加で基礎講座や英会話講座を薦め、マンツーマンの追加指導でまた金を取る。金、金、金!(怖い)
一般的な翻訳スクールでは、週1回の授業で受講生の訳を講師が添削、間違いの理由や調査の仕方をみっちり習う。1回数時間で1回分が1万円くらい。プロに質問し放題なので受講したら価値が分かるはずだ。1年で30万円くらいだから、よく似た料金である。
ところが、情報商材講座は動画を見て自分で真似をするだけ。更に、教材(日本語と英語のペアがあるもの)を「自分で」探して訳すよう指導される。添削は、なんと30万円のコースで1回だけ。教える講師もその講座の出身者やアルバイトサイトで募集した人材。考えてみてほしい。水泳の方法をずっと自習して、1回だけ素人に毛が生えた人にコーチングを受けたら、泳げるようになるだろうか。これでは伸びるわけがない。
悪質な情報商材であることがお分かりいただけたろうか。また、情報商材屋はマルチを組む。少し稼いだ受講生を情報商材の売り手にして、新たに人を集める。最初に払うお金が一番大事なので、永遠に人を集め続けるためには支店を増やすしかないのだ。高額翻訳講座も、1つ目の講座で稼げるようになった者が3つ目の講座の主任講師である(ちなみに、在米20年以上。つまり高い英語力が元々あったわけだ)。完全にマルチだ。
さて、今日のTakeawayは、こちら!
1)LINEに誘導されたら、撤退! はやい、簡単もありえな~い!
2)翻訳者になりたいなら、まずは2021年4月20日発売『新版 産業翻訳パーフェクトガイド』(1980円)読んでください。
https://www.ikaros.jp/sales/list.php?srhm=0&tidx=36&Page=1&ID=4963
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