ユーザーインタビューで課題の質をあげるための9手法
新規事業において、ユーザーインタビューを実施し、課題の質を高める事が重要とされています。ですが、ユーザーインタビューのやり方がまずいと、以下のような事態に陥ってしまいます。
インタビュアー「○○のような課題を感じたことってありますか?」
ユーザー「ある!めっちゃわかるー」
インタビュアー「お、これはいけるぞ!!」
ユーザーの心の中
(ノリで答えたけど、既存のサービス使っててあまり困ってないかも)
(その課題に直面するのは、年に2回ぐらいかも・・)
だいぶ端折りましたが、けっこうあるあるではないかと。そこで、正確にユーザーの抱える課題を理解するための手法をまとめてみました。
1. ファクトベースで質問する
・「労務手続きって大変ですか?」だと、相手はもちろん「大変です」と答えるのでダメ
・「従業員が新しく入社したときの手続きの仕方を教えてください」「手続きにどのくらいの時間がかかっていますか」のようにファクトベースで質問する
・もし相手が本当に課題を感じていれば、途中で「自分から」大変だったエピソードを語り始めてくれる
・語り始めたら、定量的に聞き返すことが大事。「かなり待たされた」ではなく、「何時間待たされましたか?」
2. 課題の強さを聞く
・「この課題の痛みを10段階で評価するとどれぐらいですか?」
・「この課題を解決できるなら、いくら払えますか?」
・「代替案の不満なポイントはどこですか?」
・「どのぐらいの頻度で課題を感じますか?」
・「どのぐらいの頻度で既存の代替品を使いますか?」
3. 課題の前提を検証する
起業の科学より
ジャベリンボードを使って、「カスタマー」「課題」「ソリューション」「課題の前提条件」のセットを検証する。課題だけでなく、その前提条件が満たされている必要がある。
課題仮説「公共機関のWi-Fiが外国人旅行者にとって使い物にならない」
検証すべき前提「旅行者はモバイルWi-Fiルーターを持っていない」
(もしモバイルWi-Fiルーターを持っている人が多ければ、それで課題は解決していることになる)
ジャベリンボードのイメージ
4. 2番目に困っていることに着目
・ユーザーが「無意識的に解決している課題」を知る
・「キーワードカード」を使ったヒアリングを実施
・「この中で、特に困っていることを3つ教えて下さい」と尋ねる
・実は「2番目に選んだキーワード」の方が、その人の本質的な課題
・自己流で解決している「エクストリームユーザー」をヒントに、それをマスに届ける事業アイデアを考える
5. 課題仮説とソリューション仮説を、ユーザに言語化してもらう
・モックアップを声に出しながら自由に使ってもらい、最後にある質問に回答頂く
・「さわって頂いたサービスについて以下の空欄を埋めてください」
・『これはa.○○という課題をb.○○という方法で解決するサービスです』
6. WHYは聞かない
・「なぜ」という論理説明を求められるとその場で回答をつくりあげるおそれがある
・なぜ?という問いかけは意図せずとも相手に非難的な印象を与えてしまう
・過去の経験を引き出す抽象度の高い質問を投げかけた後に、回答に応じて深掘りする際に、WHY以外の4W1Hを用いることが多い
・ex) なぜそうしているのですか→いつからそうしているのですか?
・ex) なぜそれをしないのですか?→何がそれを妨げているのですか?
※なぜを深掘りすることを薦めている書籍やWebサイトもあり、ユーザーの発言量や信頼関係によっては、なぜを聞いてもよさそう。
7. より強く課題を感じるユーザーがいないか探る
リーン顧客開発より
・「他に誰がこの問題を体験していますか?」
8. 主観は切り分けて分析する
分析のときに、「言ったこと」「やったこと」「観察者の解釈」「仮説」の4つが混ざらないようにする
9. 話しやすい雰囲気をつくる
勉強会メモ「THE GUILD勉強会 〜ユーザーインタビュー設計〜」より
・謝礼を一番最初にあげちゃう
・サービスの悪口を一緒に行って盛り上がる
・ポジションは相手と90度の位置(斜めの位置)
・対面だと敵対心を感じさせてしまう
・隣り合う位置だと親密過ぎてしまう
・自己紹介のときに少し個人的な話を含ませ、警戒心を和らげる
・相手の気持ちに関するキーワードをオウム返しして、共感を生み出す
おわりに
上記の手法をとりいれれば、誤ってユーザーの課題を理解することはなくなるのではないでしょうか。特に、1-3が重要だと感じます。
ただし、課題の質を高めて良いプロダクトをつくるためには、さらに一歩進んで、ユーザーのインサイト(言語化できてない潜在的な課題)を得なければいけません。
「2番目に困っていることに着目」するなどは、インサイトに近づいている感ありますが、まだまだ自分自身インプットしたり・実践していってみます。
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今後、「新規事業」や「デザイン × エンジニアリング」まわりの情報発信を増やしていくので、よろしければnote/Twitterのフォローお願いします。
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