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例えば左腕を袖から抜く時に。その箱庭は世界に繋がっている

加齢や障害により自身で着替えることが難しい場合、その工程のサポート(介助)することを『更衣介助』といいます

介護に直接従事する人や家族介護をする人にとって『介助」は「しなくてはいけないこと」だ。  

「しなくてはいけないこと」は着替え以外にも色々あるし、時間は有限。
辿り着きたいゴール自体は決まっている。

本来『誰がやったとて変わらない』結果を
無理なく、そして、手早く目指す。

だが、その上で、フィニッシュに至る工程には可能性と選択肢がいくつもある。

過去の経験と様々な考え方、
今日の体調や事情、
近未来の状況を想像、
そうした観点から
『今日はどんな風にゴールテープを切ってもらうのか』をイメージする。

気温や湿度も違えば摩擦係数、可動域も変わる。

例えば左腕を袖から抜く時に、
どれくらいの角度で相手の指に手を添えると
過敏な末端を引っ掛けずにスムーズに
次の工程へ移行できるか。

『更衣介助』というお約束のベースラインを結果『誰がやったとて変わらない』様式と『様々なシーンを想定する』柔軟さを持って繰り返す。


《箱庭》が自分を取り巻く環境との在り様のメタファー(あらわれ)となる様に

更衣介助をはじめ「しなくてはいけない」介助、そこに伴う動作の繰り返しも
組織や人的対応のメタファー(言い換え)だ。

他者に教えるとか、コーチングする想定がそこにあるのなら尚更。

例えば左腕を袖から抜く時に、
何を念頭に置くと説明する?
その時、どこを見ておくことを示す?

本来『誰がやったとて変わらない』結論を《様々な要素》を鑑みながら、
過去から学び、未来を想像し、
現在を見据えて落とし所を決断する
そこにある熱を
両の手の中に掴ませる為、
どんな表現をつかうか、
どんなビジョンを共有するか

例えば左腕を袖から抜く時に、
溢れるイメージや想像力
それはきっと猛烈なロックンロールだ。
それは、必ず誰かを強烈に揺さぶり
伝播する。

例えば左腕を袖から抜く時に。
その箱庭は世界に繋がっている






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