13ホワイトアウトの向こうの灯火
『13ホワイトアウトの向こうの灯火』
0823文字で
おやすみなさいに繋がることを書こう。
日本全土に大寒波です。
阪神間も雪花が舞う中、
足元はアイスバーン…ロマンチックと現実が、
共存する風景。
子供の頃、湿った雪が押し固まって積もる、
山陰地方の港町に育ち、
他聞にもれず『新雪、誰も踏み荒らしていない場所に踏み込む』時間を過ごした。
冬場、雪遊びした後、
濡れた手袋、靴下など、
後始末、そして汚い雪にテンション下がるのも
当然経験したものだ。
綺麗な雪野原の向こう、
車や人に踏まれた汚れた場所。
そこにも
雪のもたらすロマンチックと現実が見えた。
汚れなき白さみたいな観念は
既に持っていた気がする。
人は『白』に「汚れなき純潔」を投影する。
白いキャンバス、
おろしたてのシャツ、
洗い立てのシーツ。
私たちの無意識のトリアージでは、
ケガレないものは『白』にしておけばいいじゃん。くらいの先入観があって
そうした先入観の識別をもとにこの世は成り立ってきたんだと感じている。
どこかで私たちは(自分たち健常とされる側、
健常と思いたい側の存在を曖昧にして)相対的に社会的弱者を汚れなき存在に仕立て上げてしまう。
高齢者はピュアでかわいい、
障がい者は純真で疑うこともないなど。
でも、それって本人達の有り様を無視してる
勝手な【そうあって欲しい像】だよな。
僕が
高齢者の今の御様子とは別に
かつての姿や
本来当たり前にもつ欲望も、
視野の端におきながら対峙したいと思うのは、
個性あるその存在の方が何万倍オモロいからです(我々がお仕着せするキャラクターよりも)。
時も老いも、チラホラ雪の様に
誰の上にも降ってくる。
降りしきる中、いくら表面が白くなっていっても
その奥にあるのは、生身のドロドロした生き物で、なかなか純潔にはならない《肌色》だ。
その有り様こそが、
ロマンチックと現実が混ざり合う、
ヒトのリアルであり色気だと思う。
そう。
その色気があるからこそ、
僕はその背中を追ってきたのだ。
さて今夜もおやすみなさい。
(以上、0823文字)
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