占いを「適当に」読めるようになってきた
そういえば、このまえしいたけ占い2020年上半期がきましたね。あなたはもう読みましたか?
しいたけ占いとは、VOGUE GIRLで連載している占いであり、若い世代だけでなく広い世代で人気のコンテンツである。しかし実のところ私は以前占いに関心がなく、仕事の義務感からこのしいたけ占いを読んでいた。……いや、下手な言い繕いはやめよう。全く信じていなかった。
「人間の運命がきれいに十二等分にわかれるはずがない。未来なんて当てられるはずもないし、超自然的ちからがあるわけがない。レトリックによってうまれる錯覚だ。占いを信じるなんて、オカルトを信じるのと同じだ!」みたいな気持ちだった。
ところがである。
最近『考具』という本を読み、その考え方が変わるきっかけとなるキーワードにであった。
「カラーバス効果」というやつである。
例えば、君のラッキーカラーは赤だ!といわれると普段気づかない町中の赤ばかり目にはいってくるようになる、というものだ。心理学でも認められる効果のひとつらしい。
なるほど。勝手に自らに気づきを与えることができる、効果的だ……
という事はほかにも占いに関する心理学があるのかな、と調べてみれば、バーナム効果というのもあるらしい。
バーナム効果(バーナムこうか、英: Barnum effect)とは、星座占いなど個人の性格を診断するかのような準備行動が伴うことで、誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、自分、もしくは自分が属する特定の特徴をもつ集団だけに当てはまる性格だと捉えてしまう心理学の現象。
はは~ん、なるほど~~それ漫画でみた〜〜
どうやら占いっていうのは、人間だれしも影響を受けてしまうような効果がいろいろ入っているらしい。
いや、正確に言うと逆なのである。
いろいろと効果がある占いを、やっと最近科学がその効果を説明できるようになったということだ。
占いとは、有史以前よりはじまっているそれこそ文化もくそもない時代からの大人気コンテンツだったのだから。遺伝子レベルで、人間は占いが好きになるようにできているのだ。いや、好きだからな今の今まで占いという文化がつづいているのだ。
占いを読んでいる人は、何も100%信じているわけではない。「なんかいいことあったらいいな~自分がなんかハッピーになるきっかけ転がっていないかな~」という気持ちで読んでいる。それが楽しいのだ。
楽しいことといえば、Twitterも占いと同じ類なのかもしれない。
Twitterで意識高いアカウントをフォローするのも、「なんかいいことあったらいいな~自分がなんかハッピーになるきっかけ転がっていないかな~」という気持ちとそう変わりはしない。
検証しようがない「そのものズバリのこと」「今後の予測」「おすすめの習慣」をあーだこーだいうことなんて、占いそっくりだ。(実際意識の高い発言を、100%信じて実行するやつなんているのだろうか?)
正しいか否かなんて、効果の検証なんてどうでもいいのだ。
なんとなく効果がありそうな情報を摂取することにこそ、意味がある。
ならば、遺伝子レベルで好きになってしまうものに、わざわざ逆らう必要なんてあるのだろうか。わざわざ疑い、あらを探して否定するようにするのはカロリーの無駄というものではないだろうか。(だってこれから何年も生きていくうえで、テレビで、雑誌で、漫画で、きっと死ぬほど占いコンテンツを見る羽目になる)
未来を当てられるかというのはともかくとして、人が前向きになるという効果は確かにあるのだから。
だったら、利用しない手はない。
こうして私は、占いを素直に読むようになった。
雑誌を読んだら必ずうお座をチェックする。どんな意味不明な占いでもとりあえず見るし、アドバイスもとりあえず頭のすみっこにいれておく。(コツは都合の悪いことは全て読み飛ばすことだ)
するとどうだろう。
占いは私をひたすらに応援し、欲しい言葉を贈ってくれ、認めてくれる存在になった。しかも毎週どころか、下手したら毎日新しい、別の言葉を贈ってくれるのである。
発見は多くなるし、なんかポジティブになるし、友人とお天気の話以外の会話の種もできる。万々歳である。何より楽しい。
ああ、私にとって占いとは信じるものじゃなくて、占いの言葉を借りるものだったのだ。占いを全くみない人は、逆に一度読んでみるといいかもしれない。