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まずは佐賀で『人に出会う旅』してみませんか?
「なんもなか」と言われがち、そして言いがちな佐賀県。そんな佐賀に移住して半年、その魅力は人であり、また人に出会いやすいことだとわたしは感じています。移住したいと思ってから、また移住してからぶつかる壁には、仕事、住居の他に、「知り合いがいない!できない!」というのもあるかと思います。そこで佐賀の人や出会いにまつわるわたしの経験談を元に、「佐賀の魅力は人だよ!佐賀は人に出会いやすいよ!」という観点から、移住先としての佐賀県をPRしてみたいと思います。具体的には、この半年でわたしが出会った人のことや、佐賀での出会いを加速させるプロジェクトについてもご紹介したいと思います。もしも佐賀の人や佐賀での出会いに興味を持っていただけたら、まずは佐賀で『人に出会う旅』してみませんか?
わたしのこと
日髙涼子
現在35歳、滋賀県出身、大学進学を機に石川県へ
全国展開しているコーヒーチェーン店へ就職
石川県、富山県、東京都で店長を、また本社の環境関連のチームで働く
東京生活が8年程続き、地方への異動希望を出すも、待ちきれず転職を決意
佐賀県の地域おこし協力隊『山菜料理人見習い』として移住
猫1匹と佐賀市の街中のマンションに居住
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わたしの佐賀移住
わたしの唯一の佐賀との接点は、当時お互いに東京に住んでいた佐賀出身の20代女子。佐賀の魅力について聞くと「何もないですよ~吉野ケ里遺跡くらいですかね~」との回答。残念ながらその回答は旅をするきっかけにさえなりませんでしたが、それから数年後、わたしは仕事を辞め東京から佐賀へ移住してきました。当時、都会でないどこか地方で、そして仕事と生活がリンクするような暮らしがしたいと考え、まずは仕事を探すことから始めましたが、転職サイトからは魅力的な仕事は見つけられず。しかし登録していたWEBマガジン「greenz.jp」である募集記事を見つけます。それは佐賀県が募集する『地域おこし協力隊』で、中山間地域の活性化や魅力発信が目的の『山菜料理人見習い』というとても面白そうなものでした。
わたしが出会った佐賀の人①
まず出会ったのは佐賀県庁さが創生推進課自発の地域づくり担当の上滝寛記さんです。コロナ下ということもあり、採用決定までオンラインや電話での対応のみでしたが、それでも伝わる誠実さと前のめりさと謙虚さ。前職でアルバイトの面接や採用決定連絡の際にそれらをかなり意識していたわたしでしたが、負けたと感じるくらいの好印象でした。上滝さんのお仕事は、そこに住む人にその土地をもっと好きになってもらい、今後も持続可能な地域をつくる手助けをすることです。毎日のように県庁を飛び出し、県内全域に足繫く通い、それぞれの土地で地域の課題を解決しようと、また地域を盛り上げようとしている『キーパーソン』を見つけ出し、お互いを繋ぐ場を作り、これまで以上に輪が広がることで、自発の地域づくりが育まれることを目指しています。ほぼ毎日県内を飛び回っているため、佐賀県庁に来ると会えるよ、と言えないのが大変申し訳ないです。
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わたしが出会った佐賀の人②
次に印象深い出会いだったのが、見習い先である山菜料理専門店『森の香 菖蒲ご膳』を立ち上げられた西要子さん。ご挨拶に伺ったその日に「それであなたはこの先どんなことをしていきたいの?」と直球の質問をいただきました。そのうえで「わたしたちにできることならなんでも協力しますよ」との力強いお言葉もいただきました。これも前職で、スタッフとの定期的な面談の際にわたしが問いかけていた言葉と同じでした。でもふと「最近のわたしにはその思いがなかったかも」と気付いた瞬間でした。また「山菜について学ぶため『菖蒲ご膳』に通ってます」と伝えると、多くの方に「西要子(さん)知ってるよ!」と誇らしげに返されます。元は地元の人に地区の良さを知ってもらうため始めた、公民館での月1回の山野菜料理会。それが評判を呼び、今では嘉瀬川ダムの畔に立派なお店を建てられました。働いているのはこの地区に住むお母さん方。忙しい中でもお茶の時間はしっかり、みなさん『菖蒲ご膳』で働くことがとても楽しそうです。山菜料理を食べに、そして楽しいお母さん方に会いに来ませんか。
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わたしが出会った佐賀の人③
3人目は『bana cha』の屋号でお茶の栽培や加工、お茶会などのワークショップ、そしてバナナの栽培をされている馬場佐和子さんです。海外で日本語教師として働いていた経験もある佐和子さん。佐賀に戻ると、山の中には放棄された茶畑や、高齢化で今は手が入れらていない茶畑があることを知ります。佐賀市富士町の苣木(ちゃのき)や上無津呂(かみむつろ)地区にはお茶の木があちこちにあり、昔は家ごと、集落ごとにお茶を摘み釜炒りして飲んでいたそう。昔から続いていた地域の手仕事、釜炒り茶文化の再生を決意し、その地域の方々から習ったやり方で釜炒り茶を作られています。地域おこし協力隊のOGに紹介頂いてから、茶摘みやイベントをお手伝いさせて頂いたり、大分県まで茶摘みの見学に行ったり、色々な場にお誘いいただき、おかげで知り合いが一気に増えました。佐和子さんのお茶会は美味しいお茶はもちろんですが、佐和子さんの楽しいおしゃべりで参加した人同士も仲良くなれちゃう会となっています。またバナナの日、8/7に実施したお茶会では、なんとバナナの葉を煎じたお茶も!何回参加しても楽しいお茶会を目指し、いつも新しいことにチャレンジしているとのこと、一期一会のお茶会に是非参加してみてはいかがでしょう。
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わたしの直前の住まいは東京、しかもカフェで働いていたので、人との出会いは多くあったように思います。しかし佐賀に移住してからの出会いは、より濃く、そして広がるのが早いと感じています。これまで何度か引っ越しをしてきましたが、仕事じゃない知り合いをつくるのは中々難しかったです。佐賀に来て、誰かから誰かを紹介していただくことも本当に多く、次にご紹介するのはわたしも7月に紹介されたばかりの藤井ちづるさんです。前の3人は佐賀県出身、藤井さんは移住者ですが、前の3人同様に人を集めたり引き付けたり出会わせたりする才能をお持ちな雰囲気。そんな彼女から「佐賀に移住したきっかけは人だった」と伺い、インタビューさせて頂くことにしました。
わたしが出会った佐賀の人④
人がきっかけとなり佐賀に移住してきた藤井ちづるさん
東は有明海、西は多良岳山系に囲まれた佐賀県鹿島市。この鹿島市には国の『重要伝統的建造物群保存地区』が2か所もあり、そのどちらもが肥前浜宿という地区にあります。その歴史的な景観の保全、伝統的建造物群の修復保存を担っているのが『NPO法人 肥前浜宿水とまちなみの会』で、藤井さんは7月からこのNPOで働かれています。NPOの事務所は『JR肥前浜駅』内にあり、駅の業務と、駅ホーム直結の日本酒バー『HAMA BAR』の運営を受託、藤井さんには『JR肥前浜駅』や『HAMA BAR』で会うことができます。
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藤井さんのこれまで
「出身は北海道で、大学進学のため北九州へ、大学では文学部を専攻、ただ文学というより文化や社会学、フィールドワークなど、当時から人に興味がありました。学業の傍ら、大学2年の時に劇団を立ち上げ、そこで舞台製作として劇団のマネジメントや事務、チケット販売、宣伝などのサポート業務をしていました。卒業後、正社員として働くことには魅力を感じず、コーヒーや人とのお喋りが大好きだったので、喫茶店やカフェでアルバイトをしながら、個人事業として劇団での経験を元にカメラマンや広報物制作をしていました。さらにもっと何かできないかと思い立ち、2か月間休職してプログラミングスクールに通い、それ以降はHP作成などもしていました。アルバイト先でメニューを撮影したり、そこでのお客様から撮影やHP作成依頼を頂いたりすることもあり、一石二鳥以上に良いアルバイト先でした。」
藤井さんの移住のきっかけ
「どちらかというと欲は少ないけれど経験への欲は強いと思う。国内外いろんなところに旅行したり、タイまで古式マッサージを習いに行ったり。色々なことに興味があり、20代はふわふわ生きてきたかな。北九州に11年程住んでいて、そろそろ北九州を出る頃合いだなーと思い移住を決意。身体一つで働けることもあり、本当にどこでも良かった。何人かに相談したところ、北九州に来た頃からの知り合いに、ピンポイントで肥前浜駅近くの『ゲストハウスまる』の島﨑さんを紹介してもらいました。他にも移住の候補地はあったものの、結局実際に訪れたのは肥前浜宿のみ。島﨑さんに肥前浜宿を案内していただくなかで、すごくいい街並みだなぁ、空が広いなぁ、朝日がきれい、夕日がきれい、ロケーションが魅力的!と思い、さらに新籠海岸で見た夕日があまりも綺麗だったので、カメラマンとしてこの魅力的なロケーションで撮影したいと思いました。車の免許はあるけど持っているだけ、肥前浜宿は自転車で駅にも役場にもコンビニにもスーパーにも行けるというのが決め手となり、サクッと肥前浜宿への移住を決めました。また島﨑さんから『水とまちなみの会』の事務局長の中村さんを紹介いただき、兼業へも配慮してくれること、かつて観光業に興味があったこともあり、ここで働くことを決めました。
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藤井さんの今後やりたいこと
「今までより腰を据えて、街にコミットすることがしたい。今考えていることは、肥前浜宿をテーマパーク化したい。肥前浜駅という入場ゲートをくぐり、この街を楽しみに出ていき、行った先々でキャストが居て、お客様が色々な体験をして、さらにキャストが楽しませる。今も店はあるし、キャストとなるような人もいるが、まだ『見える化』されていない。地元の方だけでなく、外から来たお客様、移住者も受容しやすいようにできたらと。自分が移住してきたことで、例えば関係人口の増加など、何かしらの影響が出せたら嬉しい。あと最後はやっぱり『人』。地域はハブとなる人がいれば活性化される。マップでは場所にピンが立つけれど、『人』がピンになればもっと分かりやすい。それぞれの地域、それぞれの分野でハブとなる『人』がいて、会いに行けるとよりその地域の魅力が分かりやすくなる。」
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藤井さんの移住のきっかけとなったゲストハウスまるの島﨑さんはもちろんですが、藤井さんも既にハブとなる人になり始めているように思えます。これからの肥前浜宿、とても楽しみです!
そして、ハブとなる人は人が集まる場を持っていることが多いように思います。例えばカフェもそのひとつ。実際、最近わたしもカフェのオーナーさんから人を紹介されたばかり。そんなカフェを紹介してくれるアカウントが『GOOD NEIGHBOURS ONLY』です。
佐賀での出会いを加速させるプロジェクト
Instagramのアカウント『GOOD NEIGHBOURS ONLY』では、コミュニティとなるようなカフェが紹介されており、その中には『コミュニケーション度』や『長居できる度』の指標も。どちらもカフェのオーナー自身に5段階で評価してもらったとのこと。新しい土地での知り合いづくりは難題ですが、『コミュニケーション度』が高いカフェに行けば出会いがあるかも。また逆に疲れた時など、コミュニケーションを多くはとりたくない場合にもこの指標は活用できそうです。『GOOD NEIGHBOURS ONLY』とは、佐賀に暮らす人が、このアカウントを介してつながり、さらにはリアルでもつながっていけるような仕組みを提供するプロジェクト、とのこと。実はInstagram上でのカフェの紹介はプロジェクトの一端。今後は移住者に対して、転入手続き時に市町ごとにデザインが異なる『GOOD NEIGHBOURS ONLY』カードを配布し、協賛するカフェやInstagramのアカウントに誘導、リアルでもオンラインでもつながれることを目指していきます。ここでセレクトされたカフェはコミュニケーション度が高めの、コミュニティとなるようなカフェばかり。『GOOD NEIGHBOURS ONLY』を活用すれば、さらに佐賀での出会いが加速しそうです。
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まずは佐賀で『人に出会う旅』してみまんか?
移住を決断するにはそこにいる人とのウマが合うか。わたしは佐賀移住に際し、上滝さんを始めとする県庁職員の方々の印象が良く、そのことが移住を後押ししました。こっちに来て出会う人は、佐賀に来たことを珍しがりながらも歓迎してくれます。引っ越せばまたゼロから知り合いを作らなければと不安もありましたが、実際は東京以上に濃い関係が作れています。そして『キーパーソン』や『ハブとなる人』のおかげもあり、今もますます輪は広がっています。移住を決めるには時間がかかるかもしれませんが、まずは旅先として佐賀を検討してみませんか?ちなみにもちろん、観光するところも、豊かな自然も、美味しいごはん屋さんも、素敵な宿もあります。佐賀へ来たらきっと誰かが紹介してくれるはず。まずは何も決めず、佐賀で『人に出会う旅』してみませんか?
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