"おいしい" 仕事が佐賀にあるってホント? 「移住」の理想と現実の本音トーク!【イベントレポート】
はじめに
2024年6月9日(日)、ふるさと回帰支援センター(東京都有楽町)にて、サガカケトークイベント『さが暮らしセミナーVol.1「移住起業の本音とリアル」 ~佐賀だからできた、"おいしい" お仕事編~』が開催されました!
今回は、『 "おいしい" お仕事編』ということで、飲食店経営や農業など、主に食にまつわるお仕事に興味がある方を対象にしたトークイベント。
会場・オンライン合わせて多くの参加者にお越しいただき、ゲストが繰り広げる移住起業事情の本音トークに、参加者の方々が真剣に聞き入っていました。
【第1部】講演~ 佐賀だからできた、"おいしい" お仕事編 ~
はじめに、さが移住サポートデスクの相談員である矢野さんと中島さんより、佐賀県のあらましやおすすめポイント、県が取り組む移住サポートをご紹介いただきました。
「何もない」と思われがちな佐賀ですが、「実はけっこう何でもあって、暮らしやすい県」だということを矢野さんがアピール。
日本屈指の食材の宝庫で食料自給率は全国7位。薬局・病院病床率全国1位で、海や山などの自然に囲まれており、持ち家比率が高いため子育てもしやすく、出生率は全国5位なんだそう。
移住の際の下見にも使えそうな「レンタカー代が1日1000円」というサービスや、会員になれば引っ越しの基本料金が最大20%オフになどの優待が受けられる「SAGA SMILEカード」など、気軽に移住先の選択肢に入れてもらうための、佐賀県独自の移住支援サービスもあるそうです。
ゲスト講演①:関 正峰さん
お待ちかねの一組目のゲストは、去年のイベントに引き続き、佐賀県内外にて飲食店の経営やプロデュースなどを手がける(株)COREST-LABO 代表取締役 関 正峰さん。
「肩の力を抜いてリラックスして聴いてくださいね」と言う関さんの気遣いに会場の雰囲気が緩んだ次の瞬間、「僕からは、現実はそんなに甘くないよ、ということをお伝えしていこうと思います」との言葉にまた空気がピリッと引き締まり、スタート。
でも、その「移住したあとの現実」が、実は移住起業志望者の方が一番知りたいところなのではないでしょうか。
東京在住時、飲食分野の大手企業でコンサルタントなどをしていた関さん。佐賀へ移住し飲食店を開業したのは、知人から「鳥栖市にある築250年の古民家で飲食店をやりたい人を探している」と声をかけられ、「僕がやります」と自らその物件を引き受けたことがきっかけ。
開業に至るまでのフローはケースバイケースですが、関さんの場合は、まず「物件」と「飲食店」というくくりがあり、移住をしてから業態を決め開業をした、という流れになります。
関さんは、佐賀での飲食店開業を決断後、すぐに物件近くに移住をしました。そのことのメリットとしては「リアルかつ詳細な市場をリサーチできた」「事前の計画段階ではわからない、見えない仕事に早めに気づけた」などが挙げられるそうです。
反面、デメリットとしては「全ての判断が移住後になってしまうので、心身ともに負荷がかかりやすい」「(タイミングによっては)補助金や助成金をもらい損ねることがある」など。
実際に地方で飲食店を経営して関さんが実感したことは、「開店して直後は周りが自然と宣伝をしてくれて、ある程度の売り上げが見込めるが、そのあとの見通しを立てておくことも必要」「土地代や家賃は安いが、人件費は都会とあまり変わらない」「車社会前提のため、距離のデメリットが少ない」などなど。
都会と地方では、経営戦略や周囲との関わり方も違ってくるようです。
では、どういう人が佐賀での起業に向いているのでしょうか?
「僕の経験から言えるのは、『トライ&エラーしていきたい』、『スモールスタートで進めたい』、『自分のペースですすめたい』人。
佐賀は競合が少なく、同業の仲間を作りやすい環境にあります。イベントに参加したりコラボをしたりと、自分からどんどん輪を広げていくことが大事なのではないでしょうか。
もし機会がありましたら、ぜひ佐賀にお越しいただきたいと思います!」
ゲスト講演②:森山誠さん・夏美さん
二組目のゲストは、長崎県と佐賀県の境の太良岳にて、農業や体験農園、宿泊施設を運営する「のんびり山」代表、森山 誠さん・夏美さんご夫妻。
誠さんは長崎県出身のUターン、夏美さんは長野県出身のIターン。
東京で出会い、それぞれに会社員をして働いていた夫妻ですが、お互いに忙しく、すれ違う毎日。「もっと日々の暮らしを楽しみたい」と、誠さんの中にふつふつと就農への気持ちが高まります。
その思いが頂点に達し、ある日下見に行った農園で、気づけば誠さんはその場でオーナーのおばあちゃんと契約を交わし、がっちり握手をしていたそう。そのことを後から聞いた夏美さんは驚いたものの、「それまで見たことが無いほど晴れやかな顔をしていたので、よかったのかなと思いました」。
東京から移住をし、佐賀や長崎ではまだ少なかったブルーベリー農園を始めようと動き出します。
しかし、事前のリサーチは綿密にしていたものの、それまでに就農経験も無く、体力の見極めやキャッシュフローの把握、農園の事業計画書作成など、初めてのことだらけ。
元々は誠さんだけで運営していくつもりでしたが、疲れもあってか、ある日病気で倒れてしまいます。それを機に、夏美さんも農園の運営に携わることに。
山間部・過疎地や農村地域でのビジネスモデルの形成、ライフスタイルの提案を目標に、「日々の暮らしを楽しむ」ために夫婦で様々な試みにトライしていくこととなります。
起業するにあたって、まず行き当たる壁が資金の調達。行政やよろず支援拠点などの各窓口に相談し、「就農準備資金」「経営開始資金」などの補助金・助成金を活用。
空き家をリノベーションして、農園で採れた果実を使ったメニューを提供するカフェを併設したり、収穫時期に合わせた体験型農園を始めたりと、前に前にと進んできた森山夫妻。
地方へ移住起業するために大切なのは、「失敗をプロセスにして楽しむマインド」が大事なことだと誠さんは言います。
「農業を始めてよかったことは、今まで見えなかった遠い未来が見えるようになったこと。畑にはストーリーがあって、近所の誰々さんが続けられなくなった耕作放棄地を僕が受け継ぎ、また育てていく。そうやってまた次の世代に繋げていけたらと思っています」(誠さん)
【第2部】トークセッション ~ 佐賀で起業して儲かるの? お客さんは来るの? ~
第2部では、ファシリテーターである特定非営利活動法人灯す屋代表・佐々木さんの進行で、移住起業のリアルと本音を質問形式でより深く掘り下げるためのトークセッションが行われ、事前アンケートやオンラインのチャットなどから募集した「佐賀での移住起業」への疑問や質問が、ゲストへ投げかけられました。
「佐賀で移住起業するって…」
『佐賀で移住起業する上で、何が大事ですか?』という質問には、「自分がしたいことを素直にやる、それが地方で起業するための大きなポイントだと思います」と答える関さん。
夏美さんからは、「私は最初、農業もわからないし、(加工品のラベルなどの)デザインをしたくてもPDFすら知らなくて、本当に大変でした。でも、できないと思っていても、まずは走ってみる。すると、難所を乗り越える力がついたり、自分の得意なことや楽しいことが見つかって、自信に繋がっていきます」。
その言葉に、「まずは失敗を恐れずに、やってみることだよね」と関さんも大きく頷きました。
そのほか、『地元住民の方たちとのコミュニケーション』や、『佐賀県だから起業できたと思う点』、『佐賀で起業してよかったこと』など、移住起業希望者にとってはどれも気になる質問が飛び交いました。
『今度、唐津へ中期滞在するのですが、サガカケメンバーの人たちとお話するにはどうしたらいいですか?』という質問には「ぜひサガカケのnoteからエントリーしてください。お気軽に!」という佐々木さんからの答えで、第2部は締めくくられました。
場所を移し、あらためて行われた第3部の懇親会も、賑わいのうちに閉会となりました。
おわりに
まだまだポテンシャルを秘めまくっている県・佐賀。
今年もサガカケは、その魅力を本音で伝えるためのイベントを日本の各地で行います。
今回は食にまつわるトークイベントでしたが、次回はまた違った切り口でお伝えできればと思っています。
どのような催しになるのかは決まり次第お知らせしますので、お楽しみに!
またお会いしましょう!
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