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外部支援者としての力を最大限に引き出してもらった体験

フリーランスになって3年目。広報支援というかたちで数十社の企業とご一緒してきましたが、外部パートナーの活かし方がとてもうまいなあ!と感じるクライアントさんが数社(数人)いらっしゃいます。先日はそんな大事な企業さんとの最後のミーティング。約一年のご支援を経て、社内の体制が整ったこともあり、今月で契約終了となりました。

そうした方々とのミーティングは、毎度ない知恵を絞り、過去の経験を総動員して挑むことになるのですが、これがいい意味でタフで、そしてお役に立てている実感もあって。この関わりがとても学びになったので、忘れないうちに主だったポイントを記しておこうと思います。

相手へのリスペクトがある(前提)

ごくごく基本的なことかもしれませんが、お互いにこのスタンスを保てるかどうかは、とても大事なことだと感じます。フリーランスを下請け業者のように見る方もいらっしゃるなか、パートナーとして対等な目線を持って話をしてもらえるのは、外部支援者の立場としてもありがたい。だからこそ、お役に立ちたいという気持ちが湧いてきます。

実はこの経験は、私自身がある大企業にいた頃にも職場の上司・同僚から学んだことでもあります。その道のプロの方にお仕事をお願いするとき、相手が大企業だろうと一人経営者の小さな会社であろうと、常に相手を尊重する風土がありました。急なお願いをするときには料金を上乗せしてお支払いしたり、待機してもらって結局業務が発生しなかったときでも、少し料金をお支払いしたり(先方もいらないとおっしゃるんですけどね)。金銭的な面だけでなく、物事の進め方についても、決して、下請け業者扱いをすることはありませんでした。上下ではなく、パートナーという関係性の心地よさを知ったのはこのときからです。

このベースがあると、お互いに信頼関係を築きやすくなるのだと思います。例え、異なる意見を持っていたとしても、建設的にディスカッションができる。ある意味ではそうした関係に甘んじることなく、期待に応えねばということでもあるので、いい意味での緊張感にもなりました。

①自社の課題を率直に共有してくれる

私のような広報の仕事の場合、扱うものが定量的なものだけでなく、ふわっとした定性的なこともたくさんあります。雰囲気、空気感、ムード、風向き。広報戦略・施策を考える上で、こういったものはムシできない大事な要素。経営者の資質、企業風土、チームの関係性、市場環境や報道の論調など、これらをなんとか紐解きながら、現在地(=経営課題)を把握して向かうべき方向を決める。そんな関わり方をしています。

だからこそ、そうした言外の情報をどこまで共有してもらえるか?が、こちら側のアウトプットにも影響を与えるように思います。小さなことでも嬉しかったできごととか、実は苦しい胸の内など、お話しいただけるとありがたいなって思うもの。そういう関係であればあるほど、私自身の力が引出されるというか・・やっぱり、目の前に困っている人がいたら、なんとかお役に立ちたいって思うものですよね。

②具体的にどんな支援を求めているか明示してくれる

広報実務が回り始めると、悩むことがいろいろと出てきます。広報の評価指標はどう設定するか、どんなチーム体制をつくるか、経営陣に広報の価値をどう理解してもらうか、自社のネタをどうやって打ち出すか、などなど。もちろん、これらに唯一絶対の正解はないわけですが、正解をつくっていくプロセスを経る(=そういった合意形成をする)のが広報の仕事の大事な仕事でもあると思います。

そうしたときに、具体的に何に困っているか、外部パートナーのどんな見解が役立ちそうか、具体的に明示してもらえると価値発揮がしやすいです。例えば、広報活動の上層部への報告の仕方一つとってみても、やり方にはいろいろパターンがありえます。評価者が広報に理解のある企業であれば活動の狙いやそのプロセスを盛り込むと喜ばれるだろうし、会社全体が定量的でないものを評価しない風土がある場合は、広報活動の行動記録やアウトプットを何かしらで定量化する必要がある。報告する相手の資質によって、端的な報告を好むのか背景まで興味を示してくれるのかが変わるわけで、報告という仕事一つとってみても、正解(というか、いいやり方)っていろいろ可能性が広がります。

そのため、何に困っていて、具体的にどんな見解や役立てそうかを具体的に示してもらえると、こちらとしてもアイデアが出しやすくなります。大企業のときの経験はどうだったか、その背景には何があったか、他方ベンチャー企業ではどうだったかなど、慣れている人はそこをうまく引き出してくれるなあと感じます。(もちろん、こちら側としても先方のニーズがどこにあるのかを、対話を通じてさぐりながらコメントをしたり、対応するなどしていきます)

③一緒に汗をかいてくれる

ときどき、まるっと外注すればいい感じにばばーんと露出できると思っておられるケースがあります。なかなか、どうして・・広報活動ってそんなに簡単ではありません。私のような外部の立場の人間が社外でメディアの方々とコミュニケーションを取りながら露出の可能性を探り、社内にいらっしゃる方々に情報収集や社内調整に動いていただく。そうしてお互い動いみて連携してみて、ようやく取材につながるということがほとんどです。ちゃちゃっといい感じに取材が決まることは、ゼロではありませんが、そんなに多くはありません。

だからこそ、それぞれの持ち場で一緒に汗をかいてもらえると、結果的にいい仕事につながる気がします(やっぱりこれが、一緒にダンスをする感覚です)。外で感じる&聞く声を企業にフィードバックし、それを踏まえて方針を練って打ち出し方を考える。企業が存続し続ける限り外部との対話というのは、呼吸をするように自然で必要な営みだと思うんですよね。晴れの日も雨の日も呼吸しない日はない。広報活動をそんな風に捉えてくれる企業さんとは、晴れの日も雨の日も一緒にがんばっていこうって思えたりします。

いただいたフィードバック

そんなわけで、引き出し上手な企業さん(大企業)からいただいたのは、ご評価いただいたのは以下のような点でした。

・大企業ならではのやりかた(社内の合意形成)を折り込みつつ、落とし所を踏まえたアイデア、提案が役に立った
・いわゆるコンサルタントのアドバイスは理想的すぎる傾向があるが、現場に即したアドバイスは実装するイメージができて助かった
・メディアとの誠実なやりとりから学ぶことがあった(メディアの方への情報提供でクライアント企業側の都合で展開が変わったことがあり、記者へのお詫びに出向いたことから)

ミーティングを終えるたびに、”なんか前に進みそうな気がします!”とパッと明るい表情になっていただけて、私もご支援していて嬉しく・・活かされている喜びを感じました。こういう企業さんとは、契約が一区切りしても、何かしら関われたら嬉しいなと思います。

約一年間、お役立ていただき&貴重な学びの機会をいただき、ありがとうございます。感謝の気持ちを込めて、記憶にとどめておきたいと思います。

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