山門をくぐり 苔庭の秘めやかな世界に参入 苔の醸し出す空気感は澄み 微生物の潜む世界が 木漏れ日に揺れる 優しく深い緑の合掌 その空間に 突如現れ出る渦 そのパワーが至る所に 吸引スポットを生み出し 次元が歪む 動きの中で世界が崩れ 崩壊の内部に生じる無数の泡、泡 その内側は空への入口 巻き込まれる苔庭の 慈悲色の緑が光に溶けて 渦の中心に吸い込まれて行く様子を 傍観者のように眺めていた石畳の空間 瞬間気づくと 私は光に溶けた苔庭の緑 渦に巻き込まれる 緑のエネルギー
世界を覗くとしたらどんな窓から覗こうか。私のために切り取られた空間。その枠かあるからこそ、その向こうの世界が何か謎めいた場所になって存在している。 ふと気になる窓枠を見つけたら、そこに立ち止まってみて。しまいこんでた心の風景が静かに浮かび上がってくるから。 オリーブの丘でたたずむ午後。 聞こえない声が鳥たちのさえずりの向こうから聞こえはじめる。 ーこの世界にあなたは何をしに来たのー そうだね。 美しいものを感じに来たのかな。 風の匂いをかいで、
五月には 天から垂れる かんざしよ 空を仰ぎて 手差し延べむ
尺八の一吹きは墨絵の一筆の如く 静寂の空間に白き三日月浮かびあがらせる 続く響きに 雲がたなびき 情景はみるみると変容変化 一吹き 一筆 一刀が 空間と静寂の中に ものを有らしめ かたや、一吹き一筆一刀こそが 空間を呼び起こし 静寂を在らしめる 尺八も墨絵も書も その鋭さや柔和さ端的さを介して 人を大いなるものの深みに呼び込む 無限なる空間と 永遠の静謐さが溶け合えば 創造せずに全てを成らしめるものとの出合い
早朝波打ち際を素足で歩きながら、砂地に薄く重なりブルーに輝く波の跡に、蝶の羽の繊細さを重ね合わせる。 波の揺れと美しい色彩の相乗効果で夢心地の私の足取り軽く、幻想の浜辺から高台の我が家へと向かう。 早速ネットで、海辺で頭をよぎったいつか見た蝶の画像を検索。
くねくねとした小路に キュビズムの絵画に描かれたような 白壁の家が重なって 迷走する平衡感覚 ひときわ目をひいたのは 青いアクセントカラーのアート感覚溢れる家 この家の住人の思いに妄想力を働かせてみる ジグザグの小路に重なる家の白壁を好んで 選んだ住人はきっと 南欧のイメージに心惹かれ 何処か別の国からやって来たのかも 先祖代々の住人のとは違う門構え 何気に暮らす元々の住人達以上に より南欧的にアレンジし きっと フラメンコギターと赤ワインに惚れ込んでるかも
海原に 行き交う鳥の 白き腹 まだらに揺らぐ 映り日の妙
朝の浜 散りばむ小石 さざ波の 音符のごとく のびる影長く
いつものように乗った小田急線。 新宿に向かってたはずの電車が いつの間にかイベリア半島を走る列車に変わり、名も知らぬ駅で人々と共に下車。 列車を降りると ロータリーには 3、4 メートル程ある巨大な植物が待ち構えていた。 強烈なオレンジ色の花に 輝くオパールグリーンの葉。 見たこともないこの植物に 宇宙的イメージを重ねて 数人の人々と共に 見上げ その様相を観察する。 そこで何故か千春は ポルトガル方向に向かってるのだなと感じ そのロータリーを後にする 船着き場の方
隆起して光る鱗の竜体の 浜に崩れし煌めく夢よ