第4話 ウェアラブルカメラをつかったAI交通量調査~SafiePocket2の調査、その魅力と課題~
はじめまして
新卒1期生、そして内定者インターンとして活動している小林です!
ずっと埼玉で育ち、池袋にキャンパスを構えているのになぜか埼玉県民ばかりの立教大学経営学部に在籍しています。
大学では、長期インターンシップを3社経験し、ゼミでは企業内の人材・組織について学んでいます。車社会で育ったこともあり、友人とドライブすることも多いです。
セーフィーには23年4月から新卒1期生として入社します。入社を決めたのは、「映像で未来の当たり前をつくる」という世界観に惹かれたことと、新卒1期生という魅力的なタイミングに縁を感じたからです。
2022年7月から現在までインターン生として活動し、交通量調査を含めた映像の新たな活用を実現するための様々な検証を行なっています。
本ブログは、セーフィー新卒内定者がAI交通量調査に挑戦する経験をまとめた全5話シリーズの第4話になります。これまで(1-3話)は弊社で取り扱っている屋外用PTZカメラ※を題材に、「映像を解析するAI」と「映像を撮るカメラ」という切り口で、AI交通量調査について書いてきました。
※PTZカメラ:カメラ画角を遠隔操作できるカメラ
今回は、新たに弊社のウェアラブルカメラ、Safie Pocket2での交通量調査の挑戦について書き進めていきます!
過去の記事はこちらです。
交通量調査には色々あるらしい
第1話でお伝えした通り、交通量調査とは、対象の道路や交差点を通行する車の台数を種類や方向別にカウントすることです。
調査目的は、実施する団体によって異なります。国や地方自治体の場合は、道路の計画や建設、修繕や維持の管理といった道路そのものに関わるデータの基礎資料を得ることを目的として実施しています。
一方で、民間企業の目的はさまざまです。小売・飲食店であれば出店計画を立てるため、広告代理店であれば屋外に出した広告の視認率を算出するために行います。また、建設会社が大型商業施設を建てる際に、工事が周辺の交通状況への影響を調査するために実施する場合があります。
このように、民間企業のニーズには、業種・業態に合わせて様々な形があります。その一方で、それらのニーズに共通する要素も存在します。それは、あるイベントにおいて「一時的な調査」を実施したいという要望です。
ここでふと私は思いました。
「一時的な調査は、調査自体をより簡単で手軽に行えるべきではないか?」
そこで、弊社のウェアラブルカメラ Safie Pocket2を用いた手軽な交通量調査が実現できないかと思い、今回の挑戦に至りました。Safie Pocket2は工事が不要かつ三脚などのアタッチメントで固定できる、レンタル体制が整っている点から、今回の挑戦に適していると考え選択しました。
そもそもPocket2とは
今回の挑戦についてお伝えする前に、弊社のウェアラブルカメラであるSafie Pocket2について簡単にご説明します。
Safie Pocket2とは、従来の固定型カメラを小型化・軽量化し、誰でも気軽に持ち運んで利用することができるウェアラブルカメラです。現場で装着・設置して撮影した映像を、遠隔からリアルタイムで確認・会話が可能です。撮影した動画・写真はSafieクラウドに30日間分保存でき、後日振り返りや、データをダウンロードすることもできます。
また、三脚等のアタッチメントに取り付けることで、定点での映像を撮影することも可能です。
そんなSafie Pocket2は主に、建設・土木業界や老朽化が進む建設のオペレーション・メンテナンス業務支援、工場内でのポイント監視、警備業界など様々な業界の「遠隔業務」でご利用いただいています。
今回はそんな手軽に利用が始められることが強みのSafie Pocket2を、交通量調査でも手軽に使うことができるのか試してみました!
参考:
「遠隔業務を変えていくウェアラブルクラウドカメラSafie Pocket2」https://safie.jp/pocket2/
検証結果について
今回、Pocket2を使った交通量調査の概要は以下になります。
・設置:Pocket2+三脚
・対象道路:単線(1~3車線)
・時間帯:昼、夜両方
実際の結果に関して、第2話と第3話で触れられてきた2つの観点「画角」と「解析」からお伝えします。
①画角
第3話でお伝えしたように、「画角」は交通量調査にとどまらずAI解析で最重要項目です。対象物が「被らない、見切れない」ことが解析に大きく影響するためです。
この前提を踏まえて、Safie Pocket2ではどうだったのでしょうか?
今回の検証では、「Safie Pocket2は固定カメラのSafie GO PTZと比べて、画角の調整には適していない」という結論に至りました。
なぜでしょうか?理由は2つあります。
1つ目は「カメラを高い位置に設置できないため」です。三脚では固定カメラのように設置する位置に高さを出すことができません。高さが出ないと視点が低くなるため、画角は狭くなります。その結果、調査対象物(車)に、被り・見切れが発生してしまいます。
皆様の身近な道路で「Safie Pocket2+三脚」(画像①)と、「Safie GO PTZ」(画像②)が設置されているとしましょう。Safie Pocket2は道端に置かれていて、Safie GO PTZは道路脇の柱に設置されています。
それぞれの視点を考えると、②Safie GO PTZの方が道路を見下ろす形となり道路全体を撮影することができるため、各車線を走る車に対して被り・見切れなく捉えられることができます。厚底の靴を履くと視点が高くなるのと同じです。
最適な画角の実現には「カメラの高さ」が重要であり、Safie Pocket2は現時点で「Safie GO PTZの置き換えになる」とは言えないのが正直なところです。
2つ目は「画角がずれるリスクがあるため」です。
画像①のようにSafie Pocket2は道路に置く形で実施しました。そのため、強風等で三脚が動いたり、場合によっては倒れたりする可能性があります。検証中にも、夕方頃の強風で倒れてしまい、そもそも映像が上手く取れないというトラブルがありました。安定して交通量調査を実施する、つまり、常に画角が固定されている状態にするにはまだまだ改善が必要ということがわかりました。
②解析
ここからは第2話で取り上げた「解析」について話していきます。
結論からお伝えをすると「細かな解析は難しいが、ざっくりとした交通量状況を知ることは可能」ということが分かりました。これは、車種分類(小型車・大型車)までは実施できないが、対象道路を通過した車を検知してカウントし、合計数を算出することができるということです。ここには2つの要因があります。
1つめは「画角」です。先ほどお伝えしたように、Safie Pocket2は高さが出ないかつ道端に置くため、調査対象物である自動車に対する距離が近くなっています。そうすると大きさによる車種分類が困難になり、小型車・大型車という区分での数値はずれがでます。しかし、自動車を自動車として認識できていることは多いため、全体の車数カウントという点では、目視との誤差率が2~10%ほどになりました。
2つめは「光飛び」です。これは夜間に起こるもので、自動車のライトをカメラがもろに受けてしまうのです。運転中に対向車にハイビームをされた時と似ていて、光の周辺が見えづらくなっています。そのため、自動車の検知ができないこともありました。
そのため、Safie Pocket2を用いた調査においては「単線でざっくりと交通量の状況が知りたい」という場合に活用できそうです。まだまだ改善の余地もあり、改善次第で精度を上げたり、解析可能な数値を増やせたらと思います。
Pocket2調査の魅力・課題とは
検証を踏まえて、「通常使用している固定カメラのSafie GO PTZと比べ、Safie Pocket2の交通量調査の魅力と課題は何だろうか?」と、今回の検証を実施した立場から考えてみました。
まず、魅力として挙げられたのは圧倒的な「手軽さ」です。具体的には2つあります。
1つ目は「工事が不要であること」です。Safie GO PTZは設置申請・工事が必要ですが、Safie Pocket2は短時間の調査であれば不要です。そのため、カメラ入手後すぐに撮影を開始することができます。
2つ目は「費用」です。工事が不要なことと、そもそもの料金がSafie GO PTZより安価なため、気軽にAI交通量調査を試すことができます。
一方で、課題は2つ挙げられます。
1つ目は「安定的に映像を取得することの難しさ」です。
これは、Safie Pocket2の設置位置が固定されないことによって、画角ずれ・転倒の恐れがあることや、バッテリーに限界があるため1日を通した撮影できないことによります。
これらは、ウェアラブルカメラの特徴に紐づくリスクのため、運用方法を工夫することで解決していく必要があります。
2つ目は「調査対象・結果が限定的であること」です。具体的には単線の調査しか現実的でないことと、車種区分できず全ての車数しか測れないことです。ここではカメラを高い位置で固定する方法を模索していかなければなりません。
今後の挑戦について
今回の挑戦により色々な課題が見えました。正直厳しいだろうと思っていた中で、兆しも見えたため、これからも多くの挑戦を続けていきたいと考えています!
今後挑戦していきたいというものが2つあります。
1つ目は「遠隔での画角調整サポート」です。Safie Pocket2の音声機能を使って、映像を見ながら最適な画角にカメラを設置するサポートを遠隔で行う、というものです。こちらは今後、挑戦予定です。
2つ目は「高位置での固定方法を検討すること」です。今回の検証で、「画角」を改善することが解決につながりそうだとわかりました。新たな交通量調査の形としても設置方法を見つけ、多様な選択肢を提供していきたいと考えています。
まだまだ伸びしろばかりです。映像×AIでの交通量調査を手軽に実現するためにもSafie Pocket2の調査を引き続き頑張っていきます!
次回は最終話です。最後はAI交通量調査をより改善するために、インターン生が行ってきた実験談について紹介しますので、次回もお楽しみに!
最後に
この記事を読んで、セーフィーが取り組むAI交通量調査にご興味をもたれた方は、ぜひ弊社HPの問い合わせページからお気軽にご相談・ご連絡ください!
また随時正社員・インターン共に新たなメンバーも募集をしているので、このような挑戦に関わってみたいという方も、まずはカジュアル面談のご希望からお待ちしております。