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肩の力を抜きたい

脱、自力!

研究員のふじひらです。

冨永さんの記事では、走る際の地面からの反発を推進力に変えるという話がありました。
これに類する話が私の居る分野でもあったので、共通点を見つけました。

楽器、特に打楽器の経験が長いのですが、その中にスティック(ばち)を使う楽器があります。代表的なものに「小だいこ」(スネアドラムといいます)という楽器があります。

たいこに張ってある膜(ヘッドと呼ばれます)に対して、手に持っている棒状のスティックの先端を打ち付けて音を出す、膜鳴楽器の一つです。
猿が太鼓を叩くおもちゃでご存じの方も多いでしょう。

あのおもちゃの猿の叩き方、思い出せるでしょうか?
その多くが、肩や肘からスティックの先端まで固定化されて(おもちゃなので当然といえば当然)、一体的に動いていると思いますが、実際に人間が同じ動きをしたら、ほぼ叩けません。
(何も予備知識が無く、はじめて太鼓を叩く人が最初にマネる形の多くが、コレだったりします。)

実際には、肩・肘・手首・指などの各関節間がしなやかに連動しています。
また、音の強弱=力の大小、と思われていたりもしますが、スティックの高低でコントロールすることがほとんどです。例えば、ボールを足元から床に落とすのと、頭上から落とすのでは、床に当たる音の大きさが違うのと同じ原理です。

ボールもスティックも重力を使っているので、落とすこと自体に力はほぼ必要ありません。いわゆる脱力です。
ボールでドリブルするのと同様に、スティックも打ったら元の場所に戻す必要が生じる場面が結構多いです。リバウンドと呼ばれるもので、床やヘッドの反発を利用するため、余計な力が入らない方が上手くいきます。これも一種の脱力です。

何を説明されているんだろう?と思われる方も居られるでしょうが、太鼓という楽器は、重力や反発力などといった物理現象と人の持つ身体的動作、そしてリズムやビートといった音楽的な感性を合わせて、膜を振動させて発音するものなんだ、と分かっていただければ十分です、おそらく。

洋式に限らず、和太鼓や民族楽器などの太鼓のリズムが一定の安心感をもたらすのは、胎児でいた頃の母親の心音に近いから、などと言った説もあるようです。聴いて楽しい、演奏して楽しい、といった楽しさを感じる機会があれば、生きる楽しみもまた一つ増えるかもしれません。
(私の居るマーチングバンドの世界では、観て楽しい、という楽しさもあります。)

脱力して初めて見える世界もあるのかもしれません。

今日のところはこの辺で。

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