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渦の中に・・・

冨永さんの記事を読んで、パッと浮かんだキーワードは「臨場感」でした。
研究員のふじひらです。

件の記事では、スマートボールに集まって熱狂する人たちのお話でした。
祭という文化は、非日常であるハレの日に人々を集めて、ある意味、熱狂させるものと捉えることができます。私が先日訪れた栃木県鹿沼市の鹿沼秋祭りも、お囃子などの演者はもちろん、それらを見ている観光客らもその渦に巻き込まれていきます。
スマートボールもお祭りも、その場の雰囲気を楽しむ、まさに臨場感という言葉がふさわしくなる「場」であると思います。

コロナの時代になってから、私たちはリモートやオンラインといったコミュニティの新たな集まり方を知ることになります。
私自身も、場所の離れた複数の学会や研究会に参加したり、オンラインイベントを開催したり、国内外の方々と対話をしたりと、たくさん恩恵を受けました。
時に、リモート会議の方が全員目線を自分の方に向けてくるので、会議自体が真面目になる・・・という逸話も出てくるようになるのですが、果たして、対面とオンラインとで臨場感が異なるのか?という一つの疑問に至るわけです。

両者に共通してある程度存在するものが、声や映像など。
オンラインではまだ共有できないものが、匂いや触覚、温度感や湿度、画面外の映像など。
非共有感覚のほとんどが「その場の空気」などと呼ばれるのでしょうか?

非共有要素の一つずつが実現して共有できてくると、もしかしたら、空気感が醸し出されて、臨場感の違いが少なくなっていくのかも知れません。
ただ、声の伝達は電話が、映像の伝達はテレビ辺りが発祥だと考えると、非共有要素の一つでもオンライン共有できたら、暮らしが大きく変わるのかもしれません。

その時を自分は体験できるのだろうか?
身体が動かなくなっても、世界各地を"巡る"ことができるのか?
その"熱狂の渦"に巻き込まれてみたいものです。

文/藤平昌寿(Safeology研究所研究員/自治医科大学客員研究員)


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