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CareerQuest#3 自信はどこからやってくる?

そんな誰もが抱く問いにヒントを与えるべく、現在進行形で大きな目標に挑戦し続ける起業家がキャリクエにやってきた。

今回で第3回目となったキャリアクエスト。リピーターも定着しつつあるが、初参加の生徒も多くいるようだ。中1から高3、さらには初参加のリピーターも入り混じる座席からは、始まる前から交流の声が聞こえる。

第3回キャリアクエストのゲストは株式会社BIZREAL代表・西川将史(にしかわ まさし)さん。西川さんは、株式会社BIZREALの代表を務めながら格闘技コンテンツ・BreakingDownの運営や映画作成などの活動に取り組まれている。

また現在は、堀江貴文(ほりえ たかふみ)氏等の著名な実業家達と新たな、「日本一の起業家向けコンテンツ」を創り出すプロジェクトを進めているという。


西川さんの口から中高生でも耳にするような有名人の名前が次々と出てくると、生徒達もなにやら只者ではない人がやってきた、と顔つきが変わる。

西川さんは初めにこう話した。

「今日の僕の話を覚えているのは全体の20%。その中で行動に移す人はそのさらに20%。そしてそれを継続するのはさらに20%です。」

この話に基づいてふるいにかけていけば、継続する人は全体の0.8%であり、ごく少数の人しか残らない。しかしこのごく少数の行動し続けることができる人は、確実に成功すると西川さんは強調する。

そんな前置きを挟みつつ、ここからは西川さんの軌跡を辿っていく。

軌跡

西川さんは自身の学生時代を

「引っ込み思案でいじめられっ子でした。高校生、大学生になると明るくなり友人もできるようになった一方でなんとなく生きている感覚があり、人生がもやもやしていました。」

と振り返る。そのもやもやの中で「何かを成し遂げたい」と思い、起業という夢を持ったのだそうだ。

西川さんは起業のために「営業力」と「商材」が必要だと考えて、まずは日本一「営業力」が付きそうな会社に就職して1年間、寝る間も惜しみ、同期の誰よりも働いて腕を磨いた。

その後は起業する際の「商材」として富裕層向け不動産に目を付け、不動産会社に就職して不動産業に必要なスキルを身に着けたと話す。

筆者はこの凄まじい行動力とストイックさ、また目標達成のための分析力に深く感銘を受けた。キャリクエも3回目となると、成功者達の共通点も見えてくるもので、その一つに並々ならぬ行動力というものがある。

難しい意思決定に直面した時

「人生には大きな選択が10個あると言われていて、その選択は1024通りにも及ぶ。その10個を正しく選んでいくと良い人生が待っている。」

良い選択…はたまた正しい選択とは何かと、考えるのは自然なことである。

ここで西川さんは今回のキャリクエのコーディネートを行い、当日も司会進行を務めていた高等部2年・鈴木聖眞(すずき しょうま)さんにこう尋ねる。

「なぜ君は緊張しても人前に立つの?」

鈴木さんは
「自分を突き動かす熱意と責任感が緊張を上回っているから。」
と答える。


「本来であれば緊張などできれば避けたいものです。本能的に避けたいと思うことを敢えて自分の意志で選択できるか、自分の感情のためではなく人のために意思決定できるかどうかが良い選択において重要なんです。」

「自分の人生を100点だと言える人は手を挙げてください。
今この教室の中に手を挙げる人が15人いるとしたら、30歳には5人に、40歳には1人になっています。」

西川さんは、自分の人生を100点だと言えると断言する。自分の人生を良い人生と多くの人は言うが、その中でも後悔のない人生だったと言える人は少ないそうだ。西川さんは自分の理想に真っすぐに、後悔のない選択をしてきたから100点と言えるのだ。

今まで、長期的な目標のために血の滲む努力を重ねてきた西川さんだが、なんと今が人生で一番つらいという。

「今やっているプロジェクトを日本一にしなくてはいけない。そのためには日本一の努力が必要で、仲間にも一流のものを要求しなくてはいけないんです。」

本当は嫌われたくないけれど仲間に一流を求めて厳しい評価を与えなくてはならない。また、相手に一流を求めるならば自分も一流でなくてはならない。プレッシャーや人からのネガティブな感情など、本能的には避けたいことだらけでも、プロジェクトを日本一に導くため日々身を削るのだ。

「やりたいことがあっても、やるべきことを優先しなくてはいけない。20代までに死ぬほど努力した人は30歳で本当にやりたいことをやって、40歳で花開いています。」

西川さんは講演のなかで「今は自分の感情を0にする」という言葉を繰り返し使っていた。目先の感情に流されず、後の人生のためにひたむきに努力する。これができる人がなかなかいないのだ。

失敗と挫折

起業家として様々な事業を成功させてきた西川さんだが、成功の裏にはそれ以上の挑戦と失敗がある。

「人生で後悔したことはないですが、失敗はたくさんしています。一晩にして4億円を失ったこともあります。」

西川さんが言うと、会場内がざわつく。さらっと出された4億円という桁外れな額に、生徒はもちろん先生方も驚きを隠せない様子だった。

筆者はそんな巨額を失うなど絶望この上ないことだろうと思ったのだが、西川さんは、今振り返ればそれ相応の学びを得たと語る。

「むしろそこで自分の行動を変えて、後にあのとき4億円を失わなかったら出せなかったような結果を出すこともできました!」

経験談の節々から、どんなに大きな失敗も成功の糧にする西川さんの自己成長への貪欲さが垣間見える。

爆発的に成功していく人は誰よりも挑戦し、誰よりも失敗してどん底まで落ちるという。その失敗をばねにして大きく飛躍するのだ。西川さんの、瞬間的な感情にどこまでも厳しく自己成長を追求することができる性格は、まさに成功者の特性を持っているといえるだろう。

信頼できる仲間の見つけ方

信頼できる仲間とは何か。それは「裏切らない」仲間だろうか。

裏切られるのは自身の実力不足に過ぎないと西川さんはいう。

「裏切られたくないなら自分の実力・魅力を磨かなくてはいけないんです。信用できる仲間は実力を磨けば自然にできる。自分の器に合った仲間が寄ってくるから、全部自分次第なんです。」

実力と、器に集まる仲間。西川さんの、実力にどこまでもストイックな姿勢に背筋が伸びる。しかし、実力などどうすれば身につくのだろう。実力はその全てが数値化できるものでもないから、成長の実感もなかなか感じづらいものだ。

『どのタイミングで誰といるかが重要』

西川さんは、簡単(強制的)に実力をつける方法は自分が”最底辺”だと思えるコミュニティに属することだという。それが精神的にかなり厳しいものになることは想像に難くない。しかしそのしんどさこそが自己成長につながり、世界を一気に広げる近道なのだ。

自信はどこからやってくる?

ここまで経験談を語った西川さん。今回のテーマ、「自信はどこからやってくる?」という問いに対する生徒達の期待値も上がってくる。

「実は自信はないです。僕よりもすごい人なんてたくさんいる。」

驚きである。こんなにも事業で成功をおさめ、多くの人からの信頼を得ている西川さんに、自信がないなど考えづらい。

「ただ、『他の誰よりもやった』『あの頃に比べればずいぶん成長した』を積み重ねると顔つきが変わってくるんです。」

なるほど、他者と比べて優れているから自信がつくわけではなく、過去の自分と比較したときの成長の実感が自信を生み出すのだ。思えば先の話でもあった、”自分が最底辺のコミュニティ”にいれば、他者との比較で自信をつけるなど無理な話である。

実力、信頼、自信、成長。静かに語る西川さんの言葉に沈む情熱は生徒達にビリビリと刺激を与えていた。

おわりに

講演後のグループワークでは感じたことを言語化し、理解を深めた。特に中学生にとって先輩しかいないグループの中での発言は勇気が必要だ。しかしこういった小さな場所での挑戦は必ずや自分の糧となる。上級生のサポートもありながら、学年の壁を越えて楽しそうに交流する様子が見られた。


「今日の挑戦を積み重ねていけば、未来の可能性は無限大です。」

そう話す西川さんの表情は若者たちへの希望に満ちているように思えた。

また、今回の企画運営を担った高等部2年・鈴木聖眞(すずき しょうま)さんは最後のあいさつでこう語った。

「中学生の頃は挑戦をせずなんとなく生きていました。自分は西川さんの言葉で人生が変わったから、みんなもそうあれば幸せです。」

鈴木さんにとっての西川さんのような、きっかけを与えてくれるかもしれない人との出会いを提供し続ける。それは講演者かもしれないし、同席した先輩・後輩かもしれない。

いずれにしても、人生を変える出会いが一つでもあったなら、それはキャリアクエストの理念を達成したといえるのである。

文責:高1・鯨岡愛


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