最も
ボンジュール。チャールズ・チャールさんです。
年末ですね。年の瀬。年末と言えばやはり年末スペシャルではないでしょうか?
今日は年末スペシャルにかこつけて、日頃「記事に生活感がない」「人格が分からない」などと散々言われているチャールズ・チャールさんのパーソナリティを明かしていきましょう。題して『最も』!(デカい花火が上がる)
この記事ではチャールズ・チャールさんが今年聴いた音楽(今年リリースの曲、ではない。全然70年代とかが大多数)の中から、様々なテーマの「最も〇〇だった曲(もしくはアルバムやアーティスト)」を発表していこうと思います。ほらあの、皆さんがやっている「すぽてふぁい」のまとめみたいなのを、データとかないので記憶とイメージ、そしてアルバムを聴くたびに書いている感想日記に基づいてやります。今日はそういう記事です。それだけ。興味ない奴は帰(けえ)んな!
ではやっていきましょう。
・最もよく聴いた曲
若さはプラズマ / 串田アキラ・こおろぎ'73
これ信じてもらうしかないんですけど今年本当にずっと串田アキラ作品を聴き続けてたんですよね。その中でも特に一年中波なく聴いていたのはこの曲かなと思います。
まずなんと言ってもイントロからギターの音がいい。主張弱めのリー・リトナーっぽいなと思っています(スタジオミュージシャンって大体そうかも)。そしてそこに重なるクッシーの力強い「ウッ! ハッ!」。最高のイントロじゃないですか?
まさかのこおろぎ'73がバックコーラスなのもいいですよね。彼らも全然メイン張れるグループなわけですから、「プラズマ プラズマ」の歌いだしとか「空を駆けるあいつ」からのBメロとかの完成度がすさまじい。加えて全体を彩る上品なストリングスとエレピ、あとホーンが比較的抑制されたトーンということもあって、全体的に戦隊ものながら渋めの音像になっているのもニクいと思います。
歌詞もいい。「君がもし一人だったら / 今すぐに仲間を探せ」、こんな命令形は現代ではそうそう聴けないのではないでしょうか。超カッコいい。あとこれ一年間(というか数年前から)ずっと気になってたんですけど、『若さはプラズマ』ってタイトルなのになんで1番は「燃え上がる 燃え上がる / 心はプラズマ」なんでしょうね。じゃあ『心はプラズマ』になるだろ普通。さすが渡辺宙明。
全部がカッコいいです。今年は結局最初から最後までこれをはじめとした串田作品をたくさん聴いていました。
・最もリードギターの音がカッコよかった曲
Janine / David Bowie
この曲のリードギター最高。音の感じが。私の能力では言葉で説明できず感覚でしか言えないのが申し訳ないんですけれど、今年の頭くらいに聴いて「あ~~~↑」となったやつですね。何が良いのか冷静になるとよく分からないんですが、このギターを聴くと冷静ではなくなります。
というか初期のデヴィッド・ボウイ、ギターの音いいですよ。特にこの曲の入ってる『Space Oddity』は全体的にリードギターの音がいいです。ややビー玉っぽい。透き通ってるわけではないけど。この表現でお分かりいただけますか。この表現でお分かりいただけたらそれはそれで怖いですけれど。
・最もリズムギターの音がカッコよかった曲
Yesterdays / Clifford Brown
この曲でギターを弾いているのはバリー・ガルブレイスという人。最初の方はまだなんとかちゃらーんっとコード(和音)を鳴らす彼のギターが聴こえるんですが、トランペットとベース、そしてストリングスが入ってくると彼はもうかなり後ろに行ってしまいます。
ジャズって本来あまりギターを必要としない音楽なので、わざわざギターが入るようなときは伴奏であっても目立つように色々ひねった演奏をするギタリストがほとんどなのですが、ここでのバリーの演奏は完全にコードを大人しくリズム通りに弾くのみ。しかもこれだけ奥で。潔さというか謙譲の美徳というか、なんともカッコいいです。今年このアルバムを聴いて、私はこれになりたい、と思ったものでした。来年はこれになることを目標にしようかと思います。
・最もベースの音がカッコよかった曲
Pictures Of Home / Deep Purple
イントロから凄まじいドラムなんですけれど、それはいったん置いておいて。この曲では本当にとんでもないベースソロが楽しめます。3分半を過ぎたくらい、オルガンソロの後に入ってくるロジャー・グローヴァ―のベースソロをとにかく一度聴いてください。
すごくない? 脳をめちゃくちゃデカいスプーンでかき回される感覚。正直まだまだ1972年の作品ということもあってこれ以降に出るような超絶技巧のベースソロとは色々違うのですけれど、「スラップとかなくてもベースソロってこれだけ衝撃的になれるんだ」という驚きが何度聴いても新鮮です。ソロのスタートから際限なく昇っていくように思われたフレーズが唐突に投げやりな低音に着地するところとかめちゃくちゃ好き。ハードロックはそれほど聴かないのでこのアルバムも半ば勉強と思いながら聴いたのですが、この曲で思わぬカッコよさに撃ち抜かれました。ハードロック好きになりかけています。
・最もドラムの音がカッコよかった曲
The Ox / The Who
ドラム界隈ではそれなりに有名な演奏の気もしますけれど、今年初めてちゃんと聴いて「やっぱりバカすぎる、最高」と思い選出。全体的に「ドラム」というよりは「太鼓」と言いたくなる、そんな音が鳴っています。この曲はアルバムの最後に入ってるんですけれど、もう最近はこれ流れてくると問答無用でウケちゃう。あまりにもドカドカしすぎです。キース・ムーンはこんなことをしてるから早死にするんですよね。
ニッキー・ホプキンスが必死で転がす忙しないピアノとピート・タウンゼントが弾く極悪な音のギターもハードで大変いい曲。
・最もヴォーカルがカッコよかった曲
もともと空気公団、というか山崎ゆかりさんのヴォーカルは好きだったんですが、この曲はある意味で彼女のヴォーカルの真骨頂なんじゃないか、と今年の夏前くらいに聴いて思いました。
露骨に歌謡曲を意識したアレンジとメロディがこの曲の特徴なのですけれど、ここにこのヴォーカルが乗っかることに半ば必然性を感じさせるほどのハマり具合は見事。いわゆる歌謡曲っぽい歌い方とはちょっと違う気もするんですけれどね。やっぱりすごいグループです、空気公団。
ヴォーカルとは関係ないですがギターソロも良い意味で大変古臭くて最高。
・最も鍵盤がカッコよかった曲
For Heaven's Sake / Wes Montgomery
メルヴィン・ラインがこの曲で弾くオルガンは、1963年という時代を考えるとちょっと衝撃的なほどにサイケデリックです。
ウェス・モンゴメリーのギターも良いフレージングを見せているのですが、このとろけるようなオルガンサウンドの前にはかすんでしまいます。長く聴いていると幻覚が見えてきそうなほどの強烈な音です。イヤホンで聴くと脳に直接流し込まれるのでおすすめ。
・最もフォー!!
Sailor / Rod Stewart
曲始まって1秒で「フォー!!」。
あと1分40秒ごろから入ってくる女性コーラスたちが「フォー!!」。
カッコいいロックンロールなのに死ぬほど面白いのがズルいです。フォー!!
・最もよく聴いたアルバム
Private Eyes / Daryl Hall & John Oates
今年は1月からずーっとこのアルバムを聴き続けてましたね。代表してタイトル曲を載せておきます。
2023年の暮れにこのアルバムをレコードで安く手に入れたのが始まりでした。本当に全曲クオリティが高い。この時期のホール&オーツの勢いを追体験することができる名作です。
私は何だかんだ昔のヒットチャートにあるポップソングが刺さりまくる人間なのでタイトル曲が一番好きなんですが、その他も「Mano A Mano」「Did It In A Minute」「Unguarded Minute」あたりは特に好き。ぜひ聴いてみてください。
あ、ただ、曲名を挙げておいてなんですが、今作はアルバムで最初から最後まで聴くことでポップセンスの洪水にされるがままになる、という体験が本当に気持ちいい作品なので、ゆっくり通しで聴くのが一番おすすめではあります。
・最もよく聴いた「歌ってみた」
1000年生きてる / 草喰トクサ
これはYouTubeくんがデータを出してくれてたのでそうらしいです。確かにYouTubeで音楽を聴くときはだいたい再生してた印象。ちなみに2位は私の感覚だとモー点ハワイアンNIGHTのエンディングの「BANG! BANG! バカンス!」です。あれは音楽動画と認識されなかったのでYouTubeくんはランキングに入れてくれませんでしたが体感そんな感じ。あれいいですよね。閑話休題。
この曲、というか動画はツイタでの企画に当選なさったか何かで全部手描きだし動くという贅沢仕様。そしてそこに乗っかる草喰トクサさんの声がいい。「1000年」の言い方が好きです。そういえばトクさんは悪魔でした、と思い出させる歌ってみたなんじゃないでしょうか。
というかこの歌みたを出している人が、モー点に??
・最もギターソロがカッコよかった曲
Sing A Blues Song / John Hall
ソロは1分48秒ごろから。
この時代の人としてはかなり展開がしっかりしているというか、歌の延長として存在するギターソロといった感じが素敵ですね。音部門でランクインしてもいいくらいたまらないサウンドで、メロディアスでありながらもしっかり熱いソロを決めてくれるジョン・ホールは本当に流石です。歌声もいいし。やはりギタリストは良いソロを弾きたいなら歌わなくちゃいけないね、と思わされます。
作曲の才能も当然ながら申し分ないのでミスってるのはジャケットの写真写りくらいです。このジャケット本当に好き。
・最も切なかった曲
Hide In Your Shell / Supertramp
この曲は2月かそのくらいにミッドナイトスペシャルで初めて知ったんですけど、ヴォーカルの声質もエレピの音もメロディもなにもかもが切なすぎる素晴らしいナンバー。
途中で入ってくるサックスのフレーズとテルミンもまた泣かせるんですよね。その上歌詞までかなり悲しい。ロジャー・ホジソンが全力で泣かせにきている、そういう曲です。落ち込んだ時に効きます。
・最も不気味だった曲
Three To Get Ready / The Dave Brubeck Quartet
3拍子で2小節、からの4拍子で2小節、の4小節でワンセットとかいうあまりに不気味なリズムのジャズ。何が怖いってそのままのリズムでアドリブソロに入っちゃうところですよね。大抵こういう変拍子の曲っていうのは楽譜通りのパートだけ頑張って変拍子で演奏した後、ソロは普通のリズムで即興に集中することが多いんですが、ここでは全員がこのリズムを律儀に守って鮮やかにアドリブを決めています。不気味~。
・最もカッコよかったライブ音源
Debra / Beck
この「2 Meter Sessions」におけるベックは全部カッコよかったんですがやっぱりこの曲。ベックの音域の広さとそれをソウルフルに活用する手腕ときたら!
そしてベックが目立ちまくっているんですが、このベックをがっちりバックアップする手練れ揃いのバンドも当然最高です。メリハリのついたホーン隊が特に素敵ですね。それからギタリストとしてはあまり目立たないながらもエフェクトを駆使してこの曲にとろみを追加しているギターがかなり良いなと思います。ベックもベックのバンドもやっぱすげえや。90年代の星ですよ。
・最もよく聴いた今年リリースの曲
La Palummella / くるりとDaniele Sepe
今年リリースの曲を全然聴いた覚えがなく、だいぶ後半のリリースなのにこの曲かな……となりました。
はじめて聴いた時、くるりはついにこんなところまで行ってしまったのか、と乾いた笑いが漏れた名曲。南イタリアはナポリの音楽家Daniele Sepeを迎えた新機軸の作品です。いや、サウンド的には新機軸なんですけどアティテュード的には一貫してるのがここ数年のくるりの怖いところ。
全部の楽器が良い音で鳴っているのがうれしいですね。本当に、この曲に関しては「この楽器の音イマイチだな」という部分がないんです。完璧な音がそろっている印象を受けます。
それにしてもこのMV、何回見てもどうかしている。
こんなところにしておきましょうか。そろそろ記憶の限界を迎えつつありますしね。
こうして振り返ると今年も色々聴いたなあ、という感じです。ずっと串田アキラとホール&オーツを聴いていた一年だと思うとだいぶ売れ線寄りですね。でもいい。売れ線は丁寧に作られてるものだから。
これで生活感は伝わったでしょうか。この記事がチャールズ・チャールさんの人格理解の一助となれば幸いです。人格理解ってなんとなく怖い言葉だな。そもそも「人格」が怖いな。
さて、チャールズ・チャールさんのnoteはこの記事が2024年最後の更新となります。今年から始めたnoteでしたが、わりとコンスタントに続けられたこと、皆様に読んでいただけたことがとてもよかったな、と振り返っております。来年も何卒よろしくお願いします。
それでは皆さん、ありがとうございました。良いお年を!