選書ブックレビュー①佐久間宣行のずるい仕事術
人生を変える選書 1/12
はじめまして。
せいたです。8月から、神保町の棚貸し書店・SOLIDAで棚主の一人になりました。
自分が本を売る立場になって、本に対するかかわり方が大きく変わりました。
これくらい読めたらいいなあ、だったものが、これくらいは読んでおかないと、とか。読み終わって、ああよかった、で済んでいたものが、よし、レビュー書かなきゃ、に切り替わる。
大好きな本との関わり方が変わって、次のフェーズに行ったような感覚になります。
そんな中で、本そのものというよりも本屋の経営などに目がつくようになり、書店にファン付けをする戦略の一つである、選書に出会う機会がありました。
初めての選書で選ばれた12冊のバイブル(未来)。
自分が選ばないものだけではなく、興味はあったが手を伸ばさなかったものもあって、背中を押すおすすめでもあったのかな、と。
『佐久間宣行のずるい仕事術 僕はこうして会社で消耗せずにやりたいことをやってきた』
ケーキのいちごは最後に取っておく派
この本に対しては、まさに背中を押されたから今読んだな、と感じました。
すごい、すごい、と言われると逆に遠のいてしまう僕。
みんながすごいというので、『君の名は。』も『劇場版SLAM DUNK』も見ていません。
大好きな東京事変や椎名林檎、Bruno Marsの新曲も配信当日すぐには再生できない。
伊坂幸太郎さんの小説にいたっては、文庫化するまで手が出せません。
好きなものほど、寝かせがち。
佐久間さんについても、面白いのが分かってしまっているから、見ない、聞かない、のループに入ってしまってました。
怒らない、でいいんだ
おすすめした方が言うには
「佐久間さんは怒らないリーダーなんだって」
へえ。そうなんですね。
「そう言われているだけじゃなくて、出版社の人も周りの人に聞いたんだって」
なるほど?
「そしたら周りの人も口々に、怒られたことないんだっていうんだってさー」
おお。
僕みたいかも。
なんだか、リーダーって、怒る時に怒る、みたいなものがあるイメージで、信念があるから、メッセージバンバン発しまくる、と思っていました。
逆に僕は他人に対する怒りが、全くと言っていいほど、湧かないタイプ。
うるせえなあ、とかはあるけど。
どうしてこうなの?とはならない。
だってそういものだから。
もしかしたら、考えが近いのかも。
それでまず、最初に読んでみました。
特徴:一気に読めます
中身には極力触れず、これを読んだ方にも手に取ってほしいので、特徴について書きます。
読みやすい。
イメージでいうと、ハウツー本とエッセイのいいとこどりです。
章立てが細かく、1ページ弱で一つの内容に触れるので、1つ1つ完結して行きやすい。
読めるなぁ、と言う自己肯定感に浸りながら、気づいたら読み終わってる感じ。
それでいて、ハウツー本特有の無機質さ、がない。
佐久間さんの血の通った、思わずクスッとなる文章で描かれていて、都度都度感動もしてしまう。
これは、
・長い文章が苦手
・説明書みたいな内容が苦手
と言う方にも、おすすめできます。
読んで、どう変わった?
改めてですが、謙虚になったかなと思います。
今自分がやりたいこともやりたくないけどやるべきことも、どちらも大事にしようと思いました。
佐久間さんが、両方を糧にされてきた方だから。
でも、どちらも全力、と言う力技なんじゃなくて、苦手なものとどう付き合うか、うまくいなす練習台にしているな、という印象でした。
あと、好きを伝えることをサボらないこと。
いつも思うことですが、なんでもできることはなんでもできないこと。
みんなを好きなことは、誰も好きではないこと。
みたいな感覚に近くて、なんでもやりますよ、誰とでもやれますよ、は全部取りを狙っているようで、何とも向き合うのを避ける態度なんだよな、と。
これが好きなんだよ!と。
それが、たとえ天職じゃなくても。
それが、ライフワークじゃなくても。
その人が、運命の人じゃなくても。
感じたら、その感じた分だけは、吐き出した方がいい。
そうやって、少しずつ、発していくメッセージが、自分になるんだって。
そうやって自分を、決めていくんだって。
だから僕も、好きを発信することを躊躇せず、やっていきます。