『なぜ人に会うのはつらいのか メンタルをすり減らさない38のヒント』斎藤環 佐藤優 著を読みました

p217より
斎藤 なるほど。誤解を恐れずに言えば、まったく働けない、働かない人が人口の一割くらいはいる社会が健全だ、と私も考えています。それが肯定され、社会的抑圧が少ない環境になれば、逆に「不必要なひきこもり」は解消されていくだろうと確信するのですが。
佐藤  考えてみれば、みんな同じ時間に起きて、同じように学校に行ったり会社勤めをしたりというのは、人類史の中でも、たかだかここ二〇〇年くらいのことなんですね。そのシステムにどうしても乗れない人たちが一割くらいいても、不思議でも何でもないわけです。

『なぜ人に会うのはつらいのか メンタルをすり減らさない38のヒント』2022年 中央公論新社 斎藤環 佐藤優 著

 ひきこもり対応で有名な精神科医の斎藤環さんと、元外務省主任分析官でいきなり独房に500日入れられた作家の佐藤優さんの、コロナ禍で見えたことに対する対談。

 人に会うのは暴力的だとか、会うこと自体への耐性が強い人も弱い人も強くも弱くもない人がいるとか、どうしてもダメなら逃げろとか、コロナ禍は忘れ去られるかもしれないから皆で語り継ごうとか、合理化が進み過ぎると優生学的になるからあかんとか、心の問題だったのが脳の問題に置き換えられてきてるが脳自体は全く判ってないのに危険とか、とてもわかりやすく、対話で話題がゴロゴロ転がってくのが面白かったです。

 引用は、ひきこもりは多様性の問題かもしれなくて、多数派に寄せさせるのが合っているのかは不明だ、と言うお話から。
ダイバーシティとか、多様性と言うなら直接会いたいヒトは会って、あまりヒトに会いたくないヒトはリモートで、好きな方法を取れたら良いなと思います。
案外リモートで大丈夫と大々的にばれたんだから、戻さなくても良いのに。

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