豊岡演劇祭2024について
5年目となった豊岡演劇祭が幕を閉じた。
昨年初めて知念大地さんと俳人岩田奎さんの『五体』(「一人が踊り、一人が俳句をラップトップに打ち込む即興のセッション」)を観た。今年は
知人が出演していたPratz市民演劇プロジェクト『空き家』を観た。
演劇祭は少しずつ浸透してきている、そんな感じだろうか。会社でも時折話題になることもあって、まわりの近い人たちも足を運ぶようになってきている。演劇については全くの素人で知識も鑑賞の経験もないけれど、毎年定期的に開かれるのであれば身近にふれることのできる芸術は、この地方、但馬には貴重な機会だと思っている。
最初のとっかかりが行政主導のイベントであって、どうして演劇なのという戸惑いはいまでも根強くあるけれど、演劇と但馬を繋ぐ物語は「たったいま始まったばかりだ」という時間軸で考えることが大事だと思う。
毎回、地域を舞台にしたプログラムがあるが、今回地域にある演劇以外のジャンルやイベントとの企画もあってより拡がりをみせているとも感じた。前に豊劇(映画館)が「演劇祭と勝手にコラボ」と銘打った上映をしていて、なんとなく取り残された感があったというか、プロテストな感興も抱いていたけれど、今回は演劇祭とオフィシャルに協働していた。地域の文化や資源を包摂し、演劇祭が浸透していくことを願っている。
演劇祭終盤、豊岡市役所前で開かれたナイトマーケットに西村編集長と出かけた。文学会会員さんの美味しい飲食の屋台や同人誌の販売に協力いただいてる本屋さんWind-up bird booksさん の出店もあり、とても賑わっていた。
この商店街も賑わう日がいつか来れば良いと思いつつ、祭りの空気を暖めながら帰途を急いだ。
チェホフ祭のビラのはられて林檎の木かすかに揺るる汽車過ぐるたび
寺山修司