中国で朝鮮族のプリンセスが流行っているらしい
ってどういうこっちゃ、と思われるかもしれない。
私もSNS(Weibo)で見ただけなので大した知識もないし周回遅れなら申し訳ないが、最近中国で流行っているらしい朝鮮族公主(プリンセス)体験についてちょっと書いてみる。こういう話が嫌な方はスルーして欲しい。誰かを不快にさせたい訳では無いということを言っておきます。
そもそも朝鮮族とは
中国なのに朝鮮?と思うかもしれないが、皆さんご存知の通り中国には56の民族があり、朝鮮族は少数民族の一つだ。ちなみに最も多い民族が漢民族である。
朝鮮族とはその名のとおり朝鮮半島をルーツに持つ少数民族で、中国の東北部の吉林省、北朝鮮との国境辺りに「延辺朝鮮族自治州」という自治州がある。
元々国境付近なので民族間の流出入が多かったようだが、19世紀に朝鮮半島からの移民が増え、第二次世界大戦後に今の行政区画となったようだ。
中国語と朝鮮語を話すバイリンガル
朝鮮族の人達は民族的には朝鮮系だが、国籍は中国である。中国語と朝鮮語を駆使するバイリンガルの方が多く、文化的にも朝鮮半島の文化に近い。
芸能人で言えばNCTのロンジュンくんが朝鮮族出身だ。
韓国での朝鮮族の扱い
韓国では朝鮮族のイメージはあまり良くないらしく、映画やドラマで悪役として出てくる人は朝鮮族であることが多い。
犯罪都市という有名な映画でも、朝鮮族のチンピラが出てきていた。
愛の不時着や哀しき獣、ミッドナイトランナー等、朝鮮族がマフィアとして出てくるドラマや映画は数え切れない。
実際にソウルには大林洞(デリムドン)という中華街があるが、そこのイメージはあまり良くなく、治安が悪いとして近づかない人も多いそうだ。
韓国に出稼ぎにくる朝鮮族達は、民族は同じとはいえ国籍は中国だ。外国人労働者の置かれる立場が厳しいのはどこの国も同じで、朝鮮族出身の労働者と韓国国民の間には更に溝が生まれたという。
詳しいことはWikipediaで。
そんな感じで正直韓国でのイメージはあまり良くないようで、YouTubeで「조선족(朝鮮族)」と調べても差別的な動画がかなりヒットする。
中国での朝鮮族の衣装が流行った理由
じゃあ中国国内ではどうなのか、というと、中国の友人に聞いたりSNS(weibo)を見ている限りではあくまで少数民族のひとつと捉える人が多いようだ。違ったらゴメン。
そして延辺朝鮮族自治州の延吉市というところでは、朝鮮族の民族衣装を体験出来る観光コースがあるらしく、最近は中国でちょっとしたブームらしい。
昨今中国と韓国の間では漢服と韓服の起源争い等がSNSで勃発しており、天下のIVE様もこの論争に巻き込まれた。
このHEYAのMVに出てくる衣装や背景、小物等が中国のものであると中国ネットユーザーは激怒。韓国側も負けじと中国の文化とは違うのだと反論している。
起源論争については一旦置いといて、そんな感じでちょこちょこ民族衣装や伝統食品について中韓で揉めるのだ。
そこで中国吉林省出身の人気女優、張佳寧さんが故郷をプロモーションするために、とある動画を投稿した。
吉林省には先程述べたとおり、延辺朝鮮族自治州があり、朝鮮族の方々もいるため朝鮮族の伝統衣装として韓服(チマチョゴリ)を着たのだ。
が、それが一部の韓国ネットユーザーから攻撃されてしまった。「チャイナドレスを着ないのか?」「韓国人になりたいの?」等々。
そんな感じで中韓のネットユーザーがまたも喧嘩しはじめたのだが、あくまで中国ネットユーザーは「中国の少数民族の民族衣装として紹介している」と主張しているわけだ。
これがきっかけなのかはさておき、朝鮮族公主(プリンセス)の衣装の可愛さが中国のネットでもちょっと話題になったらしく、「わざわざ韓国行って韓服着なくても延辺朝鮮族自治州で可愛い服着れるじゃん」みたいなノリで朝鮮族公主体験をSNSにアップする人が結構増えた。
weiboやTikTok、インスタで朝鮮族公主や延吉と調べると可愛い中国の女の子やイケメンが朝鮮族の伝統衣装を着ている様子が出てくる。もちろん中には韓国まで行って韓服を楽しんでいる人達もいる。
そんな感じで延吉市の観光コースが賑わっているらしいという話を聞いて、中国の歴史の深さと民族の多様性というのは凄いのだなと素直に思った。
韓国の文化も中国の文化も好きな自分としてはこういう対立は悲しく思うが、日本人の私が口出しすることでもないなと思って中国の知人の延吉旅行にいいねを押す。
料理も美味しいらしく、いつか自分も延吉市に行ってみたいなとボンヤリ思うのです。
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