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58話-感想『囀る鳥は羽ばたかない』

三角さん三角さん…にこにこにこにこ
手に持ってるのはNintendo Switchですね。綱川が言ってた「今度のゴルフ」ってマリオゴルフかな…ゴルフサボって釣り堀行ってるし。ね、天羽さん。


1) 綱川怖い

欲しいものへの執着強すぎませんか。天羽さんが百目鬼の事を“内密に“と伝えたのは、取引というより友人としてでは……それ破るんだ…嫌ぁ。何でも天秤に乗せるんですね。「他のことなら大概のことはしてやる」(37話)  ってお願いを…ぃゃぁ。「じゃあ今度のゴルフでこの話していいよな」(43話) なんてお伺い立ててたのに…どんなツンデレ。

そして、ついでのフリして本題持ってくるのは綱川の定石ですかね。
「人はどうせ変わらない」が綱川の哲学なら、案外あっさり百目鬼を手放すのかな…と感じたんですけど。今回、執着と切り捨て方と両方見た気がする…。探りもすごいし、綱川怖い。「ーー 矢代か」の独り言、主部がいくつも浮かぶ。

玲司なんて上品な名前でいて野心むき出しな感じ、一周回って好きですが。(結局すき


2) 三角さん

「なんでだろうな?」
いやいやいやいや…。三角さんのこと時々、可愛い人だな…って思ってしまう(ごめんなさい)。
思わず、〈自分に似てるからじゃないですか?〉とつっこんだのですが、どこが似てるのかうまく説明できません。でも〈この2人そっくり〉と思った事が何度かありました。
矢代を繋いでおけなくても、煙たがられても、手を焼いて、何に変えても守りたい。悟られないようにしたり、強引になったり。矢代が選ぶのが自分じゃなくても、身が持たなくても、きっと大事にしすぎる。盲愛にも見えて…なんか似てるな、と感じます。三角さんと百目鬼の関係もこれから楽しみです。

別に三角さんの事とは言いませんけど、
どんなに大切でも娘を一生守ることは自分にはできないし、娘が選ぶのも自分じゃない。娘を傷つけるのも守るのもその青年で、弱くも強くもする存在。想いの強さで負けるはずもないが、自分にはできない事をしてあげられる男。娘の彼氏なんぞ憎いほかあるか、同じ世界にいるのも許せねえ、「さっさと波紋にしろ」。人の家にまで口を出す始末。別に三角さんの事とは言いませんけど。

手を焼いてきた大切な人を託せる男、だと思いたくないようで思わせてほしかったり…しませんかね…しませんか…はい。

私が三角さんをどう思うか『三角さん』ってnote(投稿してない)にたんまり書いてるんですが、一言でまとめると大好きです。


天羽さん

後でコロス」が先生の手書きじゃなくタイピングなのがジワジワきます。静かに何かのスイッチ(コロスイッチ)を入れた天羽さん、三角さんを軽く無視。

甘ったれな私は、百目鬼のことバレても三角さんは怒らないと思ってました。自分を慕い「同じ世界に」という一心で極道に入った息子。その姿が思い出されて、可愛くて憎めないというか…「あんにゃろう」くらいかななんて。でも結構コミカルにキレてた。天羽さんのこと「てめえ」呼ばわり。天羽さんは天羽さんでキレてるし面白すぎます。ハートフルな親子ですね



3) 矢代さん


「頭、頭、」と付いて周る可愛かった百目鬼が、今や自分を丸め込み、女や仕事の傍ら抱きに来ては愛想もなく帰る。
それが苦しい、とは言えないんですね。

「言葉もなく、何の意味もなく、本当にそれしかないと感じるくらいには」って、「言葉が欲しい、何か意味が欲しい、本当はそれ以外のものがあると感じたい」って聞こえます。「たった一度」でも。

そして今回「感情は置き去りのままー」ですけど、影山医院での矢代については表情豊かに見えました。何の心配をされてるか気づいた時の顔 (ページ左下) 、好きです。少し弱くて柔らかくて。右目の事をバラされ睨む顔も、可愛い (ごめんなさい) し、最後のページの苦しそうな口元も…、表情豊かに感じました。

・雨

矢代の夢に出てきた砂漠、乾き切った矢代の感情に思えました(40話)。今回やっとドライな地(心)が雨(感情)を得る、とするのなら…良かったな、って私は思います。苦しそうですけど、それでも。

雨に打たれる姿に、矢代がこれまで濡れた場面を思い出しました。百目鬼に告白されシャワーに打たれる姿、平田に撃たれた百目鬼に手を伸ばす姿、(ちょっと他は思い出せない)そして今回、百目鬼への感情を認める姿。百目鬼、百目鬼、百目鬼。どれも自分の感情に怖がってるように見えます。矢代はこれから、望む物、大切な物とどう向き合うんでしょう。
今のところ私には、主人公が百目鬼に見えてしまうんですね。違うと分かってます。でもアークが。まぁそれは置いといて…



4) 百目鬼

百目鬼…大丈夫かな。身も心もよく持ってますね。矢代さんの顔を見て身体に触れることは、百目鬼を苦しめも支えもしていそう。
百目鬼も濡れていましたね。この2人、傘を差すという概念どこに置いてきたんでしょうか。

しかし天羽さんも神谷も百目鬼のこと好きすぎませんか。自分の立場を顧みず口をつぐむ人達がいる…なんてこと今は気にせず、頑張って下さい。


5) 影山

4年前矢代は、惚れた人を手放したこと、否定はしなかった。今回も、再会に傷心していること、否定はしない。影山先生はそれ以上傷口開くような質問しないんですね。

惚れるとかそういうのないと思ってた親友が男に惚れ、きっと必死の想いで突き放しただろうに、知らない所で立派なヤクザとなり、その見たくない姿で現れた。何でもないような顔してる親友に「大丈夫か?」ととっさに尋ね、後から照れ隠し。かげぇ…

矢代さんの惚れた人は、二人とも不器用で優しいですね。男の趣味がいいですね。ね、三角さん。

……〈20年間片想いさせといた貴方が何の心配ですかね…〉とうっすら思った様な思わなかった様な。そして久我も遠慮ないけど優しい。



6) 個人的な嗜好 ※ストーリー関係なし

私は先生の、演出?もとても好きです。今回ちょっと書いてみようと… ※もれなく勝手な解釈ですスルー推奨

・ イマジナリーライン

三角さんと綱川の会話中、何度も何度もイマジナリーラインを越えるのでどきどきしました。※控えめに表現してます
イマジナリーラインは、雑に説明すると、人物二人を結ぶ線(仮想線)の事です。会話シーン等で画をいくら変えても良いのですが、カメラ(視点)はこの線を超えないのがセオリーです。超えると、観客の方向感覚を奪い、違和感を与えます。

でですね(続く)、この場面では画面左に綱川、右に三角さんと配置するのが自然(雑な説明:他の要因にもよりますが一般的に、画面左にいて右方向を向いてる人=下手というか挑戦者、画面右から左方向を向いてる人=上手というか受け手、と観客が心理的に感じるため、そう配置するのが無難)。イマジナリーラインを越えると、この左右関係も行き来することになりますが、そこの意図的な演出に感じました。ただでさえこの2人の対談は緊張シーンですが、場の主導権が天秤のように揺らぐ、そんな不安感(不穏)を煽られます。

外見に大差ない2人でこういう演出をするのは先生のS気を感じ…略
読み手の把握力に一定の信頼というか期待がないとできないと感じます…でも私は、極星会が北極星に見えるし、竜頭が竜崎にしか見えないし、山川は車に引かれた気がしてる(シンジ)ので、そろそろ振り落とされます。

も、もういっこ書いてみよう…

・ 数本の雨滴

最後のページ、矢代の手前にある雨も好き(控えめに表現)です。
矢代の口元が映るコマは最後の見開きで3コマありますが、2つ目まで、背景は窓後しの雨だと思います。直前のコマがそうなので。それが最後のコマでは矢代の手前に雨滴があります。この白い線をたった数本描いただけ、それだけで 「外に出たこと」そして 「雨に打たれていること」を十分に伝えます。美
もっとつらつら書きたいですがやめといて、とにかく、この数本の加筆(ミニマムな表現)が美しいです。はい

余談:やっぱり七原の差した傘に入る、という描写はないのかな、と感じました。分かりませんが


7) その他いろいろ


・9巻表紙!

ロシアの映画かな、と感じました。よく分からない感想ですみません。色味もですが、厳しい寒さ、侘しさ、そこにたたずむひたむきな美しさ、私の中でそれは旧ソ連です。厳寒には雨も降らないでしょうから、2人離れ離れの4年間、降っていたのは雨でなく雪だったな…とか、今回の雨が春を告げる雨一番にならないかな…とか、そんな事を思いました。
寒さはさておき、「この表情をさせる右手の持ち主は、一体どんな人だろう…」と気になる表紙です。
9巻は「わからなかった これが俺の望んだ事なのか」(51話)に始まり「勘弁してくれ 本当に」(58話)に至る。その矢代の戸惑いや躊躇いの表情でしょうか。

・イァハ表紙、アンニュイという言葉が似合いますね。磁石の様に、くっついてるのが当たり前ですけど?的な。なんなんですか最高
杉ちゃん、名前だけの出演でも「登場人物」に載るんですね。色々気になる
・【悲報】
愛され男、竜崎も登場ならず
・奥山組長ご存命のようで…ワンチャン「墓の中です」も…
・素朴な疑問。
なぜ回想シーンはコピペの所と書き直された所(膝枕)とあるのだろう
・雨が降るとちょっと気になる…仁姫ちゃん

おわり

井波、早く28丁回収しないとイァハが血祭りになるよ。ん?薬以外は専門外…?スマホ踏むよ (百目鬼が)

井波〆


【あとがき】
ファンレターとか送る勇気がない私は念を送ります。9巻発売おめでとうございます。おめでとうございます。おめでとうござい……
10年を超える年月、情熱を一つの作品に注ぐこと、愛され続けていること、本当にすごいです。完結まであと10年、何卒よろしくお願いします。合掌

何かの縁で囀るに出会えたことを幸運だと思います。最近Xに浮上してないのですが、変わらず囀るが大好きです。皆さま、心穏やかな月末を…


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