日本の介護~いまとこれから~
かつては家族が行うものとされていた介護ですが、少子高齢化による介護を必要とする高齢者の増加や核家族化の進行、介護による離職が社会問題となりました。
こうした中、家族の負担を軽減し介護を社会全体で支えることを目的に、2000年に介護保険制度が創られました。
これによって65歳以上または40歳以上で特定の病気にかかっている人は、要介護認定を受けることで介護保険による介護サービスを利用することができるようになりました。
介護の現状
現在の日本では介護サービスを利用しながら家族が自宅で介護をしている人、高齢者施設に入居して施設で介護を受ける人に分かれています。
2020年に在宅で介護サービスを利用した人は約390万人、施設での介護サービスを利用した人は約96万人でした。
要介護状態になるきっかけで最も多いのが認知症、次が脳血管疾患、3番目が転倒・骨折です。
高齢化により認知症の数も増加しており、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。
少子高齢化の進行による介護不足が懸念されるようになり、高齢者は「できるだけ住み慣れた自宅で長く生活できるように」することが目標とされるようになりました。
要するに高齢者を介護者だけでなく、”地域で支えていきましょう”ということです。
自治体では高齢者向けに介護予防教室も開かれており、専門のスタッフが運動やストレッチの指導や講話などを行っていますが、コロナ禍においては、教室の中止や高齢者の外出控えが影響し、身体機能の低下や認知症による要介護者が急増しています。
介護力・労働力の不足
日本では核家族化により子供の数が少ないために自宅で両親やパートナーを介護するために仕事を辞めなければならない人もいます。
仕事を辞めてしまうことで労働人口がさらに減少したり、介護者自身の経済的困窮も大きな問題になっています。
東南アジア諸国では子供が親の介護をするのが当たり前のようですが、日本でもまだまだ同じ慣習が根づいています。
また自宅で介護をする人のほとんどは女性(妻や娘)で、介護と育児が重なるダブルケアなど、女性の負担が大きいのが現状です。
日本の人口は2040年を過ぎると高齢者も現役世代も減少すると予測されています。
近年ではAI(人工知能)の導入などもすすんでおり、介護者の減少と負担軽減のための対策として期待されています。
日本は長寿国として知られていますが、タイ、シンガポール、ベトナムなどの国でも急激に高齢化が進んでいると言われており、これらの国々も今後同じような課題を抱えることになるかもしれません。
介護のこれから
さまざまな課題を抱える日本の介護ですが、今後はどうなっていくのでしょうか。
まずは生産年齢人口の減少と高齢者の増加から、介護保険の財源が厳しくなっていくことが予想されています。
こまでに比べて要介護認定を受けることが厳しくなり、軽度者(要支援や介護1、2)では受けられる介護サービスも少なくなっていくでしょう。
また同時に介護者不足も深刻になっていきます。
日本は海外からの労働者に頼らざるを得なくなると思います(その時日本にわざわざ働きに来てくれる人がいるかはわかりませんが)。
今は介護保険を使って受けているサービスも、数十年後は自費が当たり前になるかもしれません。
将来に備えて我々がすべきこと
以上のような現状と将来の予想を踏まえて、将来介護を受けることになるかもしれない我々世代はどうすべきなのでしょうか。
まず一番重要なことは「要介護状態にならないこと」です。
今からセルフケアをしっかりと行い、生活習慣病にかからないようにするなど健康を維持する必要があります。
そのためには、定期的な健康診断とバランスの良い食事、適度な運動、人との交流を続けましょう。
健康でいることが一番の節約にもなります。
次は財産管理をしっかり行うことです。
高齢になると様々な手続きが大変になってきます。
無駄に土地を持っているとかえって負の財産にもなりかねません。
「いつかやろう」ではなく、判断力も認知力も十分あるうちに、自身の財産を整理しておきましょう。
今回は介護の現状と今後についてお伝えしました。
介護に備えてお金を貯めることより、健康でいることの方が重要です。
将来どうなるかは誰にもわかりませんが、今できることを自分で考え、行動していきましょう。
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