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御徒町エレジー第13話【チョ・マテヨ・マウンテン】


キムタク。


またの名を木村拓哉(さん)


老若男女問わず絶大な人気を誇る国民的なスーパースター。



そして俺と同世代。


だがそれはどうでもいい。


そんな彼の活躍する数々のドラマの名作たち。


「あすなろ白書」

「若者のすべて」

「ロングバケーション」


リアタイで見ていた世代である。

だが、人の興味と記憶はそう長くは続かない。



「あすなろ白書」に実は若かりし頃の西島○俊が出ていた事を皆忘れているように…


色んな事が忙しくなり、すっかりドラマを見る事がなくなった。


そして、2014年。

同じ事務所の後輩の岡田くん主演



自分史上最高の傑作大河ドラマ

「軍師官兵衛」


このドラマを最後に俺はテレビを卒業した(捨てた)


あれからもう10年経つ。


我が家には未だにテレビがない。


若者たちのテレビ離れが進み、スマホで何でも出来る時代になり。


最近、妻がNetflixに加入した。


家族共有で視聴できるからと勧めてくれたのだが。。。


そこでまた出会ってしまった。


そう、タクヤに。


「グランメゾン東京」を一気見して続けざまに「マスカレードホテル」を見て以来、失われた10年間に彼が主演したドラマを全て制覇した。


それだけでは飽き足らず、彼のYouTubeチャンネルまでも観てしまっている。

10年の歳月が経った今。

年齢を重ねたタクヤは精悍さが増し、おまけに渋味と時折見せる少年ぽさが更なる魅力として俺の心を鷲掴みにしているのだ。



だから、タクヤを馬鹿にするヤツを決して俺は許さない。


もう一度言う!決して許さない!



最近見たタクヤのYouTubeチャンネルの中でナポリタンを作る回があった。


「グランメゾン東京」の尾花シェフさながらに、調理をするタクヤ。



すんげぇ美味そうだった。



しかもナポリタンは、最後の晩餐に選ぶ十選に間違いなくランクインするメシだ。



タクヤのせいで、ナポリタンが頭から離れない。


そうだ。


チョイ遠いがあそこへ行こう。



午後14:00、やって来た。

御徒町駅前に佇むこの店。

「スパゲッティーのパンチョ」

パンチョ御徒町店(B1F)


ちなみにパンチョへ来るのも10年ぶり位である。


以前食べた時の事は、スパゲッティーにスゲェ長いソーセージが乗ってた記憶しかない。


地下を降りて、扉を開けるとすぐに食券機があった。


まぁここは変化球なしでナポリタン一択だろう。

そいつにトッピングで目玉焼きを乗せて食べてやる。

色んな種類のスパゲッティー



ん?ん?

チョマテヨ!


並・大盛・メガが同料金だと!



だがマテヨ…


YouTubeで大盛りファイターがここのメガ盛り食ってるところを見たことがある。


イケて大盛り。。。


いや、だが俺は少女の胃袋…


ここは並で行くべきだ。


美味しく食せる量は並だ。



店員が聞いてくる。


「麺の量はいかがしましょう」



突然タクヤが舞い降りた。



「えっ?大盛りっしょ!」



タ、タクヤァァ。



やってしまった・・・



目の前の味変アイテムを眺める

規格外のデカさ


一般家庭なら、三年位もちそうなデカいタバスコの瓶とクッキー入れのようなポットに入った大量の粉チーズ。

絶対に食いしん坊のサイズ感。



そのうち先に来ていた隣の外国人の二人組の席に料理が到着。



「お待たせしましたメガでぇす」



ウェイターが料理を運ぶ時に使う丸いお盆みたいなサイズの銀の器に山盛りになったスパゲッティーが乗っている。

「お箸クダサーイ!!」

スゲェ!

外国人のくせに箸で喰らうのか!


いや、ちがーう!

あの量を一人で食べるのか!

通常の量の5倍位はあるぞ。

なんて思ってたら俺のが来た。

「お待たせしました大盛りです」

チョ、マテヨ!

ナポリタン大盛(目玉焼き)


なんなんだ、この量は。


どっかで見た山脈に似ている。


いや、立ち昇る湯気が煙のようだ


これはマウンテンじゃない。


ボルケーノ(火山)だ。


チョマテヨボルケーノだ!


粉チーズとタバスコをぶっかける

いやらしいボルケーノ


こうなりゃヤケクソだ。


こういうのは初動が肝心。

羽生○弦のように、クルクルとフォークでスパゲッティーにトルネードをかます!

湯気がもうもうと上がるフォークに絡んだワンストローク目。



甘めのケチャップの中に少し酸味を感じつつ、粉チーズのまろやかさとタバスコの辛さを一気に頬張る。



メ、メエェェェ〜〜。。。



続いて目玉焼きの黄身をクパァ。

エロボルケーノ


黄身にツーストローク目を絡ませてからの二口目。


「オマエサァ、ウメェんだよ。」



ふたたびタクヤが降臨した。



「タクヤ!うめぇ、うめぇよ。」


しかし、感動と興奮は長くは続かない…


食欲の終焉。


後半戦は味の濃さに中年の少女の胃袋が完全に沈黙し、何杯も水をお代わりし、ようやく完食…

グフゥ。。。



食い切った、全部食い切ったよ。


タクヤ…


君はヌルい奴とズルい奴が嫌いなんだったよな。


その日の晩メシが喉を通らなかったのは言うまでもない。


        
        第十四話へ続く

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