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ヒマラヤ便り46号 Welcome Monsoon season! "Teej"

ナマステ~!今日は、女性によって祝われるヒンドゥのお祭り”ティージ”のレポートです。ティージは、モンスーンの季節を歓迎し、歌い、踊り、祈りによって女性たちが祝います。6季節のヴァルシャ(雨季)のシュラヴァナ月、バドラパダ月の期間に、自然の恵み、雲と雨の到来、緑と鳥、社会的活動を祝います。主に、シヴァがパールヴァティを妻として受け入れたこと、シヴァとパールヴァティの再結合を祝います。女性たちが集まって、歌い、踊り、物語を語ります。手足をヘナで飾り、赤・緑・オレンジの服を着て、お祝いの食べ物を共有します。

ティージは、3つの段階があり、ハリヤリ・ティージ、カジャリ・ティージ、ハルタリカ・ティージの順に祝います。


ハリヤリ・ティージ Haliyali Teej Green Teej

ハリヤリ・ティージは、シュラヴァナ月、シュクラ・パクシャのトリティヤ(3日目)に祝われます。2022年は8月1日。2023年は8月19日です。2024年は8月7日。
周囲の緑が豊かになってくるモンスーンのシュラヴァナ月のハリヤリ(緑)・ティージは、既婚女性の義理の娘のお祭りで、繁栄と長寿を祈ります。新調した服、できれば緑のサリーと腕輪を身に着け、メヘンディを手足に装飾します。プジャーは午前中に行い、ゴウリ・マーター(パールヴァティ)に捧げ物をし、ディヤを灯し、水をかけ米と花を捧げます。夜は、夫の長寿を祈り、歌と踊りで祝います。
母は義理の娘に、自家製スイーツ、果物、ヘナ、腕輪などを入れた籠「シンダーラ」を贈ります。そのため、「シンダーラ・ティージ」とも呼ばれます。

カジャリ・ティージ Kajari Teej

通常カジャリ・ティージは、ハリヤリ・ティージの15日後に祝われます。バドラパダ月、クリシュナ・パクシャのトリティヤ(三日目)当たります。2022年は8月14日。2023年は9月2日。2024年は8月22日。恋人への乙女の憧れを表した古典音楽カジャラが由来しています。
この日は、日の出前に起きて、朝の家事をすべて終えます。いくつかの食物を食べ、その後断食をします。夕方、新しい服を着てビンディ、腕輪、メヘンディ(ヘナタトゥ)で身を飾り集まります。ニーム(インドセンダン)の木に祈ります。クムクム(ウコンとミョウバンから出来た赤い粉)、チャワル(米)、ハルディ(ウコンの黄色い粉)、ヘナ(ツマクレナイノキの葉の粉末)で崇拝し、菓子や果物を供えます。
既婚女性は夫の長寿のため、未婚女性は良い夫を得るために断食をし、月を見た後に果物を食べて断食を解きます。

Kullu Valley

ハルタリカ・ティージ Hartalika Teej

ハルタリカ・ティージは、バドラパダ月のシュクラ・パクシャのトリティヤ(3日目)に祝われます。2022年8月30日。2023年9月18日。2024年9月6日。
Harat(誘拐)とaalika(女友達)を組み合わせた言葉で、ハルタリカ・ティージの伝説によると、パールヴァティは108回目の転生でシャイルプトリに転生したとあります。

女友達は、パールヴァティを深い森へ連れていき、パールヴァティの希望に反した父ヒマヴァットの希望であるヴィシュヌとの結婚から守りました。バドラパダ月のシュクラ・パクシャのトリティヤに、パールヴァティは、シヴァとの結婚を願い断食をはじめ、ガンジス川の砂とシルト(粘土)からシヴァリンガムを作り祈りました。シヴァは、そのことに大変感銘を受け、「Tathastu」(あなたの望むように)と言ってパールヴァティの願いを叶えました。

ハルタリカ・ティージ伝説

ハルタリカ・ティージでは、プジャーは朝行います。日の出前に起きて入浴し、上質な服で、プジャーの間にハルタリカの伝説を語ります。パールヴァティはバジャン(祈りの音楽)、キルタン(神の名を唱える)アーティ(崇拝の歌)を3回演じる事で目覚めます。シヴァとパールヴァティの結婚の話を語り、祈りを捧げ、一晩寝ずに祈りを聞きます。一日半の断食をします。断食は夕方に始まり、丸一日の儀式の後に解かれます。赤、又は緑のサリーを着用し、夜はバジャン(祈りの歌)とプジャーをする非常に縁起の良い断食です。

初日は、男性が主催する祝宴に、女性たちが最高の服装で集まり、歌い、踊ります。一年中一生懸命働く女性は、この日は家事をしなくても良く、ご馳走を食べます。その後、断食が始まります。ディヤ(オイルランプ)を一晩中灯して、光によって夫と家族に平和と繁栄がもたらされるよう願います。

二日目は、ガネーシャ・チャトゥルティです。水も飲まない女性もいれば、飲み物、果物は口にする女性もいます。既婚女性は、神々への献身が夫と家族の長寿、平和、繁栄に恵まれると信じ、未婚女性は良い夫に恵まれる希望を持って断食します。シヴァ寺院を訪れ、シヴァリンガムに祈り、スイーツ、コインなどを供えます。

三日目は、リシ(聖者、賢者)パンチャミの日です。リシ・パンチャミは、お祭りではなく、七賢人を意味するサプタルシに敬意を払い、ラジャスワラドーシャ(動的不純物)から浄化されるための女性の断食の日です。儀式的な風呂と、プジャーに参加することで、自分自身を清めます。

ヒンドゥーは、純粋さを最優先し、体と魂の純粋さを維持するための厳格なガイドラインがあります。月経の間は汚染されていると考えられ、料理をしたり、宗教活動に参加したり、家族に触れたり、台所に入ることが許可されていません。これらに従わないとラジャスワラドーシャが作成されます。リシ・パンチャミの断食は、ラジャスワラ・ドーシャを取り除くことができます。

ハルタリカの伝説

ハルタリカティージの伝説は、パールヴァティにヒマヴァットの娘としての彼女の化身であるシャイルプトリについて思い出させながら、シヴァによって語られました。
シャイルプトリは、幼い頃からシヴァを喜ばせるために償いの苦行をはじめました。彼女は12年間祈った後、シヴァを喜ばせるためにさらに64年間の禁欲と苦行を続けました。

ヒマラヤラジは娘の将来を心配しました。ナラダムニ(ヴィシュヌに献身的な賢者。神々の知らせと啓発的な知恵を運ぶメッセンジャーであり、旅する音楽家。)がシャイルプトリに会いに来たとき、彼は嘘をつき、ヴィシュヌに代わってプロポーズをしたと言いました。ヒマラヤラジはナラダに娘をヴィシュヌと結婚させると約束しました。ヴィシュヌもまた、ナラダ・ムニの要請でシャイルプトリと結婚することを受け入れました。

シャイルプトリは、父親がヴィシュヌと結婚させると約束したことを知ったとき、友人と一緒に家を出ました。彼女はシヴァ神を喜ばせるために苦しみながら、深い森に行き、川の近くの洞窟に住みました。ついにシヴァは喜んで、彼女と結婚することを約束しました。翌日、シャイルプトリと彼女の友人は、バドラパダ月のシュクラ・パクシャ・トリティヤの日から、バドラパダ月が終わるまで、シヴァのための断食を遵守しました。

ヒマラヤラジは、娘が誘拐されたと思い、娘のことを心配していました。ヒマラヤラジは、軍隊と共にシャイルプトリを探し始めました。ついに彼は娘と彼女の友人を深い森で見つけました。彼は娘に家に帰るように頼みました。シャイルプトリは、シヴァと結婚することを了承した場合にのみ、家に帰ると言いました。ヒマラヤラジは彼女の願いに同意し、後にシヴァとの結婚を許しました。

この伝説により、この日は、パールヴァテ​​ィーの女友達が、パールヴァティを誘拐するように深い森に連れて行ったため、ハルタリカとして知られています。

Drik Panchang "Legend of Hartalika Teej"
Parvati River

モンスーン Welcome Monsoon

「小学生でもモンスーンを知っているのに、気象台は何も知らない。」と言われるくらい、人々は経験によってモンスーンを知っています。

インドでは、11月前後から5月頃まで北東季節風による乾燥した気候が続きます。大陸は、暖まりやすく冷えやすい。海洋は、暖まりにくく冷えにくい。夏季は、大陸上の空気が暖かくなり、上昇気流を生じ、海洋から大陸へ季節風が吹きます。海洋側から吹く季節風は、湿った空気が内陸へもたらされ、強い降雨を伴う雨季(ヴァルシャ)となります。
冬季は、海洋が暖かくなり、大陸から海洋へ乾燥した空気の季節風が吹き込み、乾季になります。

夏になると、シベリア高気圧が弱まり、西アジアに低気圧地域ができ、南インド洋やオーストラリア付近から低気圧地域に向かって南西季節風が吹きだします。6月頃にインド南西部から風が強まり始め、北東に広がっていきます。これに伴い、インド南西部から長い雨季が始まります。9月頃まで続き、年間降雨量の約3/4以上が、雨季に集中して降ります。

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