ヒマラヤ便り43号 ヒンドゥの暦
ナマステ!ヒンドゥ暦は、太陰太陽暦で、伝統的な祭りや儀式の日取りを知るために重要な暦です。
スーリヤ シッダーンタ 太陽の論文
4世紀から5世紀の14章500シュローカ(韻文)から構成されるヒンドゥ天文学の論文であるスーリヤシッダーンタは、さまざまな惑星や恒星の直径に対する惑星や月の動きを計算し、さまざまな天体の軌道を計算するための規則が記述されている。ヤシの葉の写本が良く知られている。
複雑な概念が簡潔なシュローカ(韻文)の形式で韻を踏むことで叙情的に表現されている。2行からなる詩で構成されており、それぞれが8音節の2つのパダに分かれている。第1章第2節は、サティヤユガの終わりのマヤと呼ばれるアスラ(阿修羅)について語られ、この言葉は太陽神スーリヤの言葉として知られている。
第1章 惑星の平均運動について
第2章 惑星の本当の位置について
第3章 方向・場所・時間
第4章 日食 特に月食について
第5章 日食における視差について
第6章 日食の投影
第7章 惑星の結合について
第8章 アステリズム
第9章 ヘリカル(太陽)の上昇と沈下
第10章 月の出と沈み。その頂点
第11章 太陽と月の特定の悪性の側面について
第12章 宇宙論、地理、創造の次元
第13章 天球儀とその他の機器について
第14章 時間の計算のさまざまな形式について
ジオセントリズム 天動説・地球中心説
スーリヤシッダーンタでは、地球は静止した球体で、太陽が周回するとし、
太陽年の計算に影響を与えました。マハーユガ(循環する4つの時代。サティヤユガ、トレータ―ユガ、ドヴァ―パラユガ、カリユガ)1回あたりの回転数、軌道の経過変化などの惑星の軌道に関する情報が含まれており、裏付けとなる証拠や計算方法が含まれている。
テキストでは、日の出から日の出までのサヴァナ日を測定し、30サヴァナ日がサヴァナ月となり、サウラ(太陽)月は、太陽が12ラーシに入ることから始まり、12ラーシで一年になると記述されている。
ナクシャトラ 27月宿 Lunar mansion
ナクシャトラは、白道(地球から見た天球上の月の通り道)を27分割したものです。各お宿に、一人のナクシャトラが宿っています。1宿は、13°20’。
27人は、すべてダクシャ(リシ=聖仙)の娘で、27人すべてがチャンドラ(月神)の妻です。チャンドラは、ロヒニとだけ結婚したかったのですが、ダクシャから他の娘も娶ることを条件にされ、渋々承諾しました。チャンドラが、ロヒニばかり可愛がるので、他の妻たちが不平を言います。そのため、チャンドラは、アシュヴィ二から順番に13°20’ずつ平等に会いに行くようになりました。妻それぞれの性格や特徴は、後でじっくりお知らせする予定です。チャンドラ、甲斐性あり過ぎ。
リトゥ 6季節 Six Seasons
ヒンドゥ暦の季節は6種あります。太陽が地球を周回する軌道上で
年初をどの太陰月(マーサ)にするかは3種類あり、チャイトラ(3から4月)から始めるところが多く、他にアーシャーダ(6から7月)または、カールティッカ(10から11月)から始めるところもあります。クリシュナ・パクシャからマーサが始まる北インドのプールニマンタ方式では、年初は、チャイトラ月のクリシュナ・パクシャから新年が始まります。
太陰月(マーサ)は、月の動きなので、名称は、27のナクシャトラに因んでいます。12ヶ月が6季節から成るので、各季節に2つの太陰月があります。
ヴァサント(春)チャイトラとヴァイシャカ
グリーシュム(夏)ジェシュタとアーシャーダ
ヴァルシャ(雨季)シュラヴァナ(サワン)とバドラパダ
シャラド(秋)アシュヴィナとカールティッカ
へマンタ(初冬)マルガシルシャとポウシャ
シシラ(冬)マーガとファルグナ
太陽月 ラーシ Solor month
黄道12宮は、地球から見た天球上の太陽の通り道を12分割したものです。太陽月(ラーシ)は、望の時に、太陽が黄道12宮の内、どの宮に位置するかで決まり、太陽が黄道上を30°動く毎に変化します。ラーシの名称は、太陽が位置する12宮の名前になります。
太陽月 ミーナ(双魚宮) 太陰月 チャイトラ
ミーシャ(白羊宮) ヴァイシャカ
ヴリシャバ(金牛宮) ジェシュタ
ミトゥナ(双児宮) アーシャーダ
カルカタ(巨蟹宮) シュラヴァナ
シンハ(獅子宮) バドラパダ
カニャー(処女宮) アシュウィナ
トゥラー(天秤宮) カールティッカ
ヴリシュチカ(天蠍宮) マルガシルシャ
ダヌ(人馬宮) ポウシャ
マカラ(磨羯宮) マーガ
クンバ(宝瓶宮) ファルグナ
太陰月 マーサ Lunar month
太陰月(マーサ)は、朔の時の太陽月(ラーシ)によって決まります。太陽が双魚宮(ミーナ)にある時に朔が起こると、その太陰月(マーサ)はチャイトラ月になります。マーサは2週間毎の(英語ではFortnight)パクシャ(側、部の意味)に分けられます。朔の翌ティティから望までをシュクラ(輝き、白)パクシャ(右側から白い部分が増えていく)、望の翌ティティから朔までをクリシュナ(黒)パクシャ(右側から黒い部分が増えていく)と呼びます。三日月は、右側が光っているのがシュクラ・パクシャで、満ちていく三日月。(英語ではクレッセントムーン。)左側が光っているのがクリシュナ・パクシャで、欠けていく三日月。(英語ではデクレッセントムーンです。)朔はアマヴァシャ、望はプルニマと呼びます。
北インドは、太陰月マーサをクリシュナ・パクシャから始めるプールニマンタ方式で、南インドは、太陰月マーサをシュクラ・パクシャから始めるアマンタ方式です。
ひとつの太陽月に朔が二回起こる場合、最初の朔を含む月をアディカ・マーサと呼び、閏月に相当します。
太陰日 ティティ Lunar day
太陽日に相当するヒンドゥ暦の「一日」は、ディーナといい、
日の出から次の日の出までが1ディーナと定義されています。
ディーナには名前がなく、暦上の目的には使用されておらず、
太陰日ティティが優先されます。
ディーナの長さは、昼間の長さによって異なります。
太陰日(ティティ)は、月(チャンドラ)と太陽(スーリヤ)の軸に対して月(チャンドラ)が12°進むのにかかる時間です。言い換えると、
黄道面上の離角が12°増加するのにかかる時間です。
1ティティの長さは19時間から27時間とさまざまで、
日の出の時間は、観測する場所や日によって異なります。
太陰月(マーサ)の中に30のティティがあり、シュクラ・パクシャが15ティティ、クリシュナ・パクシャが15ティティです。
シュクラ・パクシャは、朔(アマヴァシャ)を完了日とし、
クリシュナ・パクシャは、望(プルニマ)を完了日とし、
残りの14ティティにそれぞれ共通の名称があります。
日の出時の月の位置で、ティティが決定されます。
朔または望は、どの時間帯でも起こるため、各ティティの変わり目の時間もそれに合わせて変わります。そのため、欠日(クシャヤティティ)や余日(アディカティティ)が起こります。
アディカティティ(余日)日の出から次の日の出までの間に(太陽日ディーナ)月が同じ12°の弧内に留まることがあります。この場合2つのディーナは、同じティティになり、2番目のディーナはアディカティティと呼ばれます。
クシャヤティティ(欠日)日の出から次の日の出までの間に、月が12°の弧を横切ることがあります。ある日の出後に弧に入り、次の日の出前に弧から出ます。この場合2つのディーナは、ティティに関連づけられずスキップされます。このようなティティをクシャヤ(無駄)ティティと呼ばれます。
朔望月 パクシャ
クリシュナパクシャ
北インドのプールニマンタ方式では、クリシュナパクシャからマーサが始まります。クリシュナパクシャは、プルニマ(望)の翌ティティから始まり、
アマヴァスヤ(朔)で完了する、月が徐々に欠けていく期間です。
呼び名とは別に番号がつきます。クリシュナパクシャから始まるプールニマンタ方式では、クリシュナパクシャのプラティパダが「1」となり、
シュクラパクシャから始まるアマンタ方式では、クリシュナパクシャのプラティパダは「16」となります。
シュクラパクシャ
南インドのアマンタ方式では、シュクラパクシャからマーサが始まります。シュクラパクシャは、アマンタ(朔)の翌ティティから始まり、
プルニマ(望)で完了する、月が徐々に満ちていく期間です。
呼び名とは別に番号がつきます。シュクラパクシャから始まるアマンタ方式では、シュクラパクシャのプラティパダが「1」となり、
クリシュナパクシャから始まるプールニマンタ方式では、シュクラパクシャのプラティパダは「16」となります。
ティティの呼び名は共通ですが、パクシャが違うので、「シュクラ・パクシャのドウィティヤ」とか、「クリシュナ・パクシャのチャトルダシ」などと呼びます。
12年毎、4聖地のいずれかで持ち回りで開催される「クンブメーラ」以外の宗教的お祭りの日は、ティティが決まっています。
各ティティの主宰神と意味
ジョーティッシュ(インド占星術)では、太陰日(ティティ)に、それぞれの日に主宰する神がついていて、意味があります。
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