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ヒマラヤ便り51号 ラーフとケートゥ 日食と月食

Chandra Grahan 皆既月食

30/Kartika/Shukla Paksha/Purnima
2079Rakshasa-Vikrama samvata  (Purnimanta)
Total Lunar Eclipse in Tokyo   (08/Nov/2022)
Starts 6:10pm Ends 9:48pm 
First contact with the Penumbra 5:03pm
First contact with the Umbra 6:10pm
Total phase begins 7:59pm
Total phase ends 8:41pm
Last contact w/ umbra 9:48pm
Last contact w/ Penumbra 10:55pm
Sutak begins 8:47am ends 9:48pm
Sutak for kids,old and sick begins 2:02pm ends 9:48pm

Drikpanchang

ナマステ~!ヒンドゥの暦を書くのに熱中している今日この頃、ケーセーホ?(ごきげんいかが?)日食に続いて、月食がやってくるので、今回は、良い機会なのでラーフとケトゥについてお便りします。

ラーフとケートゥ

ヒンドゥ暦で、地球上の人間の生活に影響を与える9つの天体ナヴァグラハは、スーリヤ(太陽)、チャンドラ(月)、マンガラ(火星)、ブダ(水星)、ブリハスパティ(木星)、シュクラ(金星)、シャニ(土星)、ラーフ(日食)、ケートゥ(月食)の9つ。天文学的にいうと、火星、水星、木星、金星、土星の5つが惑星で、太陽は恒星、月は地球の衛星、ラーフとケートゥは、太陽と月が天球上を移動する際の軌道である黄道(太陽の軌道)と白道(月の軌道)が交じわる点のことで、物理的な惑星ではありません。

ラーフとケートゥは軌道上、常に180°離れて位置し、ラーフは南半球から北半球に向かって北向きに交差する昇交点、ケートゥは北半球から南半球に向かって南向きに交差する降交点のことです。ヒンドゥでは、ラーフとケートゥは、18年の軌道周期を持つといわれ、これは、月の歳差運動軌道、または地球の黄道面における月の昇交点と降交点の回転周期の18,5996年と一致しています。(歳差運動は、自転している物体の回転軸が、円を描くように振れる運動。)

危ない物には触らない。タッチじゃなくてトゥッチだけど、1000ヴォルトはヤバい。

ヒンドゥ神話 ラーフとケートゥ

乳海攪拌で不滅の妙薬アムリタを抽出し、ヴィシュヌの女性アヴァターであるモヒニが、デーヴァ神族に配布し始めました。アスラ神族の一人スヴァルバヌが、ちゃっかりデーヴァの列に座ってアムリタを飲みました。スーリヤ(太陽神)とチャンドラ(月神)は、それに気づいてモヒニに知らせました。スヴァルバヌは、ヴィシュヌの武器スダルシャナ・チャクラ(108の鋸歯状のエッジを持つ回転する円盤)で頭を切り落とされました。スヴァルバヌは、アムリタを飲んで既に不滅になっていたので、死ぬことが出来ず、頭はラーフ、体はケートゥになりました。
ラーフは、告げ口をしたスーリヤとチャンドラを恨み、追いかけて飲み込もうとしますが、体が無いのですぐに出てしまいます。

くるちゃんメモ

この神話は、太陽と月の軌道、日食と月食のことを、とてもうまく表しています。ラーフとケートゥは、ナヴァグラハの中で生来的凶星で、アスラだったことからもわかります。マンガラ(火星)、シャニ(土星)、ラーフ、ケートゥが凶星、スーリヤ(太陽)は、やや凶星です。ブリハスパティ(木星)、シュクラ(金星)は生来的吉星で、チャンドラ(月)、ブダ(水星)は、やや吉星です。ブリハスパティ(木星)は、グルとも呼ばれデーヴァ神族の教師です。シュクラ(金星)は、アスラ神族のグルです。

ブダ(水星)は、チャンドラ(月神)とターラー(星)の子供です。ターラーは、ブリハスパティ(木星)の妻です。

チャンドラは、ブリハスパティの妻ターラーと恋に落ち、駆け落ちしました。ブリハスパティは妻奪還のため戦いました。ナヴァグラハの一人でアスラの教師であるシュクラ(金星)はチャンドラ側につき、ブリハスパティ側についたブラフマー神の仲裁によってターラーは戻ってきましたが、この時ターラーは身ごもっていました。美しい男児ブダが生まれ、チャンドラとブリハスパティ双方が自分が父親であると主張し再び争いました。ブラフマー神がターラーに質問し、ターラーはチャンドラが父親であると答え、争いは終わりました。

くるちゃんメモ

スーリヤ・グラハンとチャンドラ・グラハン

日食、月食は、ラーフとケートゥの軌道付近のみで発生します。日食は、太陽と月が同じ交点に入る時に起こり、月食は反対の交点に入る時に起こります。日食は、アマヴァシャ(朔)の時にのみ、月食は、プルニマ(望)の時にのみ起こります。

スーリヤ・グラハン(日食)の観測は、地球上の限られた地理的領域に限定され、チャンドラ・グラハン(月食)は、月が見える場所なら地球上のどこからでも同時に見ることができます。

地球の影が月に落ちるチャンドラグラハンは、月への太陽光が地球によって遮断され、地球の大気を通して反射された光が、月を赤みが帯びた姿に見せます。

霧の向こうの不思議な村

グラハンは、ヒンドゥにとって、肉眼で見えない限り重要でなく、地理的に観測されない場合や、スーリヤグラハンが夜で、チャンドラグラハンが昼であれば、浄化浴や慈善活動をする必要はありません。

グラハンの開始前に入浴、グラハン中にはプジャーとホーマ(護摩焚き)を行います。グラハン中に禁止されている活動は、睡眠、排泄、性交、マッサージ、髪を梳かす、歯を磨く、食事です。

グラハンの前にある不吉な時間帯は、スタークとして知られており、ヒンドゥの信念によると、地球の大気はラーフとケートゥの有害な影響によりスターク中に汚染されるので、有害な副作用を避けるために特別な予防措置を講じる必要があります。

スーリヤグラハンのスタークは、4プラハール前(1プラ―ハールは3時間)つまり12時間前、チャンドラグラハンの3プラハール前、つまり9時間前に観測されます。スタークとグラハンの間、個体、液体すべての食品が禁止され、グラハンが終わるまで食事はしません。子供、老人、病人は、1プラハール(3時間)だけ断食します。妊婦は外出を避け、布を切ったり、縫ったりするような活動も避けます。

グラハン後は、調理したての食品のみを食べ、食事の後に入浴し、供物し慈善活動を行います。グラハン後の供物は非常に有益です。

ラークシャサ2079のグラハン注意点

今回のチャンドラグラハンは、ナクシャトラのバラニ、バラニの主宰神ヤマ(閻魔)、ナヴァグラハのシュクラ(金星)が関連していて、チャンドラは、私たちの心や感情に影響するので、感情の変化が確実に起こります。グラハンの影響は、2週間ほど続きます。

ヤマが司る「死」は、変化を意味し、感情的変容や方法の変更、人間関係の大きな変革が起こります。シュクラ(金星)が司る「財政」としては、チャンドラ・グラハンによる、人間の感情の変化や心の混乱が生じやすい時なので、感情と財政は相性が良くないため、金融の変更や投資の決定をする時ではありません。

財政に限らず、どのような種類の事柄でも、決定を下すのには向かない時です。人生を変えるような決定は、月食後、少なくとも2週間は延期して下さい。

バラニは、明るく活発なナクシャトラですが、本質的に有害で、誤解を招くように機能する性質があります。交通渋滞や移動に関するアクシデントも起こりやすく、運転、操縦にも注意を払う必要があります。

スーリヤ

付録 今日のバデル

バデリンコ

グラハン中のマントラ

Tamomaya Mahabhima
Soma Surya Vimardana
Hematara pradanena
Mama shanti prado Bhava

Drikpanchang

それでは、シャンティなチャンドラグラハンをお過ごしください!


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