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11月
姉は11月生まれだった。
過去形なのは、今年8月亡くなったからだ。
姉は長いこと精神を病んでいて、入退院を繰り返し、コロナ禍を挟んだここ数年は様々な事柄をはっきりと認識できない症状になっていた。
3歳上の姉とは、ごく普通の姉妹の関係で、特に仲が良いわけでは無いが、辛辣な言葉を遠慮も無く掛け合える相手ではあった。
面会しても、いよいよ会話が成り立たなくなった頃に見た夢がある。姉のマンガ本を黙って持って行ったと口喧嘩をしているたわいもないシーン。夢の中なのに、『これは夢なんだ』と分かって見ていた。
闘病が長かったため、葬儀が終わっても特に喪失感は湧いて来なかった。何かが足りない気がしていたけれど。
その直後、特にきっかけも無く三つ子のパフォーマーのYouTubeチャンネルの兄弟同士の感謝の手紙を読み合う回を見た。
衝撃だった。
こんなに素直に言葉に出せるの?真っ直ぐ感情を表してもいいの?とびっくりした。
兄弟って、姉妹って、本当にかけがえのない存在なのに、何故ワタシはこんなに簡単な事が出来なかったのだろう。。
おねえちゃん、あなたの好きだった演劇に一緒に行きたかったよ。
あなたの辛辣な批評を聞きながらお酒を飲みたかったよ。