小説「FIND ME」の感想
「君の名前で僕を呼んで」の続編「FIND ME」を読了しました。以下ネタバレ感想です。
まず、あんなに完璧に出来上がった小説の続編ってどうするのかな?って最初から疑問だった。続編にありがちな蛇足にならないかなという不安。的中しました!!もう第一部のエリオ父の恋愛話がつらい。内容がとかじゃなくて小説として面白くないという意味でつらい(爆)。いつエリオが出てくるの??エリオをfindさせてくれという思いで辛抱して読みすすめるけど長い。そもそもmetooの流れからヘテロオヤジの若い女ゲットファンタジーに嫌悪感を感じるようになったので、本当にしんどかった。これいる??って何度も思いながら読んだわ。小説ではわかんないけど、映画だとエリオの両親は仲が良くて二人でエリオを大切に思っているのがわかる演出だったから別れたっていうのもなぜ!?って感じで必然性が感じられなかった。エリオに触発されて運命の相手をお父さんも見つけるってことなんだろうけど、お母さんでよくない!?てかお父さんは過去にエリオのような体験をしたと思ってたからその相手は男性だったのかと思ってたのに、普通にただの浮気のような相手(女)で特別感も感じられなかったエピソードでうーん・・・納得いかないし、残念すぎる。長い第1部はリトルオリーが生まれることが大切だったみたいだけど都合良すぎないか!?それも唐突だったし理解に苦しむ。
そして待ちに待ったエリオ登場の第2部!すごく良かった!!やっぱりエリオの一人称じゃなきゃね!!ミシェルとの出会い、音楽の話、これこそ前作の続きだよ。ミシェルはとっても魅力的だし、彼のお父さんの話も前作でエリオが言及したトーマス・ハーディの「恋の魂」のことみたいに何度でも繰り返す運命が続いていることを表しているようで素敵だった。なんでエリオは15年後にオリヴァーに会いに行ったのか、ミシェルとの出会いでオリヴァーの大切さに改めて気づいたからだったんだね。目を閉じてほしいのは、看取ってほしいのはオリヴァー。看取りたいのはオリヴァーなんだ。
そして第三部オリヴァーの一人称!今まで語られることのなかったオリヴァーからの視点。知りたいような知りたくないような・・・。エリオの居ない人生を送るオリヴァーは死んでいるようで第三部は夢うつつ。なんだか不思議な世界で難解。でもエリオへの気持ちはよく分かる。結婚して子供も成長して奥さんと二人になって、かつてのエリオやオリヴァーのような二人の若者に出会ってやっと自分の気持に向き合うことができるようになったんだね。自分の名前でエリオを呼ぶことを忘れてない。ずっとずっと忘れてない。傷つけたほうが苦しいときもあるよね。
そして第4部。きっとこれが読者が待ってた二人の幸せな結末。タイトル回収のラスト。前作よりはっきり二人が結ばれたことが描かれて読者も満足したでしょう。いやしないよ!!やっぱり全編蛇足だよ!!変わらないかわいいエリオにもう一度出会えたのは嬉しかったけど、含みをもたせた前作のラストがやっぱり最高すぎて続編は結局蛇足だよ。前作のエリオの一人称苦しいほどの激情に飲み込まれるような勢いが無くて淡々と必要のない後日談をきかされて、本当に作者は何が伝えたくて続編を書いたのかな。前作発表から10年以上たって同性同士で結ばれるラストが違和感が無くなったからそれを書きたかったのかな。まぁ二人が幸せそうでよかったけどね。特に分析的でもなく感情的な感想しか書けていませんが、もっと考察したら見えてくるものがあるのかな。やはり前作が素晴らしくて、そっちをもっと読み直そうと思います。