見出し画像

イタリア語で自分の職業について語るとき

みなさんは「どんなお仕事をされているのですか?」

会社員です、商社勤務です、経理やってます、パン屋です、エンジニアです、カフェで働いています、OLです、教師です、フリーランスです、自営業です、ハケンです…

などなど色々な答え方があると思いますが、みなさんは普段どのように答えていますか?

イタリア語での言い方

イタリア語を習い始めのころ、英語のdoにあたるfareを使うパターンと、be動詞にあたるessereを使うパターンの2種類の言い方を習ったのですが、文法的違いは説明できても、明確にどう使い分けるのかは当時は分からずでした。

例:

  • Faccio l’impiegato/a. 会社員をしている(fare: 英語でいうdo)

  • Sono impiegato/a. 会社員である(essere: 英語でいうbe動詞)

自称・言語オタクなので、ふんわり「こういう違いだと思う」という感覚はあったのですが、確信を持って説明できるほどには理解していませんでした。

イタリアで5年過ごしイタリア人と働き、ようやく最近、自分の頭の中で整理がついて説明できるようになりました。

”仕事は「労働」ではなく「人生」である”

オーストラリアに向かう飛行機の中、「最後はなぜかうまくいくイタリア人」(宮嶋勲・著)を読んでいたときのことです。イタリアから物理的に離れながらも、イタリア人を理解したい気持ちは一緒に連れて旅をしていました。

その本の、”仕事は「労働」ではなく「人生」である”という項に書かれていた「駄菓子屋のお婆ちゃん」の例がとってもしっくりきたのです。

essere動詞を使うときは公私の区別がはっきりしない、駄菓子屋のお婆ちゃんのような仕事。例えばパン屋さんとかお菓子職人とか、教師といった類で、自分のアイデンティティとして確立していたらessere。

公私の区別をはっきりさせるときに使うのはfare。例えば9時から5時まで従業員しているなら、Faccio l’impiegato/a。

いうのが私の説明です。(異論受け入れます、どうぞ!)

会社員(impiegato)だったら、essereを使ってしっくりくるのは、日本のサラリーマンぐらいでしょうか。

私は今のところ学校事務をしていて、分類上は segretaria にあたるので、イタリア語でよく Lavoro in ufficio (della scuola). や Faccio la segretaria.と答えたりしますが、Sono segretaria. とは絶対言いません。私のアイデンティティとして確立していないからです。就業時間が過ぎたらsegretariaではなくなるし、一生やりたい仕事ではありません。

一方、一応日本語教師もやっていて、日本語や日本語を教えることは好きなのでSono insegnante.とは言いたい。例えば日本語を勉強している友達から、お茶しているときにふと日本語の質問を受けたら、私は急に教師になります。

でも中には、事情で仕方なく教師を続けていて、Faccio l’insegnante.と言いたいひともいるかもしれませんね。

公私の時間の区別のない、公私が融合した生き方

今でこそ、いわゆるグローバル化のおかげで選択肢は広がっているし、YouTuberのような今までなかった仕事もありますが、昔は、町のパン屋さんの子供に生まれたらパン屋さんになる、といったことが普通だったでしょうし、今も多いと思います(とくに私の住むシチリアでは)。

でも、それで彼らが幸せでSono foranio/a.(私はパン職人だ)とessereを使って自分を表現できるなら、間違いなく正なのでしょう。

そんなessereを使って自分の仕事を語れるようになるのは、すごく素敵だと思うし、実際私の理想です。

今は学校事務メインですが、試行錯誤しながら色んなことに手を出しています。日本語教師は続けていきたいですが、仕事は1つだけじゃなくてもいいですよね。

仕事だからしんどいことも辛いこともある。楽しいことなんて数十パーセントだけでしょう。心からessereを使って語れる仕事を見つけられる人だって少ないと思います。

でも、「人生そのもの」とまでは言わなくても、「苦じゃない」と思えて自分で納得できる仕事をする、少なくとも妥協せずにそれを求めて努力する自分でいたいと思います。

妥協して文句ばかり言って過ごす時間ほど勿体ないことはない。

近いうちにSono 〇〇と自己紹介を変更したらご報告させて頂きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?