ドイツ鋼鉄奮闘記(9)
METAL ON METAL Vol.32
2005.6.25号
ドラムのレコーディングが始まり、私はその間もまだ歌詞を詰めてる日々ですが……5月18日、日本から親友がお姉ちゃんと一緒にドイツまで遊びに来てくれました。
彼女は英語が苦手で、日本を出たことが殆どなかったけど、今は私がドイツに住んでいるし、一緒にドイツ南部とスイス北部を旅行しよう!ってことになったんですよね〜。
私も久しぶりに誰かとゆっくり時間を共にできるのがとても楽しみでした。(私のドイツ語、"上級レベル"とは言われてるけど、それでもネイティブの早〜い会話についてくのは難しいんですよね。だから普段は、基本、一人ぼっちの生活なのです〜😢 気分転換はパソコンのゲームかなぁ。)
だから、レコーディング中だけど1週間オフをとって友人たちと一緒に気分転換してきました。スタジオにこもりっきりだと、歌も縮こまっちゃうしね。ちょうど良いんじゃないかな〜。
さてさて、旅はライン川クルーズから始まり、ドイツを南下、スイスの山でハイキング、最後は私の友人のドイツ人夫婦宅でバーベキュー・パーティという流れでした。皆で食卓を囲んで、深夜0時まで日本やドイツ、世界のこと、人生や夢、色々語り合いました。
友人&お姉ちゃんは「今まで知らなかった世界を見て、自分の中で何かが変わった」って言ってましたよ。
そうなんですよね〜、ツアー旅行より個人旅行で違う国の考え方や文化、生活に直接触れる方が絶対に面白いと思うんです!ちなみに、久しぶりに友人たちと過ごして、私も新しく見えてきたことがあって……うん、良い旅行だったと思います。
突然ですが、皆さん、自分の未来を知っていますか?
未来を計画したり、願ったりはできるけど、明日何が起こるかを知っている人はいませんよね。
この一番基本的なことを最近の私は忘れていたのかもしれません。
実は、約3年前に日本を出てからいつも孤独を感じていたんです。まぁ、そりゃあ、ずっと一人な訳やしね。ずっとホームシックというのはそういうことで……勿論楽しいこともあるし、日本では夢でしかなかったようなミュージシャン達と仕事するのはとてもやり甲斐を感じます。
それでも、やっぱり異国(それも非英語圏)での一人暮らしは淋しい。こんな風に誰かと食事したのは何ヶ月前だっけ?って思っちゃいました。(更に、ご飯もあまり美味しくないしなぁ〜😢)
でもね、音楽に人生の全てを賭けるなら、孤独にも耐えなきゃって思ってたんですよね〜。私のやりたい音楽、日本で形にするのは難しそうだから(その理由については「日欧ヘヴィメタル業界を比べて思うこと」に書いてます)……したい音楽の為に、他のことはひたすら耐えろと。
で、一人で、「とにかく音楽で誰か元気にしよう」、「それにはどうしたらいいだろう」って、そればっかり考えるようになって、いつしか「淋しい人の心に届く歌を歌うには、まず私が痛いほどこの身で淋しさを実感しなければダメ、だから、私は孤独でいなきゃ」と思うようになっていました。
その為に音楽以外の夢を全部捨てようとまで思いつめていたのです。
でも、今回の旅行で気づいた。この考え方ってちょっと病的だったかも……。
旅しながら久しぶりに色んな人と触れ合って、誰もが明日に希望を託して生きていると実感したんですよね。愛する人のために何かを我慢したり、夢のためにお金が必要だったり、何らかの形で誰もが自分の理想のために今目の前にある現実と戦ってる。辛くても、未来に希望があれば、その痛みを耐えられるんだなって。
なのに、私が音楽以外の全ての希望を放棄して、孤独の中にばかり生きていたら、結局そんな歌は大半の人の日常生活からかけ離れていって、誰の心にも届かないんじゃないかって気がしたのです。
だから、私ももう一度、音楽以外の日常の夢を色々見てみようかなって。
次のアルバム、タイトルはまだ考え中ですが、テーマは「生命」とか「生きる」にしたいんです。それなら、まず私が SAEKO ではなく「佐枝子」個人の人生を夢見なければいけないなって思いました。
夢が叶うこともあれば破れることもあるだろうけど、きっとそれこそが「生きる」ってこと。よし、私は宣言しよう。今後、私にとって音楽が全てではないと。
さっちゃん&お姉ちゃん、気づかせてくれて有難う!
未来に夢と希望を持って、皆で前向いて生きていこう!
あ、また、メタルの話をしていない😅
いや、でもね、多分、アーティストや制作者側が考えてる事ってこんなんと違うんかな〜。
おまけ
上の時点ではアルバム・タイトルはまだ決まってませんでしたが、その後、LIFEってタイトルになりました。CDは廃盤だけど、デジタルで聞けるので、聞いて貰えたらめっちゃ嬉しいです。