夢の逢ひは
日曜日の朝。
寝坊のうたたね。
うっすらと目を開くと、見慣れた背中があった。
じんわりと体温を感じる。
ちょっと狭くるしいな。
でも、こういうのは悪くないな。
彼の髪の匂いがする。
こうして一緒に寝ているのはいいな。
こうして二人で並んでいるのはいいな。
死んじゃっても、
こうして一緒にいられるなら、いいな。
…
死んじゃっても…?
どうして隣にいるの?
…
そこで目が覚めた。
私の横には白いシーツ。
誰もいない。
でも、確かに鼻腔の奥に懐かしい匂いが残っていた。
◇
そういえばそんな歌があったな。
夢の逢ひは苦しかりけり
おどろきて掻き探れども手にも触れねば
(万葉集 巻四 第七四一番 大友家持)
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートをお願いします。私が書いた文章で,誰かがちょっぴり元気になったらうれしいです。