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ネコとおばあちゃん。

もうずっと前の話。

実家の回りを1人で散歩してたら、
ネコがにゃーと鳴いた。
枯れ草が見えたから、まだ少し 寒い時期だったと思う。
ご近所のネコかな?と思って、ネコが2、3匹集まってる方へ近寄ったら、用水路沿いの枯れ草のなかに、おばあさんの顔が見えた。

驚いた。

どうしたんですかと、声をかけつつ、用水路から引き上げた。近所のおばあさんだった。
手に枯れ草を掴んであった。
散歩していたと言ってあった。おばあさんは軽かった。

家には誰も居なかった様子だった。
あんたは誰ね?と、聞かれて
お寺の○ですよ。お久しぶりです。というと、そうね、そうねと繰り返す。わかったかどうか、あやしかったけど、
おばあさんは天使のような表情だった。
後をネコたちがついてくる。

おばあさんの家のすぐ前の用水路だった。
草で見えなかったんだ。ネコがわたしに助けを求めたんだ。
あのおばあさんは、ネコにも子どもにも
優しかったから。

おばあさんはその後も、外でネコと日向ぼっこするからと、そのままさよならした。
あれでよかったんだろうか、
あれでよかったんだろうか、

誰かに伝えようにも、みんな外に出ていない時間だった。

痴呆老人が用水路にはまってしまう記事を読んで、思い出した。

何年かして、そのおばあさんがなくなったと聞いた。きっと、ネコたちは優しくしてくれたおばあさんを見守っていたのだろう。

ネコは気まぐれそうで、案外子守りとかしてくれる。寂しい人に寄って行ったりする。

おばあさんとネコが幸せでありましたように。

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