もう自己流で悩まない! 捕手の「正しい技術」を知るためのバイブル 書籍の仕事まとめ#17 野口寿浩さん著『キャッチャー完全マスター』
捕手は最後にグラウンドから帰る
野口さんの言葉で印象に残っているのが、「捕手が最後にグラウンドから帰る」です。
なぜだと思いますか?
プロの選手でも、シーズンを通して送球や捕球の基本は徹底的に繰り返して練習します。
ところが、捕手にはチーム全体の守備練習や打撃練習もあるし、ブルペンで投手の球を受けることもあります。
捕手の基本練習は、練習の最後におこなうことになります。
だから、捕手が最後にグラウンドから帰ることになるのです。
野口さんはこう言いました。
「チームのために、投手のためにと考えれば、自然とそうなります」
この言葉を聞いたとき、捕手の責任の重さを感じました。
「正しい方法」を知り、身につける
投手のリードや野手への指示などは、経験がモノを言います。
しかし、捕球や送球などの守備は、練習すればするほどうまくなります。
ただし、そこには条件があります。
野口さんは、こう仰いました。
「『正しい方法で』というのが大前提です。間違った方法でいくら繰り返しても、練習していないのと同じか、かえってマイナスになってしまいます」
本書では、構え、捕球、送球、守備など、捕手に必要な技術の「正しい方法」について、基本中の基本からわかりやすく、徹底的に説明されています。
まずは「正しい方法」を知ってください。
知ったら、次は考えなくてもその動きができるように身につける。それには反復練習しかありません。
もっと早く知りたかった……
本書の取材で野口さんから捕球や送球などの技術についてお話を聞いたとき、僕は野口さんに「この話を、高校時代にお聞きしたかったです」と言いました。
僕は小学生の頃から捕手としてプレーしましたが、捕手の専門的な技術について教わったことはありません。
「見よう見まね」でやっていましたが、自己流には間違いがたくさんあった。「正しい方法」ではなかったと、このときにわかりました。
たとえば、二塁への送球。僕はなるべく体の近くでボールを捕ってから、ミットを引き寄せて握り替えていました。
これは、<悪い例>として本書に載っている方法です。
正しくは、捕る前に二塁方向へ動き出す。構えで半歩前にしている左足を前に出し、左足へ体重を乗せながら、捕ったときのミットの場所へ体を動かしていきます。
結果的にミットが体に近づくので、僕はミットを引いていると勘違いしていたんですね。
また、送球には「正確に投げる」「素早く投げる」「強く投げる」の三要素がありますが、優先順位は、この順番のとおり。
「正確に」が最優先です。
僕は「素早く」を最優先にしていました。
それだと焦ったり、あわてたりするため、正確に投げられなくなってしまいます。
どれだけ速い球を素早く投げても、高く逸れたり、ベースから遠いところへ投げてしまっては、アウトにすることはできません。
知るのが遅かった。遅すぎた……。
高校時代に知っていれば、もうちょっとマシな捕手としてチームに貢献できたのになぁ、、、
中高生の捕手のみなさんには、僕と同じ間違いをしないでほしい。
ぜひこの本で野口さんから「正しい方法」を教わってください。
また本書には、捕手のインサイドワーク(投手のリードだけを指すのではなく、他の野手を含めてチームを勝利に導く力)についても詳しく書かれています。
たとえば状況別の考え方、配球の組み立て方、カウント別の考え方など。
マスターして、「勝てる捕手」になってください!