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労務問題(パワハラ)の再発防止に向けた取り組みについて-検証資料・備忘録

先週の月曜日(2021年6月7日)トヨタ自動車が公式サイトにて「労務問題の再発防止に向けた取り組みについて」を公表したが、そのことによりトヨタ自動車において直属上司による最も深刻なパワハラ(パワーハラシメント)が行われていたことが判明した。

上西充子・法政大学教授はご自身のツイッターアカウントで、トヨタ自動車公式サイト「労務問題の再発防止に向けた取り組みについて」のページをリンクし、そこに記載された「当時の上司によるパワーハラスメントを伴う行き過ぎた指導があったことが認められました」とのフレーズを引用し、「労基署の認定表現にもよるのかもしれないが、『パワーハラシメントを伴う行き過ぎた指導』という表現に違和感。なぜ『パワーハラスメント行為が認められました』ではないのか」とツイート。

また、「例えば『セクシュアルハラスメントを伴う行き過ぎた人間関係構築の試みがあった』とは言わないわけで。人間関係を構築しようとする行為とセクハラは違う。同じように、パワハラは『行き過ぎた指導』ではない。なのに『パワーハラスメントを伴う行き過ぎた指導』と」と、続けてツイート(2021年6月8日)。

この上西充子教授のツイートに対して「精神疾患の労災認定「業務による心理的負荷評価表」29がパワーハラスメント=身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメント。30は対人関係=人格や人間性を否定するような言動を受けるなど、いじめ・嫌がらせ。トヨタ労災認定では29パワハラだけでなく、30いじめ・嫌がらせも認定されたかもしれない」とコメントした。

さらに「トヨタ自動車の対応で不信に思うことはトヨタ公式サイトのページ・タイトルが『労務問題の再発防止に向けた取り組みについて』となっていること。『パワーハラスメント(パワハラ)問題の再発防止に向けた取り組みについて』か『いじめ・嫌がらせ問題の再発防止に向けた取り組みについて』とすべき」とつづけてコメントをツイートした。

そして「三菱電機 でもトヨタ自動車 と同様の深刻なパワハラ(パワーハラスメント)事件を引き起こしたが、三菱電機は昨年1月にパワハラ問題とせず『労務問題の再発防止に向けた取り組みについて』文書を公表。トヨタの『労務問題の再発防止に向けた取り組みについて』は三菱電機を安易に真似たもの」と続けてコメントをツイート(2021年6月11日)。

このことについては新聞各紙もふれていないので、とりあえず、今後の検証のための資料(三菱電機、トヨタ自動車、厚生労働大臣告示)を少しまとめた備忘録を投稿することに。

三菱電機の労務問題(パワハラ)の再発防止に向けた取り組み

2020年1月10日:三菱電機の「労務問題の再発防止に向けた取り組みについて」(PDF)。

労務問題の再発防止に向けた取り組みについて(三菱電機、PDF)

2020年11月25日:三菱電機の「労務問題の再発防止に向けた新たな取り組みについて」(三菱電機、PDF)

労務問題の再発防止に向けた新たな取り組みについて(三菱電機、PDF)

労務問題の再発防止に向けた新たな取り組みについて(BtoBプラットフォーム業界ch記事)

トヨタ自動車の労務問題(パワハラ)の再発防止に向けた取り組み
2021年6月7日:トヨタ自動車が公式サイトにて「労務問題の再発防止に向けた取り組みについて」を公表。

再発防止に向けたトヨタ自動車の取り組みは、次の5項目になる。
1  声を出しやすい職場づくりに向けた取り組み
2 パワーハラスメントに対する厳格な姿勢を就業規則に反映
3 異動時における評価情報の引継ぎの強化
4 マネジメントに対するパワーハラスメントの意識啓発
5 休務者の職場復職プロセスの見直し

労務問題の再発防止に向けた取り組みについて(トヨタ自動車公式サイト)

トヨタ、労務問題の再発防止に向けた取り組みについて発表(日本経済新聞記事)

トヨタ、パワハラ問題の再発防止に向けた取り組みについて 本人の適性を踏まえた業務アサイン実施など(AMP News記事)

パワハラ自殺で遺族に2度謝罪、豊田章男氏の心中-追い込んでしまったトヨタの企業体質への反省(東洋経済オンライン記事)

パワハラ防止法・パワハラ防止指針
パワハラ(パワーハラスメント)防止指針は、正式には「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」。パワハラ防止指針は令和2年(2020年)厚生労働省告示第5号になり、令和2年(2020年)6月1日より適用された。

また、パワハラ防止指針は、パワハラ防止法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)第 30条の2第1項及び第2項に規定する「事業主が職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されること」(職場におけるパワーハラスメント)のないよう雇用管理上講ずべき措置等について、同条第3項の規定に基づき事業主が適切かつ有効な実施を図るために必要な事項について定めたもの。

職場におけるハラスメント関係指針(PDF)

事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(PDF)

事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(厚生労働省告示第5号、令和2年1月15日、PDF)

なお、「パワハラ(パワーハラスメント)トヨタ自動車再発防止策とパワハラ防止法」という記事をnoteに投稿。

パワハラ(パワーハラスメント)トヨタ自動車再発防止策とパワハラ防止法(note)

また「パワハラ(パワーハラスメント)トヨタ自動車再発防止策とパワハラ防止法」はブログ「働き改革関連法ノート」にも転載。