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労組満足度向上術 (13/16)職場自治活動(①委員垂直立ち上げ編)

労組満足度向上術の13〜16は職場自治活動について触れていきたいと思います。

職場自治活動とは、従業員自身が自分たちの職場における問題や課題を議論し、解決するために行う活動のことを指します。従業員たちは、自分たちが働く職場において、より良い労働環境を求めるために、自己管理や自己責任の原則に基づいて、自主的に活動を行っていきます。自主的にといっても、職場のルールを変えるとなると、結果的には上司と話し合い、交渉していく必要があります。

職場自治活動は、従業員たちが自分たちで主体的に行うことが特徴です。従業員たちは、自らの問題や課題を話し合い、解決するための手段や方法を模索していきます。そして、従業員たちが自己管理や自己責任の原則に基づいて活動を行うことで、職場の雰囲気が良くなり、職場全体の生産性やモチベーションが向上するというメリットがあります。

職場自治活動には、従業員の間でのコミュニケーションが重要です。従業員たちは、自分たちの考えや意見を率直に言い合い、意見を取り入れながら、共通の目的に向けて協力していく必要があります。また、職場自治活動は、従業員の自己啓発やスキルアップの場でもあります。従業員たちは、活動を通して、コミュニケーション能力やリーダーシップ能力、問題解決能力などを身につけることができます。

ではそのファシリテーターを誰が担うか。それが組合の委員が中心になります。つまり、この委員の能力が職場自治活動の成否を決めます。そのため、職場自治がうまくいかないのは委員の能力不足と帰結されることがありますが、そうではありません。私が考える理由は2つ。委員を教育して、サポートする書記長の技能・システムが不十分であること、委員をその気にさせる能力が書記長にないことです。私は書記長を鍛えることで委員というチームは職場自治において劇的に成果を出すと考えています。実際にそれを証明してきたので、満足度が上がっていると考えています。
書記長が職場自治を成功させるために必要なことは4つです。①委員の垂直立ち上げを成功させる。②議論の種をまく。③継続的なフォロー体制を取る。④上司攻略法を知る。です。このnoteではまず、委員の垂直立ち上げについてお伝えしていきます。以降は次のnoteに譲ります。

①委員の垂直立ち上げを成功させる。

前述の通り、労働組合の執行委員や代表委員にとって、役割を担うための教育は非常に重要です。

会社と組合ではテクニカル的・文化的・政治的に異なる

労働組合の実施していることは会社のものとは大きく異なります。会社では上司からのアサインメントを元に自分の業務を組み立てて行きますが、組合では自分の内的動機づけを見つめたうえで行動を動かしていかなくてはなりません。また、上司がOKを出せば、他の人が違うなと思っていても進むものですが、組合では全員が納得して結論を出せたかを大事にします。こうした文化的・政治的な知識の習得が欠かせません。また実際に何をするのか、といったテクニカルなスキルの教育も合わせて必要です。これらの教育を会社であればじっくりやっていく、徐々に覚えていけばよいものですが、組合は委員が数年単位・早いところでは一年で変わっていきます。短い時間でいかに効率よく・効果的に教育していくかが鍵を握ります。そのような教育ができるように、最初に集中的に研修を行うことが欠かせませんし、その内容をフォローできるような年間を通した委員会の設計にする必要があります。なにせ、委員会の時間は短く、99%仕事や家庭のことを考えているところに、その時間がやってくる。そのときに教育を緻密に実施しないと、頭には入っていかないのです。

どのように委員の垂直立ち上げを成功させるか

最初の集中的な研修を私は“委員の垂直立ち上げ”と呼んでいます。このプロセスでは、過去の自分と労働組合との関わりを棚卸し、これまでの自分の捉え方を客観的に見直します。ここで言語化することは大変重要です。自分自身がどのような価値観や信念を持って労働組合に参加していたのかを確認するために必要な作業です。それは「何をやっているかよくわからない」「遊んでいるだけのイメージがある」「無理やりやらされている」などなどネガティブなものもあがってくるでしょう。そこから書記長はそのようなネガティブをどのように減らせるかを学ぶべきです。しかたないでは済まさないのです。そしてその意見が自分たちでどのように変えていけるかを意識させることができます。このプロセスは大事ですし、ワークショップのやり方に工夫が必要な部分になります。
そこからやっと、過去の労働組合の歴史や、将来の労働組合が目指すべき方向性について学びます。労働組合の基本的な理念や、労働者の権利と福利厚生、実際の活動を学んでいきます。現状を理解しているので、自分の認識とずれていた部分を効果的に理解することができます。ぼーっと聞くことを避けることができます。もちろんここでどのような紹介の仕方にするのかという点も大変重要な要素になります。
そして、これら情報を受けて、自分なりのコミットメントを妄想するというプロセスを行います。このプロセスを通して、自分自身が労働組合の一員として何を成し遂げたいのか、その目標を明確にすることが重要です。それらは大小・方向はそれぞれだと思います。ただ、おおよそ組合の向かっている方法とズレがなければ、どれも否定されるものではありません。それをまず、取り組む。その結果、また新たな視点が出てきます。そこをうまくフォローしていくのです。そして職場自治の価値や取り組み方についても、自分ごと化していく。それによって委員は動き出すことができるようになります。委員の能力の問題ではありませ?。書記長の力の見せどころなのです。

このように委員の垂直立ち上げが可能になる緻密な研修設計で、委員のスイッチは確実に入っていきます。職場自治のことを取り上げていますが、基本的に組合の活動全般に応用できる考え方です。

労組満足度向上術 14/16 では、
職場自治を成功させるために②議論の種をまく

労組満足度向上術 15/16 では、
職場自治を成功させるために③継続的なフォロー体制

労組満足度向上術 16/16 では、
職場自治を成功させるために③上司攻略法

これらをnoteに記して行こうと思います。

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