組合専従がいい社会勉強である理由
よく組合の専従になるときには、「組合なんかやめとけ!」と同じくらい、「いい社会勉強になるから行ってこい!」というセリフが飛び交います。
それにしても、組合の専従って何をやっているかわからないし、そんなこと言われても、「いい社会勉強」という言葉もなんとも抽象的で、そのために「そうですね!がんばります!」とも言いにくいところ・・・。
今日はそんな労働組合が「いい社会勉強である」といえる理由を幾分労働組合専従をやってきた私が、具体的にわかりやすくお伝えして行こうと思います。そして、本年度から労働組合専従になられる方の助けになればと思います。
労働組合専従とは
まず、労働組合の専従についてご存知でない方に、かんたんに労働組合専従についてお伝えしようと思います。労働組合では労働者の権利を守るべく、会社と交渉するための代表組織と思って貰えればいいと思います。その活動はそれなりに工数が必要ですから、専従といってフルタイムで働くひとがそれなりに必要になってきます。大きい労働組合になればなるほど、その業務量は増えますから専従は増えるようにしています。
専従の業務は多岐に渡りますが、一番、目につくのはベースアップ(賃金水準アップ)でしょう。その他にも会社から提案される人事制度(賃金・処遇など)について意見したり、反対をしたりしながら組合員に対して十分説明がつく内容に仕上げていきます。また職場でのトラブルが発生しないように事前に職場の状態を把握しておく役目もおっています。
いい社会勉強とは
さて、本題ですが、果たして労働組合専従のいい社会勉強とは何でしょうか。その内容を理解するためには一度遠回りではありますが、社会勉強の部分に触れていきたいと思います。
社会勉強というのは、社会を色々と知れるということだと思います。社会の最小単位は個人です。
人を想う労働組合
労働組合はまさに人に着目した組織です。ひとり一人の生活を理解し、仕事に対するモチベーションをどのようにすればいいかを考えます。
成人発達理論で言うこところのアンバーやオレンジの人をどのようにグリーンやティールに高めていくかということを常に考えています。その点で、労働組合は成人としての意識を考える組織です。社会の最小単位である個人、人について深く考え、学ぶ。これはまさに社会を知るということに繋がります。
組織を想う労働組合
さらに労働組合は職場が良好な状態であることを維持することに寄与します。職場で問題が発生しだすと大変です。上司と部下のコミュニケーションは取れているか、ななめのコミュニケーションはあるかなどを気にして、交流会や座談会を企画していきます。会社にいないのに、一つ一つの組織の字状態にかなり気を配っているのが労働組合です。
会社を想う労働組合
また今まで大企業の一社員でしかなく、とあるセクションの一部分でしかなかったところから、「我社とは何を目指すのか」「組織全体としてどのような方向に向かうのか」「自社の強みはなんなのか」を否応なく考えることになります。なぜなら、会社の方向性が誤っていれば、組合員が路頭に迷うからです。そんな戦略では絶対に破綻するというときにはウォーニングサインを出さなくてはなりません。また労働組合からの施策を組合員にも説明するにしても、その方向感が会社の方向と合致していないとちんぷんかんぷんなことを言ってしまいます。
また組合員からの苦情や文句をそのまま会社に言っては門前払いされるだけです。よい提案にしなくてはなりません。組合員からの苦情や文句を鵜呑みにするしかことなく、よい提案に変換するためには自分自身が組織の状態を理解していないとできません。自社をしっかり知ることこそ、組合専従としての手腕を発揮するためには欠かせないことになっています。ということで、やはり会社のことをよく理解せざるを得ないのです。
社会とつながる労働組合
そして労働組合という立場は、外部と繋がりやすい出島です。会社という組織から切り出されており、外部の労働組合とはフラットな状態です。そのため多くの方とふれあい、色々な価値観に触れることができます。会社が違うと大きく文化が違います。その文化の違いが自分を、自社をより知るための機会となるのです。
ほら、いい社会勉強でしょ?
このように個人から組織、会社、社会のレベルまで大変広い分野での学びがあります。一セクションの一会社員では味わえなかった幅広い教養と学びを得ることができます。もちろん、そういう学びをしようと思わない限り、労働組合専従としての高い成長意欲を持たない限り、いい社会勉強をすることはできません。
でも、この記事を読んで労働組合専従をされた方であれば、少なくとも何が学べるかについては理解できたでしょう。何を学ぶかを理解するだけで、人の集中力は変わります。フォーカスされると人間は強いのです。
みなさんがよい労働組合生活を送られることを期待しています。もちろん、非専従の方でも同じ意識を持って貰えれば大丈夫。でも、専従者と比べれば使える時間は限れられます。より集中して学び取ろうとすることをおすすめします。
これからは繋がりの社会、一人ひとりが自分と組織のつながり、自分と社会のつながりを意識しないと会社がうまく機能しない社会がやってきます。その時代に労働組合に触れることを大変価値があることです。ぜひ、労働組合での活動を楽しんで、あなたも価値ある人になってほしい。
もっと意見交換をしたい方はぜひ直接ご連絡をください。
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