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お母さんが死んだらお父さんを恨んでね

伯父が亡くなった
突然の出来事だった

近しい自分の親世代の人が亡くなることが初めてだった私は
それなりのショックを受けていた
そんな時がもう来てしまったのだと考えていた

ホテルに泊まり
母と食事をして
母を部屋に送って行った
母が話し続ける
シングル2つとったのに自分の部屋に帰れない

ふと母が

お母さんが死んだら、お父さんのこと恨んでね

と言った
副流煙がどうのこうの夫からのストレスが原因での早死のはずだと続く

肯定的な相槌をし続けていた私が口を開く

それはどうなの?
それは違うんじゃないの?

母は誤魔化しながら笑ってなんでー?と言っていた
その言葉にどれほどの衝撃を私が受けたかなんて何も伝わっていなかった

娘に父親を恨めという
母親のために
それがどれほど残酷なことか母は気付いていないのだ

別に私はお父さんっ子でもない
幾度となく父親の悪口を母の前で披露し、母が嬉しさを抑えた顔で、そういうことを親にいっちゃダメと言わせてきた
母からそういうところ父にそっくりと言われ傷ついてもきた
母の味方をし、父の悪口を言うことが正義の子分にでもなった気持ちでいた

いつまでもそうでいると母は思っていたのだろう

なぜ夫婦という二人の関係に子供を巻き込むのだ
底知れない嫌悪感と絶望に、私は適当な理由をつけて部屋を出た


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