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【マウント】第5話「直接攻撃」
これは「チャット小説」として書いたものです。
そのためセリフ以外の感情等の表現を極力簡潔にしてあります。
セリフをもとに想像してお読みください(*vωv)
次の日
体育の授業は2クラス男女合同だった。
ユキノがバレーボールのコートに入る。
最初は普通に試合をしていたが
後ろからユキノめがけてボールが飛んでくる。
ドカッ
生徒たち「きゃあ!」
ボールはユキノの後頭部に直撃し、ユキノは転んでしまう。
隣のコートの生徒「だ、大丈夫!?ごめんなさい!つい力が入っちゃって…あの…」
ユキノ「…大丈夫です…」
女生徒「眼鏡が吹っ飛んで割れてます!」
先生「破片があるかもしれないからみんな壁際に!膝が擦りむけて血が出てる。保健室に行きなさい。誰か彼女を保健室に!」
マサキ「俺が連れていきます」
隣のコートの生徒「ごめんなさい…ごめんなさい…」
ボールをぶつけた生徒は涙目でおろおろしている。
先生「落ち着いて。これは事故です。今後は気を付けて」
生徒「はい…ごめんなさい」
今回の私刑は体育の授業中に事故を装って
球技でユキノにボールをわざとぶつけるという計画だった。
元々イケメンでスタイルもいいマサキが女の子をお姫様抱っこする姿はまるで王子様のようで
マサキ推しスレとは無関係の女子たちも
女子たち「マサキ君すごーい!」
女子たち「マジかっこいい!」
女子たち「あたしが転べばよかったー!」
と、黄色い声を上げた。
男子もマサキのナイトぶりに「おー」とか「やるじゃん~」とか言っていた。
犯人はマサキにお姫様抱っこされて保健室へ行くユキノを憎々しく見ていた。
ユキノは保健室で手当てを受ける。
マサキはついに怪我をさせられたことに怒りを隠せない。
保健室の先生「膝は大したケガでなくて幸いでだったわね。
念のため今日は入浴は控えてシャワーだけにしてね。
一応後頭部にボールが当たったとのことだから
様子を見て具合が悪くなるようだったら病院に行くように。」
ユキノ「はい。ありがとうございます」
保健室を出ると授業時間は終わり、放課後になっていた。
マサキは周りに人が居ないのを確認して
ユキノを連れて風紀委員室に入る。
マサキ「大丈夫か!?」
ユキノ「平気です。
頭の方もかなり遠くから飛んできたバレーボールだから
そんなに威力はありません。
不意を突かれて転んでしまっただけです。」
マサキ「運が良かっただけだ!
…もうやめよう…奴らは直接お前に手を出してきた…」
ユキノ「そうとも言い切れません。
これは先生の言う通り偶然の事故だった可能性も十分あります。」
マサキ「だけど…」
ユキノ「でも多分犯人たちはあなたが保健室に抱きかかえて連れて行ったのを見てます。
そろそろホントに直接手を出してくるかもしれません。
私から目を離さないでください。」
マサキの方を見てそういうユキノにマサキはドキッとする。
後頭部の様子を見るために保健室の先生が結っている髪をほどき
眼鏡が壊れたので眼鏡をかけていない彼女の顔は驚くほど美しかった。
マサキ(ダサイ黒縁の眼鏡をかけて、髪を結ってる姿しか知らなかったけど…
こいつこんなにキレイだったのか…?)
ユキノ「嫌ですか?」
マサキ「あ!?いや!目を離さないよ!(ていうか別な意味で目が離せなかったんだけど…)てか、眼鏡…」
ユキノ「ああ、吹っ飛んで割れたので良かったです…
つけたまま割れてたら危なかったです…」
マサキ「ホントだな…前から飛んで来たら危なかった…」
ユキノ「前からぶつけたら犯人まるわかりです。
犯人たちはあくまで「姿なき攻撃者」でいます。
まだその段階ではなかったのでしょう。
ボールをぶつけたと思う子、声が震えてました。
演技かどうかは分かりませんが…
もし私のすぐ後ろに犯人が居て私の方にボールが飛んできたのをわざと避けた可能性もあります…
後頭部でなくても身体にぶつけるのでもよかったんだと思います。」
マサキ「冷静分析すぎだろ…」
ユキノ「私を抱きしめてみてください」
マサキ「え!?あ…う、うん…」
マサキはユキノの肩を抱く。
髪の毛からふわりといい香りが漂う。
でも、ユキノの身体は震えていた。
マサキ「…怖かったんだな…」
ユキノ「…私だって…人並みの感情は持っています…
でも…こうされると…少し安心します…」
マサキ「いくらでもしてやるよ…」
マサキは慰めるようにユキノの髪をなでる。
ユキノ「ありがとう。落ち着きました。」
マサキ「そうか?」
ユキノは髪を結う。
ユキノ「眼鏡の予備は家にあります。
でも…その…私、眼鏡がないと足元もよく見えないんです…
家まで送っていただけますか?」
マサキ「おう、お安い御用だ!ってお前の家ってどこ…?」
ユキノ「クス、教えます」
ユキノが手をつないでいないと段差もぼやけるド近眼なせいだったが
仲良く手をつないで下校しているようにしか見えない二人を見て
何も知らない生徒たちも噂しだす。
生徒たち「あれ風紀委員長とマサキ君じゃない!?」
生徒たち「あの堅物がかよ!?付き合ってんの!?」
生徒たち「今日体育の授業で…」
生徒たち「あ、そうなのか…でもそれにしちゃずいぶん仲いいな」
生徒たち「てか眼鏡なし委員長ってけっこう美人じゃね…?」
生徒たち「意外とお似合いだな…」
ざわつく生徒たちの後ろで
私刑メンバーはくやしさでいっぱいだった。
マサキはユキノの案内でユキノのマンションに着いた。
ユキノ「あ、ここです。寄っていきますか?」
マサキ「え、それは、あの…」
ユキノ「お父さん」
マサキ「え!いきなり父親に紹介!?」
ユキノ「うちは母が外で働いてて父が主夫として家を守っているんです。」
ユキノの父「おかえり。あれ?」
ユキノ「体育の授業で転んで眼鏡を壊してしまって…
前が見えないので送ってもらったんです。」
マサキ「あ!同級生のマサキと言います!」
ユキノの父「迷惑をかけたね。親切にしてくれてありがとう。なんだ、膝もやったのか?」
ユキノ「すりむいただけです。それより親切のお礼がしたいんだけど…」
ユキノの父「ああ!そうだな!どうぞ上がって!」
マサキ「は、はい…」
ユキノの家はとても清潔でおしゃれだった。
ユキノの父「ほら、予備の眼鏡」
ユキノ「ありがとうお父さん」
マサキ「よかった。ちゃんと予備があって。」
ユキノの父「メガネっ子には当然のことだよ!ボクも予備が5つある。」
ユキノ「お父さんは多すぎです。
ネジが外れたり、落として壊れたり、外してなくしたりすることはよくあるんで
予備は持つようにしてるんです。」
マサキ「へえ。コンタクトにはしないの?」
ユキノ「…一度チャレンジしたことはあるんですが…
目の中に何か入れるっていうのがだめで…
気になって集中力がなくなってしまって断念しました。」
ユキノの父「ボクも苦手なんだよね~ボクに似たんだね~」
ユキノの父はクッキーとお茶を出してくれた
ユキノの父「ボクのお手製だから口に合うかわからないけど」
マサキ「いただきます」
パク
マサキ「おいしいです!口の中でホロっと溶ける!すごいです!」
ユキノ「お父さんは料理も上手なんです。」
マサキ(なんかいいお家だな…
お堅いイメージだった委員長とは違ってふんわりしたお父さん…
でもそんなお父さんを好きなのがわかる…
家に居る委員長の顔…リラックスしててかわいいな)
1時間ほど和やかに談笑してマサキは家に帰った。
ユキノの父「良い子だね。」
ユキノ「はい。親切な方です。」
ユキノの父「良いボーイフレンドを見つけたね」
ユキノ「ボーイフレンド…?そう…なのですかね…」
ユキノの父「違うの?ボクはそうだったらいいなと思ったんだけど」
ユキノ「…そうですね…そうだったら…いいかも…」
その夜、私刑スレでは今日のことが書き込まれていた
『まさか頭に当たると思わなかった。ビビった…』
『手つないで下校してた』
『あんなやつ 居なくなればいい』
『ちょっと過激なことは…』
『血出てたよ。マジちょっと怖くなった…』
『ビビりはやめればいい。私は続ける』
掲示板でも怪我した現場を見たメンバーは動揺していた。
メンバーにも温度差がある。
メンバー同士の喧嘩の末
腹は立ってもそこまでひどいことはしたくない子は手を引くことになった。
結果…過激派のメンバーが私刑を続けることになってしまった。
『どうする?』
次の内容が書き込まれた…
『こわ!マジホラーじゃん!』
『当たり前でしょ。ここはホラーゲームの攻略スレなんだから』
<第6話に続く>
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