Contraband Police #7 どちらの手を取るか?
国境検問所にも反乱軍が襲撃してくるようになったある日の夜
電話が鳴る。
「ブラッドフィストと仲がいいことでおなじみの
ガヴリロフ軍曹がブラドの店に居る。
ついていけば隠れ家が分かりそうだから
お前行って突き止めてこいや。」
…あのさ…諜報員とかいないの?
何でもかんでも俺にやらせてさー…
まあ行くけど。
いきなりステルス尾行ミッション開始。
この尾行意外と難しくて
ガヴリロフさんはしょっちゅう振り返るし
距離が離れすぎてもだめだし!
何度か失敗を繰り返しながら
デカい木に隠れながらこっそりついていく。
ここが隠れ家かー…
ん?次のミッション指示が「ガヴリロフに会う」…?
え、入っていいんですか…?
確かに周りに人の気配はない…
そろりそろりと入っていくと、中から声がする
え?
やっぱ気づいてました?
銃を構えて近寄ると、彼は落ち着いた口調で言う。
罠…?
まあ、その時は撃ち合うまでだ。
ガヴリロフ軍曹と一対一で話ができるというのも貴重じゃないか。
俺が向かいの席に腰かけると
彼は緩やかに話し始めた。
…彼は本当に革命を起こそうとしているのだな…
起こせると信じているのだな…
少なくとも今俺に、そうであると主張しているんだな…
…………
決断の時が来たようだ。
ガヴリロフを逮捕するということは今のまま「政府側」に居るということ
解放するということは「彼の側に着く」ということになる…………
正直…まだ、最初に運転手をしてくれた時に
「君はこんなとこで一週間生きられない。と賭けをしたんだ」とかいう死亡フラグ立てて
案の定死んでしまったソローキン君の死を忘れられない。
そして撃たれた俺を懸命に心臓マッサージしてくれたペトロフさんの顔も忘れられない…
撃ったのがあんたらだったことも…
だが…あんなに頑張ったのに1日$13の給料だったことも忘れられない…
「期待してる」とか言いながら
廃車を改造しただけの自称アパートしか用意してくれなかった
もしくはできなかった総監…
薄給であからさまにやる気のないダラダラさを見せる同僚たち…
増えるわけのわからん規則と仕事…
給料と釣り合っていない物価…
俺は…………
彼の手を取った。
汚職警官どころじゃなくなっちまったが
彼とこうして話したということは
結局俺の末路は「どっちに殺されるか」なだけだろう。
カヴリロフの話を信じたわけじゃないし
彼も、たとえ今回逃がしたからと言って
俺を信用したわけじゃないだろう。
本当にこの規則に縛られた世界に自由の風が吹いたらすごいことだろう。
実際吹くかは分からないし、今は全くそれを信じてもいない。
ただなんとなく…
どうせいつか尽きる命なら
そっち側で生きてみるのも面白いんじゃないか?
ただそれだけ…………
ただそれだけだ。