文章ゼミに半年間通って。
「あのことが書きたい!」書きたい気持ちが胸の中にパッと咲いて、構想を練る。
「うまくまとめられるかな」浮かんだ文字をこれじゃない、あれでもないと選んで並べてゆく。どこかじれったいけれどドキドキとして「伝えたいことがある」、この高揚感は他のどの時とも違う類のもの。
半年間通った文章のスクールを昨日卒業した。
ルポ、エッセイなど課題を1200文字にまとめ、クラスの全員で読み合わせる。愛情いっぱいで手厳しい先生からたっぷりとアカの入った原稿を、OKが出るまで何度でも書き直す、という内容。一度手が離れたものを、構想から再構築して書き直す作業はたいへんに骨が折れるんだけど、初稿から見違えるように良くなった最終原稿を眺めると嬉しくてニマニマしてしまう。
先生からこんなアドバイスをいただいた。
「題材にこと欠かない人だから、題材に振り回されずに、ゆっくり伝えるために言葉を選んでください。」
狐に憑かれて除霊に行ったり、クローゼットの中できのこを育てたりと、阿呆なエピソードだけはてんこ盛りな私の胸に、その言葉は深く刺さった。
たくさんのことを習った。
文字の被りを無くすこと。鼻につく飾る表現はしないこと。簡単なことを難しくではなく、難しいことをわかりやすく。
たくさん増えた知識の中で、中でも一番活かそうと思ったのが次のこと。
「慣用的な表現を使わない」
指摘を受けたのはこの文章を書いたとき。
「髪をオールバックにまとめ袈裟を羽織るが、除霊師の派手な顔にはマッチしておらず異様な雰囲気」
慣用的とは何か?
この中で”異様”に当たる部分がそれで、言い換えると「広く一般的に使われているが、使いやすくてチープな表現」というもの。
異様、と入るだけで情景がグッと色褪せ、読み手へ訴えかけないと聞き、なるほど思った。
余談になるが、狐に取り憑かれて霊媒師のもとに除霊に行った話は、近々同スクールから出る本にまとめられる。
お近くに霊や獣に取り憑かれて困っている人、またはそのご本人が居られればぜひお読みいただきたい。
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最後に手渡された修了証には、先生からのメッセージが入っていた。
修了証くらいは想定内だったけれど、まさかメッセージもいただけるなんて。思いが嬉しかった。
初稿を提出、ダメ出し、書き直し、take4、take5…何度も何度も文章をやりとりして、真剣な顔で学び、時にお酒を飲みながら笑って話をして、私を知ってもらった半年間。
先生の中に広がる無数の言葉から、私だけに向けて選ばれた4行のメッセージ。最後の一文が
「書く力は、あなたの中にありますから。」
で締めくくられているのを見て、涙が出そうになった。
河上伸男先生の文章ゼミは、次の半年間も継続受講する。
次の卒業を迎えるころ、今度は夏服が冬服に変わり、新元号元年も終わり間際だ。
そのときに広がっているのは、どんな景色なのだろう。
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