見出し画像

「悪役令嬢転生おじさん」を布教したい話

昨今珍しくもなくなった「悪役令嬢転生モノ」。これは乙女ゲームやアニメの悪役令嬢(主人公をイジメるライバルや恋敵などを指す)に現代の人間が転生するというものだ。

私の肌感覚だと、流行り始めたのは5〜6年前(もっと前かも…)かと思う。私のオタ活は「狭く深く」なので、特に流行り出したところで読もうとは思わなかった。時々Xのおすすめ欄に流れてくる試し読みを見て、「なるほど。悪役という立場に転生した現代人が、持っている知識や技能などで無双する話か〜」程度の認識であった。(あくまでも私の認識なので、悪役令嬢モノを好んで読む方には解釈違いだと思われても仕方がないのである。すみません)。

そして突如おすすめ欄に現れた「悪役令嬢転生おじさん」は、私の心を掻っ攫った。


そもそも「悪役令嬢転生おじさん」とは、どんな物語なのか、簡単に説明したい。

52歳の真面目なオタク公務員、屯田林憲三郎はある日交通事故に遭う。そして目を覚ますと、娘がプレイしていた乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」の悪役令嬢グレイスに転生していた!

いや情報量。

まず、転生したのが「52歳のバーコードハゲの公務員おじさん」というインパクトが凄い。私の知る限り、悪役令嬢に転生するのは若い女性が多い気がする。限界OLだったり、普通のオタク女性だったり(私のイメージです)。

そして現代の知識を活かして無双してゆく…のは同じなのだが、実は性根の悪い主人公を断罪し、婚約者を奪いとる…とかの話ではないのだ。

先程述べた様に、憲三郎さんには娘がいる。つまり家庭を持っている。そして根っからのオタクである。瞬時に自分の立場を理解して「なるほど、私は悪役令嬢に転生したのだから悪く振る舞わねば!」と思った矢先、虐げる対象であるゲームの主人公のアンナ(めちゃくちゃいい子である)を、娘を持つ父親目線で見てしまい、結果としてめちゃくちゃ懐かれてしまうのである。

おもろ。

そして長年の社会人生活で培った「おじさんの社会人スキル」で学園生活を無双し、主人公のアンナに限らず、学園の皆んなからの尊敬を集め、敬愛される。

おもろいよね?!?!

もう一つ、「悪役令嬢転生おじさん」には恐らくほかの転生モノと一線を画す設定がある。それは「ゲーム外(現実世界)の干渉」があるのだ。

「マジカル学園ラブ&ビースト」は娘がプレイしていた乙女ゲームが元になっている。娘の日菜子、妻の三津子は「ゲームの悪役令嬢に憲三郎が転生している」ことを理解し、時折現れる選択肢を選び、ゲーム内への干渉を行う。(なお、憲三郎自身は家族の事は断片的にしか思い出せない)。

えっ?!そんなの漫画の設定としていいの?!

内容としてはコメディ色が強いが、ファンタジーものとしてもよく出来ている。そして、なぜ憲三郎さんはグレイスに転生したのか?本物のグレイスの魂はどうなったのか?なぜ現実世界がゲームの世界に干渉できるのか?など、伏線も張り巡らされている。

もし気になった方がいらっしゃったら試し読みをし、気に入ったら単行本の購入をおすすめする(原作は今のところ7巻まで出ている)。そして最近深夜枠でアニメも始まったので、そちらを見てみるのも良いかもしれない。なお、エンディング曲は「マツケンサンバII」のカバーである。
なんで???


ちなみに、作者の上山道郎先生はかつてコロコロコミックでゾイドの漫画を描かれていた方だ(びっくりした)。

今一番アツイ漫画「悪役令嬢転生おじさん」、皆んな読もう。

いいなと思ったら応援しよう!