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「茶室」とは、何でしょうか

長年、茶道をしてきて、いざ茶室を持ちたいと思い 先ずは茶室のある中古物件を関東圏を中心に探してみました。20件くらいみて回ったと思います。 ですが、どこもピンときませんでした。
何かが足りないんです。 多くの方は茶室って畳の部屋でしょ!和室でいいんじゃないかと思われると思います。一般住宅にも畳の部屋はありますよね。でも茶道でいう茶室は玄関を通った後、リビングやキッチンという場所を通らない、見せないんです。 これは、あくまでも茶道においてのおもてなしの茶事(ちゃじ)をするという前提なのですが、茶事は今の言い方でいえば個人宅の畳の部屋のホームパティーに招かれる感じでしょうか!
イメージしてみていただきたいのです。 料亭に行った時に玄関に靴はたくさんありますか?食事をする部屋に案内をされるまでに厨房を通りますか? 私たちは料亭や高級レストランに行く時は少しどころか期待に心を躍らせて行かれるのではないでしょうか。 それと同じように茶事に招かれるというのは非日常の時を味わいにいきます。個人宅に招かれるという言い方がわかりにくくしていると思います。来ていただくお客様にリビングやダイニングといったバックヤードを見せないよう動線が組まれているのが理想なんです。 何件もお茶室のある中古物件をみましたが、立派な建物なのに、お客様を招くための動線ができていないのがもったいないと感じた物件がほとんどでした。 そのため、自分の思い描く理想の茶室を建造するに至りました。
お茶室の説明をしますので専門用語が並びます。

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寄り付き(荷物を置く部屋)
露地(ろじ)
本席(八畳広間・三畳台目(小間))
水屋 厨房(台所
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寄り付き(荷物を置く部屋)
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玄関を入ったのちこの部屋に荷物を置き、身支度をします。時計や指輪を外したり 男性の場合は袴をつける。そして懐紙と帛紗を携帯します。

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露地(ろじ)
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お客様は荷物を置き、身支度を整えたのち、露地(茶道においての庭の呼び名)に出ます。露地の外腰掛けに座り、ここで初めて亭主の迎えを受けます。 利休は露地は詫びた山道のような庭にするのがよいとしています。なので、西洋で言われるガーデニングの花々を見せるような庭ではありません。 亭主の迎えを受けたのち、日常の煩わしい思いなどを払い歩く道が露地です。そしてつくばいで身も心も清めます。

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本席(八畳広間・三畳台目(小間))
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趣向によって、どの茶室で茶事が行われるのかが変わってきます。 襖の開け閉め、茶室に入るための作法を身につけ美しい席入りを心がけたいです。

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水屋
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お茶を差し上げるための茶碗などが置いてある場所です

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厨房(台所)
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お客様に懐石料理を出すための準備をするところです 茶事でご飯をお出しするのですが、お客様が露地を通り席入りが終わり初めて茶室で亭主とお客様が挨拶を交わします。挨拶が終わって季節によりますが、お客様に懐石料理をお出しするタイミングで出来立てのご飯をそれも蒸らす前の状態で出せるかどうかが亭主の腕の見せどころなんです。なので、台所には全ての動きを把握できる人でなければお手伝いはできません。

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このように理想の茶室は、茶室と露地で一対になっているのが理想なのですが、現代の住宅事情や資力を考慮するとすべての施設を整備することは、困難です。 なので、部分的に施設を省略したり、他の施設で代用することも致し方ありません。茶事ができなくても、お茶を頂くことができれば、茶室であるという考え方もあります。ですが、茶室のある中古物件を見る限り、一から建造しているにもかかわらず、茶事までの想定がない、これは言ってしまえばそこまでの知識や経験がなかったとも言えます。という私も茶室というものを全くわかっていなかったと痛感しました。お茶室は茶事までの体験がなければ、茶道の稽古(抹茶を点てる順番)ができればよいと思ってしまうからです。人それぞれでよいと思いますが、少なくとも主客(お客様)が同座して、亭主がお点前をするのに支障がない配置になっていることが茶室の必要条件であると考えます。 茶室でない部屋を一時的に呈茶できるようにしつらえることもできますが、これらは、仮の茶室です。何処でも、茶室に見立て、お茶を点ててあげられる人が本当の茶人かも知れません。しかしあくまでも基本に忠実でいたいと思います。 茶室建造のため、場所探しに1年、建築士探しに1年、建築士は7人目でようやく茶道においての動線を理解して図面を書いていただける方に出会いました。そして建設に2年。何故こんなに月日を要したのかを聞きたい方、お茶室に来たいという方はLINE登録https://kli.jp/f/gjuk/をしてメッセージくださいね


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