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LAギャングの巣窟、コンプトンを散歩した話【2022.12】

①はじめに

 みなさんお久しぶりです。未知の音楽を求め続ける社会人です。今回は未知の音楽を求めすぎて、アメリカまで行ってしまった話をご紹介します。

 2年前の冬になりますが、私はアメリカ、ロサンゼルスのある都市を訪れました。その名も「コンプトン」"Compton"。勘のいい方、またLA周辺事情に詳しい方はこの都市に何らかの反応を示すはずです。おそらく悪い反応の方が多いと思いますが。私はある理由があり、この都市を訪れました。

いや、訪れなくてはいけなかった。

 その理由、そしてこの都市の歴史や周辺文化について簡単に触れられればいいなと思います。(私より詳しい方はたくさんいると思いますのでぜひコメント欄でさまざまなご指摘や新たな知見などお待ちしております。)

と、その前にロサンゼルス出身のかっこよくて最高なアーティスト達をご紹介できたらと思います。(一応このノートのアカウントを始めた経緯が音楽系の記事を書くためだったためです...)

...LA出身の素敵なアーティスト達

Flying Lotus,
The Beach Boys,
Eagles,
Red Hot Chili Peppers,
Beck,
Frank Zappa,
Little Feet,
Guns N' Roses,
Weezer,
Metallica,
Maroon 5,
CSN&Y,
The Bangles,
Megadeth,
The Doors,
Carpenters,
2 Pac
Snoop Dogg
Jackson Browne etc...

多すぎ!!

西海岸音楽の魅力は尽きない

②コンプトンとは、実情

【基本データ】
 アメリカ合衆国でいういわゆる西海岸、カリフォルニア州ロサンゼルスの南に位置しています。人口はおおよそ9万人であり、大半がアフリカ系やヒスパニック系です。アフリカ文化やメキシコ文化が強い影響力を持つ都市であり、低所得者層の住宅がひしめき合っています。残念ながら犯罪率が全米の中でも特に高い都市となっています。

ロサンゼルスの真ん中少し南に位置する

【犯罪率・ギャングについて】
上述のように、コンプトンは犯罪率が全米屈指の高さを誇っています。2006年の調査では犯罪率が全米ワースト4位だったそうです。やはり、都市の中での貧困率や低所得者層の多さが犯罪率を上げている根本的な原因だと言われています。そして、コンプトンを語る触れておかなければいけない事項があります。それはギャングの存在です。
 例えば、3万5千人の構成員を誇る「Crips」はコンプトンで誕生しており、全国各地、また国外にまで勢力を広げました。公民権運動やそれに付随したブラックパンサー党の設立などで、黒人の権利を主張する流れが高まり、それらが少し衰退を見せた中で新たな黒人の若者達を統率する組織として誕生した歴史があります。また、「Crips」以外にもコンプトンにはギャングか多数存在し、細かいテリトリーが決められているようです。彼らは麻薬密売や強盗、殺人など多くの犯罪に関わっているため必然的に街の犯罪率も上がってしまうという流れです。
参考としてLAギャングのテリトリーがわかる超有能なマップを見つけましたので貼っておきます。

【現在】
ギャング抗争の最盛期である80年代から90年代前半と比較すると最近は犯罪件数は少なくなってきているようです。また、コンプトン市は銃犯罪防止への取り組みとして、銃を警察に差し出せばさまざまな商品と交換できる100ドル分の商品券と交換できるという政策を始めました。一時期は「絶対に行ってはいけない街」として有名でしたが、今ではその汚名を少しずつ返上しているといったところでしょうか。

③コンプトンに行った理由

 皆さんにはコンプトンの街のことをな〜んとなく理解していただいたところで、いよいよ本題に入っていきましょう。

なぜこんな危険な街に出向いたのか?!

そこですよね。

ここで1曲紹介させてください。
         ↓

N.W.Aというアーティストが1988年に発売した一曲、「Straight Outta Compton」直訳すると「コンプトン直送」という意味になります。この曲の冒頭の歌詞はこんなことを言っています。

You are now about to witness the strength of steet knowledge
(お前は今ストリートのいろはを知ることになる)

Dr.Dreの一節からスタートするこの曲はコンプトン出身の若い5人が、ストリートで起こっていた麻薬密売や暴力、強盗、さらには警察の不当逮捕などに声を荒げ、それをヒップホップにして世に送り出しました。たちまち社会に影響を与え、ギャングスタラップというジャンルを作り出し、ヒップホップの歴史そのものも変えてしまいました。この時代は、まだアメリカで黒人差別が世に蔓延っていた時代で、コンプトンは特に黒人が危険視されており警察の不当逮捕も当たり前の時代でした。そんな暴力に暴力で返すのではなく音楽を使って社会を動かそうとするスタイルは多くの人の共感を得ました。
 N.W.Aは数年後解散してしまいますが、メンバーの一人であるDr.Dreはソロとしても大成功、現在ではヘッドフォンなど音響のブランド「beats」を立ち上げ富と名声を得ています。また、リリシスト兼ラッパーのIce Cubeや象徴的存在のEazy Eなども忘れてはいけません。

 参考までに彼らの軌跡を知ることができる映画を置いておきます。

 そんなこんなでN.W.Aを知り、この曲を知り、この映画を見て、自分の目でコンプトンという街がどういう街なのかみてみたいという思いが強くなり、2年前の冬に実際に行ってきました。

その模様は後ほど書かせていただきます。

 また、Viceという報道機関が取り上げているYoutubeの動画もとても参考になるので共有します。

 この動画では同じくコンプトン出身のラッパーKendrick Lamarをゲストに招き、生い立ちやコンプトンの実情などを赤裸々に語ってもらっています。ちなみにKendrick Lamarは2018年にラッパーとして世界初のピューリッツァー賞を受賞しており、2016年に発売した「To Pimp A Butterfly」は現代音楽史上最高のアルバムとして名高いです。
 ちなみにこの動画の冒頭に出てくるSnoopDoggも同じくロサンゼルス出身のラッパーであり、N.W.Aのメンバーとも深い関わりがあります。彼のセリフ

「俺が今注目してるのはー
 ボンプトンだ。
 コンプトンとも言うがBloodsの奴ら 
 はなんでも頭にBをつける。                                     
 そこに行けばー
 今のラップシーンのナンバーワンが    
 いる。」

 もう冒頭からカッコよぎるんですよ。短いセリフですが正直これに尽きると思います。ギャングスタラップの誕生から現在のヒップホップシーンまで見届けきた第一人者の言うセリフには強烈な重みと説得力を感じます。彼がどういう人物か、何をしてきたかなど知りたい方はぜひネットで調べてみてください。

④実際に行ってみて

ここからは写真付きでコンプトンの行った場所ををなるべくお伝えできたらなと思います。

①コンプトン裁判所
・・・街の中心地にある裁判所です。なんかNの隣にKっていう落書きがありました。

②コンプトン駅前
・・・駅前にロータリーのようなものがありましたが、無機質な感じでした。叫んでるおばさんとかいて鬼気迫る感じでした。なお、駅前をぷらぷらしてたら女性二人から本気の宗教勧誘を受けました。ただ胡散臭さはなく、とにかく神を信じることでいいことが起きることを私に信じてほしいという思いを感じました。

③コンプトンの街並み
・・・さすがLA。冬でも気温18℃とめちゃくちゃ過ごしやすく、ついでに快晴。ほんとにもう少し治安が良ければコンプトンに住んでもいいなと思いました。ですが、さすがのコンプトン。セブンイレブン前にビニール袋の中身を吸ってる人がいました。何が?ってそれはご想像にお任せします。また野良犬もいてまたも鬼気迫る思いをしました。


④Kendrick Lamarの生家
・・・ついでというには豪華ですが、コンプトン出身の伝説のラッパー、Kendrick Lamarの生家にも行ってきました。現在は別の方が住んでいる(?)そうですが、お忍びでそっと訪れてそっと去りました笑。ちなみにKendrickのアルバムジャケットにもこの生家の写真が使われておりアングルも少し意識して撮影しました。犬が近くで吠えまくっててそれだけでも威圧感すごかったです、、、笑

手前が私が借りたレンタカーです。
Kendrick Lamar生家周辺
Kendrick Lamar -Good Kid m.A.A.d city

⑤最後に

 これを書いてて思いましたが、自分は気になったところには自分でいかないと気が済まないタチなんだなぁとしみじみ思いました。ですが、こういう行為には必ず危険が伴いますので皆さまにおかれましては、ぜひとも危険をなるべく回避して旅行などをしていただきたいです。

 コンプトンという街は色々な意味で特別な街です。一言では言い表せませんが、ギャングスタラップが生まれた街という一つの側面を持っています。ヒップホップ≒ギャング≒ストリートスタイルのイメージが生まれたのもここからではないでしょうか。
 私がひとつ思うのは、確かにこういったストリートスタイルやギャングスタを謳うラップは非常にかっこいいですし、私も好きです。しかし、私たち日本人がそれをすべて真似するのは到底無理です。それは能力的な問題を言っているのではなくて、そもそもの土壌や取り巻いている環境が彼らと違いすぎるからです。色々な議論はあるかと思いますが、模倣やリスペクトできる部分はもちろん取り入れ、日本では真似できないことや悪とされていることはあまり取り入れるべきではないでしょう。
 なかなか言葉で正確に言い表すことは難しいですが、みんな違ってみんないいということです。それぞれの場所で風土や文化があるのでそれを活かして色々なことをやっていけたらいいんじゃないでしょうか?!(何言ってるのかわからなくなってきた)

【追記】コンプトン以外のLA観光おすすめ場所(主観)

①ハリウッド映画博物館
・・・言わずと知れた映画の聖地にある博物館。貴重資料がわんさかです。

②ビバリーヒルズホテル
・・・高級住宅街「ビバリーヒルズ」にある高級ホテル。貧民の私は泊まれません。ちなみにEaglesの「Hotel California」のジャケットはこのホテルです。

Eagles-Hotel California

③ハリウッド山(裏から)
・・・実はハリウッドって山があるんですよね。
歩いて頂上まで行きましたが、曇ってて残念でした、、。Dr.Dreのアルバム「Compton」のジャケットはここらかの景色を模しています。

Dr.Dre-Compton

④IN-N-OUT Burger
・・・有名なハンバーガー屋。うまい。

⑤ドジャースタジアム
・・・ロサンゼルスドジャースの本拠地。今なら大谷翔平と山本由伸がいるよ!!

⑥ベニスビーチ(夕暮れ時)
・・・ロサンゼルスといえば西海岸。西に日が沈んでいく時のベニスビーチはもうなんかすごいです(語彙力)。なお、夕暮れ時にベニスビーチに行ってEaglesの「Last Resort」を聞きながら散歩すると見ている世界が簡単に映画になりますのでご注意ください。

テキトーにスマホをかざしただけなのにこの景色ですよ

⑦Melts Drive In
・・・これぞアメリカンという感じのドライブイン。食事もアメリカンなものが楽しめます。

⑧Whisky A Go Go
・・・紛れもない伝説のライブハウス。全盛期のドアーズ、ジミヘン、バーズ、バッファロースプリングフィールド、オーティスレディング、レッドツェッペリン、ザ・フー、キンクス、オアシス、ニルヴァーナなどがライブを行いました。一時期閉鎖期間はあったものの現在もしぶとく営業を続けています。

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