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旅館経験0のクリエイターが旅館買っちゃいました!笑

2017年4月

長野県は高山村山田温泉にある
松川館という旅館が売りに出る話を聞きました。

そこに事業継承に名乗りを上げたのが8月。
その時点では既に買い手が決まっていた。

手に入らないと思うと、手に入れたくなるのが人間の心情で

「何とかやらせて欲しい!私たち涌井家は、山田温泉とは
 縁もゆかりもある。
 親戚もいる。
 高山村には墓もある。

 引き継いだら暖簾を、信頼を、壊す事はしない。
 だから、引き継がせて欲しい!」

そう、懇願した1ヶ月後、
僕に継承してくれる連絡が入った。

2005年ごろ、名古屋に本社があった某大手飲食店グループがあった。
飲食店をM&Aで事業拡大し、その販促ツールやサイトを契約していた。
そんな折、東京にあるリゾートホテル会社を買収し、そのサイト運営を委託された。しかもフルコミッションという今までのWEB制作には無い契約で、売上の8%を頂けるというものだった。そのかわり製作費は一切もらえない。

そのセラヴィリゾート泉郷のWEB営業をバックサポートした1年後、無事再建を果たした。その再建では、M&Aの悪い部分である、企業ブランドがバラバラなサイト運営を行っていたので、その統一を図りながら、それぞれホテルがある地域にあった年中イベントを発掘し、それを売りにしていった。また、日本で初となったペットと泊まれる宿を八ヶ岳にオープンし、活況を取り戻した。いまから17年前の話です。

そんな経験があったので、
「旅館なんて朝飯前」だろと思っていた。

契約には

あくまでも、営業とおもてなし演出のプロデュース、
バックサポートとして旅館を譲渡してもらう予定だったので、

「現賃貸オーナー、労働者、
予約台帳を引き継ぐ事」

が、絶対条件だった。

しかし、契約履行の14日前、
賃貸オーナーから1本の連絡がありました…

「色々ありまして、
 私たち再雇用はされません。
 中居も私の友人なので
 辞めてもらいました。
 来年の予約は全部キャンセルしました
 顧客台帳も燃やしました。
 設備の引き継ぎは、土地の契約者と
 やってください。
 私達は鍵の引渡しだけします。
 コンサルで自信がおありなのでしょうから
 全てご自身の手で立て直し頑張ってください」

「え?どういう事ですか?やめる話は一歩譲っても
 台帳燃やした?次年度の予約全部キャンセルした?!
 それ、何やってるのかわかってますか?
 松川館は創業140年の暖簾で守られてきた宿ですよ!
 あなた、それ刑事罰になりますよ!」

「私は、あなたと契約したわけではないので
 どうぞ訴えるなりお好きにやってください。
 私は、あなたから訴えられることはしてませんから。
 賃貸契約しているオーナーから言われるなら
 わかりますがね。ガチャン・・・ツーツーツー...」

最悪な年末でした。
2017年クリスマスプレゼントは
最悪な鍵をもらう事になりました。

これが、松川館の始まりでした。

賃貸オーナーさんは利益を上げれず
厳しい運営の中で、土地建物のオーナーさんは「これ以上待てない」と、
腹を括った結果、「やれる人に引き継いでもらおう」と、譲渡を決定したはずなのに、賃貸オーナーさんは途中から気が変わり
「やっぱりやりたかった」と…

その腹いせを、なぜか見事に食らいました。

妻には、

「どしよ…僕、旅館経験も
 飲食店も未経験だし、
 長野には、食材もリネンも、
 仕入れ先も知らないし…
 人材の確保だっていまからじゃ無理。
 辞めた方がいいよなって思ってる。
 土地のオーナーさんに連絡するわ…」

と話した。

「もしもし…今し方、とんでもない 連絡が入りまして、
 緊急でお電話しましたが、いま大丈夫
 でしょうか…?」

「僕も今彼から連絡きてどういう事⁈
 みたいな!ホント申し訳ない、実は…
 色々未払いがあったので、その件で
 話し合いがまとまらず、
 多分こうなったと思う。涌井さんは
 関係無いのに、ホント申し訳ない!」

「事情はわかりました。ただ、
 2週間前にこの状態で引き継ぐのは
 私たちには全リソースが無いので
 契約は難しいです。一旦、契約を
 ペンディングにして欲しいです。」

「そうだよね、わかった。
 ただね、涌井さん。僕たちも譲渡に至るまでに、色々大変だった。
 これからまた契約先を探すのは ちょっと負担が大きい。できれば、
 涌井さん達にこのまま引き継いで 欲しい。何でも条件変更は飲むし、
 高山村の知り合いに声を掛けて、 全協力体制を取る。
 今一度、考えてもらえれば嬉しい」

「わかりました。 少しだけ時間ください。
 ただ、何も無い状態でスタートして 利益でるのか不安でしか無いです。
 例えば、いきなり譲渡購入ではなく1年間は賃貸でお借りして、うまく
 軌道に乗せれたら、
 購入じゃダメですか?
 それなら、自分が現場に入って 住み込みながら全部再構築します。
 住み慣れた名古屋ではないので、不安だらけです。
 そんな条件で良ければ、妻と話をして
 今一度、ご連絡いたします。」

「こちらに非があるので、条件変更は全て承知します。
 是非前向きな回答を待ってます。」

電話を切ると、妻が開口一番に

「やっちゃえば!アハハァ!」

爆笑しながら、目が向き合い

「やっちゃうか‼️爆笑」

開き直りと言うか、女性の覚悟は
素晴らしいと思った。

妻の後押しで、すぐに電話をし

「やらせて頂きます。契約の話はそのまま継続、履行します。
 ただし、1点だけ。 月額10万円で1年間は 賃貸させてください。
 1年経って、売上が伸び、評価が付き
 銀行が首を立て振ったら、購入します。
 銀行査定は厳しい目線で評価しますから、万が一、銀行がNoと言えば、
 それは 僕に実力がなかった事になります。
 NOの状況で継承すれば、家族を路頭に迷わす事になり、
 それは絶対に避けたい。土地建物の譲渡は保留にし、
 営業権の譲渡を先ずは 締結させて欲しいです。」

「わかった。全て承知した。よろしく頼みます!」

この電話を切った後、
身震いと恐怖がどっと襲ってきたが、

やるしかない。

妻に

「3月末に引っ越し、4月から高山村で生活になる。
 僕は1日でも早く向こうへ行き、
 君たちが来る3月までに立て直しを完成させておきたい。
 まだ乳飲み子もいる中で迷惑掛けるがよろしく頼む。」

「なーに言ってんの!
 3人もうんでるんだからこっちは任せなさい!大丈夫!」

とても10歳離れているとは思えない器量には
いつも感謝しかない。

やるべき事は決まっている。

・事業再生
・地元雇用創出
・地域貢献

その為には、
高山村全体の誘客力を300%上げなければならない事も
マーケティングしてわかった。

高山村の認知度は、白馬が100だとすれば、
高山村は0。

認知されていないに等しい存在だった。

ハードルは高ければ高いほど燃える。

事業再生のステップは

Step1
仕入れ先、人材の確保、営業開始。

Step2
客単価の向上に向けた設備の改修。
Step3
-1
松川館ファンの育成と
未来10年続く安定した経営基盤構築。

-2
マンションM&Aによる
リゾート型ワンルーム住居のFC全国展開。

そして年が明けた1月1日。

事業継承の為、

資金0円、旅館経験0でスタートした松川館が

今日、クラウドファンディング開始と同時に

Step3へ突入します。

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