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将来の“教員の卵”と言うべき学生たちへのメッセージ

まず初めに、お断りです。これは、私のメッセージではありません。読み進んでいただければ明らかですが、いろいろな経緯があって、文部科学省大臣官房審議官の高谷浩樹様にお寄せいただきました。


1.はじめに

令和4年度入学生から、教員養成課程において、ICT活用教育に関わる内容<1単位>が必修になった。佐賀大学教育学部の場合、既存科目<2単位>の内容を半分に圧縮し、この中へ盛り込むことで対応している。

これが、「教育方法学(情報通信技術の活用を含む。)」<注>である。具体的には、3部構成に再編し、その第2部を中心に、このICT活用教育に関わる内容を取り扱っている。

<注> 正確に表現すれば、これは、教育学部2年次対象の授業科目である。これとは別に、他学部の教員免許取得希望者に対して、3年次前学期に「教育方法論(情報通信技術の活用を含む。)」という授業科目が提供されている。内容は、ほぼ同じ。先のものは集中講義であるが、こちらは通常講義(週1回)である。

2.授業の基本的な方針

このような新しいスタイルは昨年度からで、今年度が2年目に当たる。基本的な内容は、昨年度と同じ。お盆休み明けに2日間を確保し、前半戦と後半戦に分けて実施している。今年度は、8月19日(月)の4コマと23日(金)の3コマだった。

その方針は、様々なICTツール(TeamsやFormsなど)を「管理者」の立場で使うことにより、単なる「利用者」から視点の大転換を促すことである。かなり“挑戦的な内容”としている。ICT活用に関して言えば、そのスキルに個人差が大きいことも予想される。そのようなことも念頭に置き、ここでは、グループワークとすることで、相互に助け合い、誰一人取り残すことのないような配慮も行っている。

3.今年度の授業について

3-1.事前の予習課題

さて、授業の実施に当たっては、事前の予習課題として、新型コロナ禍が始まったときに公開された「GIGAスクール構想」に関するビデオの視聴を指示した。当時、様々な報道機関でも取り上げられた“有名なもの”である。

●「GIGAスクール構想の実現」とは ~学校情報化の目的と概略~
高谷浩樹 文部科学省初等中等教育局情報教育・外国語教育課長
(2020/05/26)
https://www.youtube.com/watch?v=CtHWnraIajA

3-2.授業の中でのアナウンス

全くの偶然であるが、この授業2日間の真ん中で、ICT CONNECT21が主催するオンラインセミナー「第81回水曜サロン with 赤堀会長」が開催されることを聞いた。講師は、高谷浩樹様である。そこで、このオンラインセミナーを前半戦の中でアナウンスした。

【8/21開催】文部科学省 大臣官房審議官 髙谷 浩樹 氏「今『GIGAスクール』が目指すべきものとは」(「水曜サロン with 赤堀会長」第6期)
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第6期 第6回(通算第81回):今「GIGAスクール」が目指すべきものとは
日時 :2024年08月21日(水)18:00~19:00
形式 :オンライン(Zoomを利用します)
講師 :髙谷 浩樹 氏(文部科学省 大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当))

【概要】
GIGAスクール構想開始から5年、全国で端末更新を迎えつつあり、ネクストGIGA、セカンドGIGA等の言葉も飛び交う。一方で当初は想定されていなかった姿も多々見られるようになり、様々な課題、深刻な問題も浮かび上がっている。このままではGIGAスクール構想は行き詰るのではないかとの危機感のもと、GIGAスクール構想を立ち上げた当事者が、自身から見える現在の姿と、これから皆で目指すべき方向性について語る。

ICT CONNECT21の開催案内より
https://ictconnect21.jp/wednesdaysalon_20240821/

これに先立ち、私自身は参加登録を行っていたが、そのとき、事前質問として、次のように書き込んだ。

新型コロナ禍が始まった頃(2020年5月)の「GIGAスクール構想」に関する動画を拝見しました。授業でも活用させていただいています。
もしかすると、本日の御講演の中でお話いただいているのかもしれませんが、①今、当時を振り返って思うこと、②現状の分析(思い通りに進んだ点/明らかになった課題)など について、直接、お聞かせいただければ有難いです。よろしくお願いします。

この内容については、御講演の中で言及されていたが、質疑応答の時間帯に取り上げていただいた。そして、「何かあれば御連絡下さい」とのコメントもあった。

そのような事情があって、オンラインセミナーの終了後に電子メールをお届けした。その中では、今回の集中講義のことに触れたうえで、冒頭部分のお願いを添えたのだった。

そして、この不躾なお願いをお快諾いただき、お寄せいただいたメッセージが、こちらである。

高谷浩樹様からお寄せいただいたメッセージ(原文)

「令和の日本型学校教育」にあるように、今ICTで学びは大きく変わろうとしている。これは明治の学制や戦後の教育改革に続く大変革。
そして、今はこの変革の立ち上がりの時期。
従来からの授業運営は学校現場の諸先輩方には当然敵わないが、
ICTはデジタルネイティブとも言える皆さんの方が圧倒的に使いこなせる。
また、今の子供達がICTとどう向き合えば学びに向かう興味関心を引き出せるかといったことも、年代が近い皆さんの方がわかるはず。
先輩方はICTに対して時には驚くほど消極的な対応をとるかもしれない。
そんな時は、皆さんの方が正しいと自信を持って胸をはってほしい。
どうしても行き詰まった時も、SNSなどICTを通じれば、同じ志を持ち、様々アイデアを持つ仲間も必ず見つけられる。
これからの学びを作るのは皆さんである。是非ICTを通じて新たな教育を楽しんで欲しい。

高谷浩樹
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※御本人の了承を得て、こちらへ掲載する。御厚意に感謝します。どうも、ありがとうございました。

こちらの文面については、後半戦の中で、受講学生たちに紹介させていただいた。そのときの様子が、冒頭の写真である。

4.おわりに

今年度、佐賀大学教育学部で実施した集中講義「教育方法学(情報通信技術の活用を含む。)」に関連して、高谷浩樹様からメッセージをお寄せいただく機会に恵まれた。我々だけで占有するのはもったいないと思い、ここに、御本人の了承を得て掲載した。この“熱いメッセージ”が、多くの人々へ届くことを願っている。

集中講義が終了し、後片付けを終えて引き揚げる際、講義室の後方から全景を撮影。
約130名の受講生を思い出して、ちょっとした充実感を味わう!?

【追記】

こちらが、上のオンラインセミナー「第81回水曜サロン」の中で紹介された書籍。「GIGAスクール構想」の背景から今後についてまとめてあり、こちらも“熱い思い”が伝わってきます。御興味があれば、ぜひどうぞ。

髙谷浩樹:“教育界とデジタル技術 ~改訂版「GIGAスクール」を超える~”, 東洋館出版社, 2024.03
https://www.toyokan.co.jp/products/5434

【おまけ】

高谷浩樹様からお寄せいただいたメッセージの中に、学びが大きく変わった出来事として「明治の学制」と「戦後の教育改革」が挙げられていた。

前者の「明治の学制」について、これを行った人物は、初代文部卿の大木喬任(おおきたかとう)である。実は、佐賀の八賢人(あるいは「佐賀の七賢人」)とも呼ばれる人物の一人。教育の分野においても、地元が大きく関わっていたという事実に驚かされる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/大木喬任  参照)

なお、2018年に開催された「肥前さが幕末維新博覧会」のときには、JR佐賀駅の南側に、江藤新平と並んで像が設置された。かなりの読書家だったらしい。また、かなりオシャレでもあったそうで、袴の丈を長くして歩いていたとか……

「肥前さが幕末維新博覧会」のときに設置された25体の偉人像の中から。
右側が大木喬任。ちなみに、左側が初代司法卿の江藤新平である。


≪更新履歴≫
2024/09/24 科目名「教育方法学」に一部誤りがあったため修正。また、別科目「教育方法論」に関する記述を追加しました。これ以外に、高谷様からお寄せいただいたメッセージ(原文)、集中講義を行った大講義室の写真を追加。さらに、【追記】として書籍紹介、【おまけ】として、初代文部卿として学制を制定した大木喬任に関する記述を追加しました。その他、若干の文言修正も行っています。

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