見出し画像

いつも誰かの赦しを得ようとしていた

ゆけよ、誰も邪魔はしない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

令和が2年になる時、
僕は韓国の山にいた
名前も知らない山。

セミナーを受けに。
最後の修行のつもりで。

究極すべては遊びである

これが今の僕の世界に対する見解。
しかし生存本能が邪魔をしている。

死の超克

それを求めてこんなとこに来た。





不特定多数の人と長時間いられない。

気づけばそうだった。
3日目の朝僕はとうとう
耐えられなくなって
講義室からそっと外に出た。

気持ちのいい風が吹いている。
同じ地続きの場でもこんなに違う。

1時間ぐらい歩いたら帰るつもりだったが、
足が止まらくなった。上へ上へ登るほど視界は険しくなる。

もはやもう道なのかどうかわからない。
かろうじて誰かが通ったように見える
そんな道を歩く。

岩が並んでいるところを見つけて
少し道を外れ一休み。

先程歩いていたところに戻ろうとすると、




あれ道がない!!!





必死で探す。
僕が道だと思っていたものは道ではなかったのか。。

散歩のお供に老子の『タオ』という本を持ってきていた。タオとは道である。その本にあった『すべてはタオ(道)である』という言葉を思い出す。

そうか
道なんてものはどこにもなく
僕はその瞬間瞬間に頭の中で
道を作り出していたのだ。

そう思うと少し心が解けた。

そしたら先程歩いていた道に戻った。
この山には道がちゃんとあった。笑




そうしてまた上へと歩を進める。
ここまで来たら頂上に行く。
気づけばそれは決まっていた。

酸素が薄くなる。
息が苦しい。
頭痛い。


帰りたいと頭の中で何度も唱えていた


それは家ではなく
ここじゃないどこかだった

屋根も窓もなかった。
こんなにいやなとこじゃなかった。

なににも会えないじゃないか
どれだけ歩いたって
どれだけ生きたって

ここにはなにもない




20mぐらいの岩壁を見つけた。
よじ登る。どこに手足を置けば安全に登れるか脳みそが勝手に計算している。

岩を登りきると心地よい風が身体を打つ。
他の山々が見えた。同じ山の中でもこうも景色が違うんだ。。

なんだかもう大丈夫になっていた。

死の壁は越えられなかった。
もう普通に全然こわい。笑




街明かりを見つけた時にはもう日は落ちていた。
そして違う街に出てしまった事に気づく。
どちらにいけばいいかわからない。

野宿を覚悟するも、
温かい布団で眠りたい。
とりあえずあと数時間は歩こう。

途中コンビニエンスストアのようなものを見つけて、お菓子とジュースを買って外で食べる。

焼き芋焼き機みたいなものがある。

店員さんが出てきてそれに火をつけて戻っていく。焼き芋頼んでないのに。

あれはやさしさだったのだろうか。
言葉がわからないので確かめる術がない。
いや韓国語が喋れたところで僕は訊かないだろう。




当てずっぽうで2時間ほど歩くと
見慣れた場所についた。
夜の9時だった。

講義中の時間だったけれど、
部屋で布団に入っていると
スタッフの方が話をしに来てくれた。

心配して何人かが探しに行ってくれたということを教えてくれた。

ここの人達のすごい所は、怒らない。
怒られたらそれはそれで僕にも言いたいことはあったのだが。

ただただ話を聴いてくれた。
そして彼女がこのコミュニティに会うまでの事を話してくれた。

ここに来て初めて人間と話せた気がした。

なぜここで仕事をするのかと訊ねた。

 ここしか面白い所がないんだもん。

彼女が本音を溢してくれた事が嬉しかったが、
同時に少し悲しくも感じた

本当の声はいつも美しく哀しい。

この敷地内にも叫べる場所があるから、
今度きつくなったらそっちにしてね
と言われたので承知した。

カムサハムニダ。





6日目バンドエイドがどうしても欲しくなった僕は、また外にでた。

どうしても出たい時は声かけてね、
って言われていたけど声かけると
ダメって言われたので言わずに出た。笑

講義室を出て外へと繋がる坂を降りていると
番犬が吠える。尻尾を振りながら。
喜んでいるのか怖がっているのかわからん。
どっちもあっていい気がした。

さだちゃーん

名前を呼ばれる。
止められるかと思った。




講義の時間までに帰ってきてねーーーーー





吉本新喜劇の一同ズッコケを思い浮かべてほしい。
その時の僕の気持ちがそんな感じ。


僕はいつも誰かの赦しを得ようとしていた

最初からなににも縛られてなかった

そう思った




知らんけど